メートル細目ねじ規格基準寸法許容差

メートル細目ねじ規格基準寸法許容差

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メートル細目ねじ規格基準

メートル細目ねじ規格の基本構造
⚙️
JIS規格による基準寸法

メートル細目ねじの寸法、許容差、公差を規定

📏
ピッチと直径の組み合わせ

細目ねじ特有の細かいピッチ設定による強度向上

🏗️
建築業界での適用基準

構造物用途に適した高強度ねじの選定方法

メートル細目ねじ規格の基本概念と定義

メートル細目ねじは、メートル並目ねじよりもピッチ(ねじ山の間隔)が小さく設定されたねじ規格です。JIS B 0207:1982で規定されていましたが、現在はJIS B 0205-1~-4として新しく置き換えられています。
メートル細目ねじの特徴は以下の通りです。

  • より細かいピッチにより高い結合強度を実現 🔩
  • 精密機械や薄肉部品への適用が可能
  • 振動や衝撃に対する耐性が向上
  • 限られた空間でのねじ込み長さの確保

細目ねじの規格は直径1~300mmの範囲で規定されており、各直径に対して複数のピッチが設定されています。例えば、M8ねじの場合、M8×1とM8×0.75の2種類の細目ピッチが用意されています。

メートル細目ねじ基準寸法表とピッチ設定

メートル細目ねじの基準寸法は、呼び径とピッチの組み合わせによって決定されます。代表的な寸法例を以下に示します:
小径サイズ(M6~M12)

  • M6×0.75:ピッチ0.75mm、ひっかかり高さ0.406mm
  • M8×1:ピッチ1.0mm、ひっかかり高さ0.541mm
  • M8×0.75:ピッチ0.75mm、ひっかかり高さ0.406mm
  • M10×1.25:ピッチ1.25mm、ひっかかり高さ0.677mm
  • M12×1.5:ピッチ1.5mm、ひっかかり高さ0.812mm

中径サイズ(M16~M30)

  • M16×1.5:ピッチ1.5mm
  • M20×1.5:ピッチ1.5mm
  • M24×2:ピッチ2.0mm
  • M30×2:ピッチ2.0mm

大径サイズ(M36~M60)

  • M36×3:ピッチ3.0mm
  • M42×3:ピッチ3.0mm
  • M48×3:ピッチ3.0mm
  • M60×4:ピッチ4.0mm

ひっかかり高さ(H1)は、ねじの有効結合部分を示す重要な寸法で、ピッチに比例して決まります。

メートル細目ねじ許容差と公差規定

メートル細目ねじの許容差は、JIS B 0211-1982で詳細に規定されています。従来のJIS2級における許容差基準では、以下の点に注意が必要です:
おねじの許容差

  • 外径の許容差は等級によって設定
  • 有効径の許容差は精度等級に応じて変化
  • ピッチ径の測定基準点での寸法管理

めねじの許容差 📐

  • 内径(谷径)の最小許容寸法は基本的に規定されない
  • 有効径の許容差はおねじとの嵌合を考慮
  • M1×0.2~M2.2×0.25の2級めねじは許容限界寸法が規定されない

重要な注意事項

  • めねじの谷径と基準山形との間には原則的な制約がある
  • 公差の設定は使用目的と要求精度に応じて選択
  • 測定方法は三針法やねじゲージによる検査が標準

建築業界では特に構造用途で使用されるため、許容差の管理が品質と安全性に直結します。

 

メートル細目ねじ下穴径設計と加工基準

メートル細目ねじの下穴径設計は、適切なねじ加工と結合強度を確保するために重要です。下穴径の設計基準は以下の通りです:
標準的な下穴径設定

  • M2.5×0.35:下穴径2.15mm(最小2.121mm、最大2.221mm)
  • M3×0.35:下穴径2.65mm(最小2.621mm、最大2.721mm)
  • M3.5×0.35:下穴径3.15mm(最小3.121mm、最大3.221mm)

下穴径の計算方法 🔧
下穴径 = 呼び径 - ピッチ × 係数
係数は材質や要求強度によって調整されます。

 

加工における注意点

  • 下穴径の精度がねじ品質に直接影響
  • 材質の硬さによる加工条件の調整が必要
  • タッピング時の切削油選択が重要
  • 加工速度と送りの最適化

特に建築現場では、コンクリートへの後施工アンカーボルトなどで細目ねじが使用されるため、下穴径の精度管理が構造安全性に関わります。

 

メートル細目ねじ建築現場での特殊用途と選定指針

建築業界におけるメートル細目ねじの特殊用途として、従来あまり知られていない興味深い応用例があります。

 

高層建築での制振装置用途 🏢

  • 制振ダンパーの微調整機構に細目ねじを使用
  • 振動周期の精密制御が可能
  • M30×1.5などの大径細目ねじで高精度位置決め

プレキャスト接合部での活用

  • PC構造物の接合部で高い引張強度が要求される箇所
  • M16×1.0やM20×1.5の細目ねじで接合信頼性向上
  • 限られたかぶり厚での高性能発揮

特殊な環境条件での選定基準

  • 海洋構造物:塩害対策としてステンレス製細目ねじ
  • 高温環境:熱膨張係数を考慮した材質選定
  • 低温環境:脆性破壊防止のための靭性確保

建築現場での実用的選定方法

  • 設計荷重の1.5倍以上の安全率確保
  • 施工性と品質のバランス考慮
  • 維持管理時のアクセス性検討
  • コストと性能の最適化

建築基準法や各種技術基準書との整合性も重要な選定要素となります。特に構造計算においては、細目ねじの高い結合力を適切に評価し、設計に反映させることで、より効率的で安全な構造設計が可能となります。

 

また、最近では建築物の長寿命化要求により、メンテナンスフリー性能も重視されており、細目ねじの選定においても50年、100年スパンでの性能維持を考慮した材質や表面処理の選択が求められています。