ねじ込み継手寸法表完全ガイド規格品から径違いまで

ねじ込み継手寸法表完全ガイド規格品から径違いまで

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ねじ込み継手寸法表の基本知識

ねじ込み継手寸法表の重要ポイント
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JIS規格準拠

JIS B 2301規格に基づく正確な寸法管理

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材質別分類

可鍛鋳鉄製・ステンレス製の寸法差を理解

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入り代調整

ねじ込み寸法の正確な計算と実務適用

ねじ込み継手寸法表のJIS規格と種類

ねじ込み継手寸法表の基礎となるのは、JIS B 2301「ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手」規格です。この規格では、継手の寸法精度や品質基準が厳格に定められており、金属加工現場での信頼性確保に不可欠な要素となっています。

 

主要な継手種類と特徴。

  • 90°エルボ: 配管の直角曲がり部分に使用、中心から端面までの距離(A寸法)が重要
  • 45°エルボ: 緩やかな角度変更に最適、流体抵抗を抑える設計
  • チーズ(T継手): 分岐配管に使用、3方向の寸法管理が必要
  • ソケット: 直管接続用、ねじ部長さ(ℓ)の精度が配管強度に直結
  • ユニオン: 分解可能な接続部、メンテナンス性を重視した設計

各継手の寸法表では、呼び径(A)、外径(D)、長さ(L)、ねじ部長さ(ℓ)などの基本寸法が規定されています。特に注意すべきは、継手端部の形状・寸法がJIS B 2301で厳密に規定されている点です。

 

ねじ込み継手寸法表における白・黒継手の特徴

白・黒ねじ込み式管継手は、表面処理の違いによって呼び分けられており、それぞれ異なる用途と寸法管理が求められます。

 

白継手(亜鉛めっき品)の特徴

  • 耐食性に優れ、一般配管に広く使用
  • めっき厚による寸法変化を考慮した設計
  • JISマーク付き製品が多く、品質管理が徹底

黒継手(黒皮仕上げ)の特徴

  • コストパフォーマンスに優れる
  • 屋内配管や仮設配管に適用
  • 表面処理による寸法変化がない

寸法表上の重要ポイント。

継手種類 寸法管理項目 白継手特徴 黒継手特徴
エルボ A寸法精度 ±0.5mm ±1.0mm
チーズ 分岐部寸法 高精度 標準精度
ソケット ねじ部長さ めっき考慮 基準寸法

実務では、白継手の場合、めっき厚(通常0.05-0.1mm)を考慮した寸法管理が必要となります。配管設計時には、この微細な寸法差が累積的な影響を与える可能性を念頭に置いた計算が重要です。

 

ねじ込み継手寸法表でのステンレス製継手の違い

ステンレス製ねじ込み継手は、可鍛鋳鉄製とは異なる寸法体系と材質特性を持ちます。SCS13(SUS304相当)を主材とするステンレス継手は、化学プラント・食品工業・海洋環境での使用が多く、より厳密な寸法管理が要求されます。

 

ステンレス継手の寸法特徴

  • 外径寸法: 可鍛鋳鉄製と比較して±0.2mm程度の差異あり
  • ねじ精度: JIS B 0253の管用テーパねじゲージでの確認が必須
  • 肉厚設計: 耐圧性能向上のため、壁厚が厚く設計
  • 表面仕上げ: 電解研磨処理による寸法精度向上

製造メーカー別の寸法差も重要な検討要素です。

メーカー 外径公差 ねじ精度 品質管理
オーエヌ工業 ±0.15mm JIS準拠 全数リークテスト
シーケー金属 ±0.2mm JPF準拠 抜取検査
リケン ±0.1mm JIS準拠 統計的品質管理

ステンレス継手特有の注意点として、熱膨張係数の違いがあります。炭素鋼の約1.5倍の熱膨張率を持つため、高温配管では熱応力による寸法変化を考慮した設計が必要です。

 

ねじ込み継手寸法表の径違い継手計算方法

径違い継手の寸法計算は、異なる径の配管を接続する際の重要な技術要素です。適切な寸法管理により、配管系全体の強度と密封性を確保できます。

 

径違いエルボの基本計算
径違いエルボでは、大径側(G1)と小径側(G2)それぞれの中心から端面までの距離(L1、L2)を正確に把握する必要があります。

 

計算例(25A×20A径違いエルボ)。

  • G1(25A側): L1 = 38mm、ℓ1 = 15mm
  • G2(20A側): L2 = 33mm、ℓ2 = 13mm
  • 有効接続長 = L1 + L2 - (ℓ1 + ℓ2) = 43mm

径違いチーズの寸法管理
径違いチーズでは、主管径と分岐径の組み合わせパターンが多様であり、各部の寸法確認が重要です。

 

主要な径違いパターン。

  • 50A×40A×25A: 主管50A、分岐40A、25A
  • 65A×50A×32A: 主管65A、分岐50A、32A
  • 80A×65A×40A: 主管80A、分岐65A、40A

計算時の注意点。

  1. 応力集中: 径変化部での応力集中係数を考慮
  2. 流体抵抗: 急激な断面変化による圧力損失
  3. 熱膨張: 異径部での熱応力発生の可能性

ねじ込み継手寸法表を活用した入り代調整の実務ポイント

入り代調整(ねじ込み寸法設定)は、ねじ込み継手の密封性と強度を決定する重要な技術です。従来のJIS規定値だけでなく、実際の施工条件を考慮した調整方法が現場品質向上の鍵となります。

 

入り代の基準値設定

  • JIS規定値: 継手のめねじ部分の長さ(l')に基準
  • JPF標準値: 日本金属継手協会推奨の「標準ねじ込み長さ」
  • カスタム値: 現場条件に応じた独自設定

実務における入り代調整の判断基準。

配管条件 推奨入り代 理由
高圧配管 JIS+2mm 密封性向上
振動環境 JIS+1mm 緩み防止
腐食環境 JIS規定値 過度締付防止
メンテナンス頻繁 JIS-1mm 分解容易性

現場での実測による最適化手法

  1. 締付トルク管理: 継手サイズ別の適正トルク値設定
  2. ゲージ圧測定: 組立後の漏れ試験による確認
  3. 寸法記録: 入り代実測値のデータベース化
  4. 定期点検: 経年変化による緩みの監視

特に重要なのは、ステンレス継手での入り代調整です。材質の特性上、過度な締付けによるかじりや、不十分な締付けによる漏れが発生しやすいため、経験値に基づく微調整技術が必要です。

 

現場での品質向上事例として、入り代調整データの蓄積により、特定の配管系統で漏れ発生率を30%削減できた実績があります。これは、継手ごとの最適入り代値をデータベース化し、作業標準化を図った結果です。

 

金属加工従事者として、ねじ込み継手寸法表の活用は単なる寸法確認にとどまらず、品質向上と作業効率化を両立させる重要な技術要素として位置づけることが、現代の製造現場では不可欠となっています。