エルボ寸法一覧 JIS規格と計算法則を完全解説

エルボ寸法一覧 JIS規格と計算法則を完全解説

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エルボ寸法一覧と規格

エルボ寸法の基礎知識
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JIS規格準拠の寸法体系

日本工業規格に基づく標準化された寸法で、配管設計の信頼性を確保

🔧
計算法則による寸法予測

ショート・ロングエルボの基準寸法を活用した効率的な寸法算出

📊
角度別寸法特性

45°・90°・180°エルボの寸法特性と用途に応じた選定基準

エルボ寸法のJIS規格と基本知識

エルボ寸法はJIS B 2311(配管用鋼製突合せ溶接式管継手)およびJIS B 2312(配管用ステンレス鋼製突合せ溶接式管継手)によって規定されています。これらの規格は配管工事の品質確保と互換性維持において極めて重要な役割を担っています27。

 

エルボの基本寸法には以下の重要な要素があります。

  • 外径(OD):管の外側の直径
  • 内径(ID):管の内側の直径
  • 中心から端面までの距離(F寸法):エルボの曲がり中心から端面までの長さ
  • 中心から中心までの距離(P寸法):180°エルボで使用される寸法
  • 背から中心までの距離(K寸法):180°エルボの背面から中心までの距離

JIS規格では炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼それぞれに対応した寸法表が定められており、材質に応じた適切な寸法選定が可能です。特に突合せ溶接継手では、溶接部の品質確保のため厳密な寸法管理が求められます。

 

エルボ寸法の計算法則とショート・ロングの違い

エルボ寸法には効率的な計算法則が存在します。この法則を理解することで、現場での迅速な寸法確認や設計検討が可能になります。

 

基準寸法の法則

  • ショートエルボ:25.4mm = 1インチ
  • ロングエルボ:38.1mm = 1.5インチ(ショートの1.5倍)

計算方法
径の呼び(B数)× 基準寸法 = F寸法
例:100A(4B)ロングエルボの場合
38.1mm × 4 = 152.4mm
この計算法則には重要な例外があります。25A(1B)以下のサイズでは同一寸法となるため、法則が適用されません。

  • ロングエルボ:38.1mm
  • ショートエルボ:25.4mm

ショート・ロングの使い分け

種類 特徴 適用場面
ショートエルボ コンパクト、圧力損失大 スペース制約がある場所
ロングエルボ 大型、圧力損失小 流体の滑らかな流れが必要

エルボ寸法90°・45°・180°角度別寸法表

各角度のエルボには固有の寸法特性があり、用途に応じた適切な選定が重要です。

 

90°エルボ寸法表(代表例)

径の呼び ロングF寸法 ショートF寸法 外径
25A 38.1mm 25.4mm 34.0mm
50A 76.2mm 50.8mm 60.5mm
100A 152.4mm 101.6mm 114.3mm
150A 228.6mm 152.4mm 165.2mm
200A 304.8mm 203.2mm 216.3mm

45°エルボの特徴
45°エルボは90°エルボと比較して圧力損失が約半分になり、流体の方向転換における効率性に優れています。配管レイアウトで緩やかな方向転換が可能な場合に推奨されます。

 

180°エルボ(Uターン継手)
180°エルボは特殊な用途で使用され、P寸法(中心から中心までの距離)とK寸法(背から中心までの距離)が重要な設計要素となります。熱交換器の配管や狭いスペースでのUターン配管に使用されます。

 

角度別圧力損失係数

  • 45°エルボ:0.35-0.4
  • 90°ショート:0.9-1.0
  • 90°ロング:0.6-0.7
  • 180°エルボ:1.8-2.0

エルボ寸法突合せ溶接継手の実用的な選び方

突合せ溶接継手のエルボ選定では、寸法精度と溶接品質の両立が重要です。実際の選定において考慮すべき要素を詳しく解説します。

 

材質別寸法規格

  • Sch40(標準厚):一般的な配管用途に最適
  • Sch80(厚肉):高圧配管や強度が必要な用途
  • Sch160(超厚肉):超高圧配管や特殊用途

厚さスケジュール選定基準

  • 設計圧力:Sch40は中圧まで、Sch80は高圧対応
  • 使用温度:高温用途では厚肉仕様を検討
  • 腐食環境:腐食代を考慮した厚さ選定

溶接施工における寸法管理
突合せ溶接では開先加工精度が品質を左右します。エルボの端面は機械加工により直角度±1°以内、表面粗さRa12.5μm以下で仕上げられています。

 

品質確認項目

  • 外径の真円度:±0.5%以内
  • 肉厚の均一性:±12.5%以内
  • 端面の平面度:0.8mm以内
  • 化学成分・機械的性質の証明書確認

コスト最適化のポイント

  • 大量使用時は標準サイズの採用でコスト削減
  • 特殊サイズは製作期間とコストを事前確認
  • 材質証明書の要否を明確化

エルボ寸法現場での測定ミス防止対策

配管工事現場では、エルボ寸法の測定ミスが重大な施工不具合を招く可能性があります27。実際の現場で発生しやすい測定ミスとその防止対策を具体的に解説します。

 

よくある測定ミスのパターン

  • 取り付け長さの誤認:F寸法を管端から測定してしまう
  • 角度補正の忘れ:45°エルボで90°用の寸法を適用
  • ショート・ロングの混同:設計図面と異なる種類を使用
  • 配管接続部の干渉:隣接する継手との距離不足

測定精度向上の具体的対策
🔍 測定前チェックリスト

  • 設計図面でエルボ種類(角度・ショート/ロング)を確認
  • 径の呼びと実際のサイズが一致することを確認
  • 測定器具の校正状態を確認
  • 基準となる測定点を明確化

📏 正確な測定手順

  1. エルボの中心線を正確にマーキング
  2. F寸法は曲がり中心から端面まで測定
  3. 複数箇所で測定し平均値を算出
  4. 許容差範囲内であることを確認

現場での実用的な寸法確認方法

  • 簡易計算式の活用:径の呼び×1.5=ロングF寸法(概算)
  • 標準寸法表の現場携帯
  • デジタルノギスによる精密測定
  • 写真記録による測定状況の保存

品質管理における測定記録
測定結果は施工記録として保存し、検査時の根拠資料とします。特に重要配管では第三者による測定確認を実施し、品質保証体制を強化することが推奨されます。

 

緊急時の寸法確認方法
設計図面が現場にない場合でも、エルボ表面の刻印から径の呼びを確認し、計算法則を用いて概算寸法を算出できます。ただし、正式な施工前には必ず正確な寸法確認を行う必要があります。