オームの法則公式並列の要点
💡
並列の電圧は一定
どこを測っても電圧は同じ値になる
🧮
和分の積を活用
2つの抵抗なら公式で瞬時に計算可能
オームの法則公式並列
オームの法則公式並列の基本と電圧が等しい理由
電気工事の現場や資格試験で最も頻繁に遭遇し、かつ直感的に理解しにくいのが「並列回路」におけるオームの法則の挙動です。まず大前提として、並列回路において電圧はすべての並列部分で等しくなる という絶対的なルールがあります。これは、水路の分岐に例えると非常に理解しやすくなります。高い位置にある貯水槽(電源)から水が流れ落ちる際、水路が二手に分かれても、スタート地点とゴール地点の「高低差(=電圧)」はどちらのルートを通っても変わりません。この「高低差が変わらない」という物理的な事実こそが、並列回路で電圧が一定である理由です。 参考)オームの法則「公式」と「計算法」を、わかりやすく解説|Kum… youtube オームの法則の基本公式 V = I × R V = I \times R V=I×R は並列回路でも個々の抵抗に対してそのまま適用できますが、回路全体を見る場合は視点を変える必要があります。 並列回路の特性をまとめると以下のようになります。
電圧(V) : 各抵抗にかかる電圧は電源電圧と同じ(E = V 1 = V 2 E = V_1 = V_2 E=V1=V2)。
電流(I) : 回路全体を流れる電流は、各枝に流れる電流の合計になる(I = I 1 + I 2 I = I_1 + I_2 I=I1+I2)。 youtube
抵抗(R) : 合成抵抗は、各抵抗の「逆数の和」の逆数になる(1 R = 1 R 1 + 1 R 2 \frac{1}{R} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2} R1=R11+R21)。 参考)https://eleking.net/k21/k21t/k21t-combined.html
現場で役立つ知識として、家庭用コンセントはすべて並列接続されていることを思い出してください。もし直列接続だったら、テレビを消すと冷蔵庫 も止まってしまいますが、並列だからこそすべての機器にAC100Vが均等にかかり、独立して動作できるのです。この「独立性」こそが並列回路の最大の特徴であり、計算する際も「個別に計算して最後に足す(電流の場合)」というアプローチが有効です。 参考)Object moved
オームの法則公式並列の合成抵抗は和分の積で計算
並列回路の計算で最も有名なテクニックが、2つの抵抗の合成抵抗を求める「和分の積(わぶんのせき)」という公式です。通常の逆数計算 1 R = 1 R 1 + 1 R 2 \frac{1}{R} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2} R1=R11+R21 は通分が必要で計算ミスを誘発しやすいですが、和分の積を使えば分数の足し算を回避できます。 参考)抵抗の『並列接続』と『和分の積』について - Electri… 【和分の積の公式(抵抗が2つの場合)】 R = R 1 × R 2 R 1 + R 2 R = \frac{R_1 \times R_2}{R_1 + R_2} R=R1+R2R1×R2 つまり、「掛け算(積)」を「足し算(和)」で割るだけで合成抵抗が出せます。 参考)https://www.phys.kindai.ac.jp/laboratory/kondo/lectures/ichikawa/ELE2p19-34.pdf 例えば、6 Ω 6\Omega 6Ω と 3 Ω 3\Omega 3Ω の抵抗が並列につながっている場合を考えてみましょう。
積(掛け算) : 6 × 3 = 18 6 \times 3 = 18 6×3=18
和(足し算) : 6 + 3 = 9 6 + 3 = 9 6+3=9
割り算 : 18 ÷ 9 = 2 Ω 18 \div 9 = 2\Omega 18÷9=2Ω
これだけで答えが出ます。驚くほど簡単ですが、この公式が使えるのは**「抵抗が2つの場合だけ」**という点に注意が必要です。3つ以上の抵抗がある場合は、この公式を一度に使おうとすると間違った答えになります。
参考)
並列回路において、抵抗が3つ以上では和分の積が使えなくて、抵…
しかし、現場での応用テクニックとして、3つの抵抗がある場合でも「まず2つを合成し、その結果と残りの1つで再度『和分の積』を行う」という方法なら、この公式を使い続けることが可能です。【同じ抵抗値が並列の場合の裏ワザ】 さらに実務で役立つのが、「同じ値の抵抗が並列にある場合」の法則です。 例えば、10 Ω 10\Omega 10Ω の抵抗が2本並列なら、合成抵抗は半分の 5 Ω 5\Omega 5Ω になります。 参考)具体的な計算問題の解き方(平成26年度下期問2) - デンキ… 10 Ω 10\Omega 10Ω が3本並列なら 10 ÷ 3 = 3.33 Ω 10 \div 3 = 3.33\Omega 10÷3=3.33Ω です。 つまり、「抵抗値 R R R ÷ 本数 n n n」 で一瞬で求められます。 試験問題や現場の設計では、計算しやすいように同じ抵抗値が使われることが多いため、和分の積よりも先に「同じ抵抗値はないか?」を確認するのがプロのスピード計算のコツです。
オームの法則公式並列の計算を電卓の逆数で解く
電気工事士試験や実務の設計計算で電卓(関数電卓でない一般電卓でも可)が使える場合、最強の武器になるのが**「逆数計算」**の活用です。教科書通りの「通分」をして計算していると時間がかかりますが、電卓の
メモリ 機能や「÷=」などの定数計算機能を使わずとも、もっと直感的に解く方法があります。
並列回路の合成抵抗の公式は、本質的には「コンダクタンス(電流の流れやすさ)」の足し算です。 参考)合成抵抗 1 R = 1 R 1 + 1 R 2 + 1 R 3 . . . \frac{1}{R} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2} + \frac{1}{R_3} ... R1=R11+R21+R31... これを電卓で叩く際、多くの電卓にある「M+(メモリープラス)」キーや、カシオ系実務電卓などの「GT(グランドトータル)」機能を使う必要はありません。もっと単純に、「逆数にして足して、最後にまた逆数にする」だけで良いのです。 具体的な手順(抵抗値が 4 Ω , 5 Ω , 20 Ω 4\Omega, 5\Omega, 20\Omega 4Ω,5Ω,20Ω の3並列の場合):
各抵抗の逆数を出す : 「1 ÷ 抵抗値」を計算します。
1 ÷ 4 = 0.25
1 ÷ 5 = 0.20
1 ÷ 20 = 0.05
それらを足す : 0.25 + 0.20 + 0.05 = 0.5 (これが合成コンダクタンス)
最後にその逆数を出す : 1 ÷ 0.5 = 2Ω
関数電卓を持っている場合、「
x − 1 x^{-1} x−1」キーを使えば、
4 [x-1] + 5 [x-1] + 20 [x-1] = [x-1]というキータッチだけで一発で答えが出ます。
一般電卓でも、「1 ÷ 4 = M+」「1 ÷ 5 = M+」「1 ÷ 20 = M+」「1 ÷ MR =」と打つことで、紙にメモすることなく計算可能です。この「逆数の発想」を持っておくと、抵抗数が5個でも10個でも、和分の積を繰り返すより圧倒的に速く正確に処理できます。
オームの法則公式並列で3つ以上の抵抗の計算ミス
初心者が最も陥りやすい罠が、抵抗が3つ以上並列に並んでいるときに、和分の積の公式を誤って適用してしまうことです。
誤った式:
R = R 1 × R 2 × R 3 R 1 + R 2 + R 3 R = \frac{R_1 \times R_2 \times R_3}{R_1 + R_2 + R_3} R=R1+R2+R3R1×R2×R3
これは絶対に間違いです 。
参考)
https://eleking.net/study/s-dccircuit/sd-combined.html
なぜ間違いなのかを直感的に理解するために、具体的な数字を入れてみましょう。2 Ω , 2 Ω , 2 Ω 2\Omega, 2\Omega, 2\Omega 2Ω,2Ω,2Ω の3並列の場合、正しい合成抵抗は 2 ÷ 3 ≈ 0.67 Ω 2 \div 3 \approx 0.67\Omega 2÷3≈0.67Ω になるはずです。 しかし、間違った式(積÷和)に入れると:2 × 2 × 2 2 + 2 + 2 = 8 6 ≈ 1.33 Ω \frac{2 \times 2 \times 2}{2 + 2 + 2} = \frac{8}{6} \approx 1.33\Omega 2+2+22×2×2=68≈1.33Ω となり、倍近い数値になってしまいます。正しい対処法(3つ以上の場合) :
逆数の和の公式を使う : 1 R = 1 R 1 + 1 R 2 + 1 R 3 \frac{1}{R} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2} + \frac{1}{R_3} R1=R11+R21+R31 が基本中の基本です。
ペアを作って段階的に解く : どうしても分数が嫌な場合は、まず2つの「和分の積」を行い、その答えと次の抵抗でまた「和分の積」を行います。
例:2 Ω , 3 Ω , 6 Ω 2\Omega, 3\Omega, 6\Omega 2Ω,3Ω,6Ω の並列
まず 3 Ω 3\Omega 3Ω と 6 Ω 6\Omega 6Ω で和分の積: 18 9 = 2 Ω \frac{18}{9} = 2\Omega 918=2Ω
残った 2 Ω 2\Omega 2Ω と、計算結果の 2 Ω 2\Omega 2Ω で計算: 2 Ω 2\Omega 2Ω同士の並列なので半分になり 1 Ω 1\Omega 1Ω。
この方法は暗算でも解けるケースが多く、計算ミス防止に非常に有効です。
特に電気工事士の筆記試験では、計算結果が綺麗な整数になるように問題が作られていることが多いため、3つ以上の並列が出ても、組み合わせを見ると「3と6(合成して2)」「4と12(合成して3)」のような、計算しやすいペアが隠れていることがよくあります。
参考)
第二種電気工事士筆記試験を攻略せよ〜知識ゼロから学ぶ「基礎理…
オームの法則公式並列の接触抵抗と発熱のリスク
これは教科書にはあまり載っていない、しかし現場の電気工事士にとっては極めて重要で危険な「独自視点」の事実 です。理論上のオームの法則では「並列回路の抵抗には、抵抗値に反比例してきれいに電流が分流する」と教わります。しかし、実際の現場における並列配線(例えば、太いケーブルの代わりに細いケーブルを2本並列にして大電流を送る「パラレル給電」など)では、接触抵抗 という見えない敵が潜んでいます。 理論上、同じ太さ・同じ長さのケーブルを2本並列にすれば、電流は50:50できれいに分かれるはずです。しかし、端子の締め付けトルク 不足や電線の酸化などで、片方のラインにわずかでも「接触抵抗(例えば0.01Ωでも)」が発生したらどうなるでしょうか? オームの法則 I = V / R I = V/R I=V/R に従い、抵抗が低いほう(正常なほう)のケーブルに電流が集中して流れ込んでしまいます。【現場で起こる怖いシナリオ】
100Aを流すために、50A許容のケーブルを2本並列にした。
片方の端子接続部の接触が悪く、抵抗値がわずかに上がった。
電流のバランスが崩れ、抵抗の低いほうに70A、高いほうに30A流れてしまった。
70A流れたほうのケーブルは許容電流 (50A)を超えているため、過熱し、被覆が溶け、最悪の場合は火災になる。
このように、並列回路において「抵抗値が低いほうに電流が集中する」というオームの法則の特性は、実務では**「健全な回路ほど過負荷になりやすい」**というパラドックスを生みます。 そのため、内線規程 などのルールでは、電線を並列に使用する場合に厳格な規定があります。
同一の導体、同一の太さ、同一の長さ であること。
同じ極の電線は、同一のターミナルラグ(圧着端子)等に集合して接続する こと。
「並列だから電流が半分になる」と安易に考えるのは危険です。「抵抗の低いほうに電流は集中する」というオームの法則の本質を、リスク管理として理解しておくことが、プロの電気工事士には求められます。 参考リンク: オームの法則「公式」と「計算法」の3ステップ解説(初心者向けに図解が豊富) 並列接続の合成抵抗の計算方法と「和分の積」の繰り返し技(3つ以上の計算テクニック) 実際の試験問題を使った「同じ抵抗値の並列」計算テクニック(計算時間の短縮法)
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