
エルボ寸法はJIS B 2311(配管用鋼製突合せ溶接式管継手)およびJIS B 2312(配管用ステンレス鋼製突合せ溶接式管継手)によって規定されています。これらの規格は配管工事の品質確保と互換性維持において極めて重要な役割を担っています27。
エルボの基本寸法には以下の重要な要素があります。
JIS規格では炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼それぞれに対応した寸法表が定められており、材質に応じた適切な寸法選定が可能です。特に突合せ溶接継手では、溶接部の品質確保のため厳密な寸法管理が求められます。
エルボ寸法には効率的な計算法則が存在します。この法則を理解することで、現場での迅速な寸法確認や設計検討が可能になります。
基準寸法の法則。
計算方法。
径の呼び(B数)× 基準寸法 = F寸法
例:100A(4B)ロングエルボの場合
38.1mm × 4 = 152.4mm
この計算法則には重要な例外があります。25A(1B)以下のサイズでは同一寸法となるため、法則が適用されません。
ショート・ロングの使い分け。
種類 | 特徴 | 適用場面 |
---|---|---|
ショートエルボ | コンパクト、圧力損失大 | スペース制約がある場所 |
ロングエルボ | 大型、圧力損失小 | 流体の滑らかな流れが必要 |
各角度のエルボには固有の寸法特性があり、用途に応じた適切な選定が重要です。
90°エルボ寸法表(代表例)。
径の呼び | ロングF寸法 | ショートF寸法 | 外径 |
---|---|---|---|
25A | 38.1mm | 25.4mm | 34.0mm |
50A | 76.2mm | 50.8mm | 60.5mm |
100A | 152.4mm | 101.6mm | 114.3mm |
150A | 228.6mm | 152.4mm | 165.2mm |
200A | 304.8mm | 203.2mm | 216.3mm |
45°エルボの特徴。
45°エルボは90°エルボと比較して圧力損失が約半分になり、流体の方向転換における効率性に優れています。配管レイアウトで緩やかな方向転換が可能な場合に推奨されます。
180°エルボ(Uターン継手)。
180°エルボは特殊な用途で使用され、P寸法(中心から中心までの距離)とK寸法(背から中心までの距離)が重要な設計要素となります。熱交換器の配管や狭いスペースでのUターン配管に使用されます。
角度別圧力損失係数。
突合せ溶接継手のエルボ選定では、寸法精度と溶接品質の両立が重要です。実際の選定において考慮すべき要素を詳しく解説します。
材質別寸法規格。
厚さスケジュール選定基準。
溶接施工における寸法管理。
突合せ溶接では開先加工精度が品質を左右します。エルボの端面は機械加工により直角度±1°以内、表面粗さRa12.5μm以下で仕上げられています。
品質確認項目。
コスト最適化のポイント。
配管工事現場では、エルボ寸法の測定ミスが重大な施工不具合を招く可能性があります27。実際の現場で発生しやすい測定ミスとその防止対策を具体的に解説します。
よくある測定ミスのパターン。
測定精度向上の具体的対策。
🔍 測定前チェックリスト。
📏 正確な測定手順。
現場での実用的な寸法確認方法。
品質管理における測定記録。
測定結果は施工記録として保存し、検査時の根拠資料とします。特に重要配管では第三者による測定確認を実施し、品質保証体制を強化することが推奨されます。
緊急時の寸法確認方法。
設計図面が現場にない場合でも、エルボ表面の刻印から径の呼びを確認し、計算法則を用いて概算寸法を算出できます。ただし、正式な施工前には必ず正確な寸法確認を行う必要があります。