oリングつぶししろと溝寸法と設計基準

oリングつぶししろと溝寸法と設計基準

記事内に広告を含む場合があります。

oリングつぶししろと設計基準

oリングつぶししろ:現場で使える要点
📌
つぶし代・つぶし率の定義

つぶし代は「つぶれる高さ」、つぶし率は「線径に対する圧縮割合」。式で押さえると設計が安定します。

🧰
溝寸法と表面性状

溝深さ・溝幅・R・面取りに加え、表面粗さ(Ra)の条件もシール性と寿命に直結します。

⚠️
はみ出し隙間と対策

圧力と隙間が大きいと押し出し破損が起きやすいので、条件次第でバックアップリングを検討します。

oリングつぶししろのつぶし代とつぶし率

oリングつぶししろは「つぶし代(圧縮させた距離)」と「つぶし率(線径に対する圧縮割合)」の2つで管理すると、現場の会話がズレにくくなります。
つぶし代は、平面固定溝(すきま無しで締め込む)なら「つぶし代=Oリング線径−溝深さ」という形で押さえられます。
円筒面溝などで装着すきま(クリアランス)がある場合は「つぶし代=Oリング線径−溝深さ+装着隙間/2」とされ、同じ溝深さでも実質のつぶしが変わる点が落とし穴です。
つぶし率は「つぶし率=つぶし代÷Oリング線径×100」で、負荷の大きさを%で見える化できます。
設計の目安として、つぶし率は概ね8〜30%が適正範囲とされ、40%以上では破損リスクが高いとされています。


参考)Oリングのつぶししろ

ここで重要なのは「漏れないこと」と「潰しすぎないこと」が常に綱引きだという点で、潰しすぎは摺動抵抗や圧縮永久ひずみにも効いてきます。

また、つぶし代は締込みトルクや摺動抵抗を決める重要因子だとされ、Oリング単体の話ではなく“施工条件の話”として管理すべきパラメータです。


参考)Oリングのつぶし代とつぶし率【Oリング・パーフロの桜シール】

✅現場で使える最小セット(覚え書き)

  • つぶし代:どれだけ「高さ」を潰したか。
  • つぶし率:線径に対して何%潰したか。
  • 溝深さ+装着隙間で、同じ図面でも実つぶしが変わる。

oリングつぶししろと溝寸法と面取り

oリングつぶししろを狙い通りに作るには、結局「溝寸法(深さ・幅)をどう決めるか」に帰着します。
JIS B 2401-2(Oリング―第2部:ハウジングの形状・寸法)は、用途別(運動用・固定用、円筒面・平面)に溝の基本寸法表を持ち、つぶし代・つぶし率の欄まで含めて整理されています。
特に組付け時の損傷(欠け・切れ)を避けるには、面取りの指示が実務上かなり効きます。

JIS B 2401-2では、Oリングの太さに応じた面取り長さ z(最小)の例が示され、例えば太さ1.9±0.08ではz最小1.2mm、太さ2.4±0.09ではz最小1.4mmというように、寸法が段階で定義されています。

さらに、横穴のエッジに干渉する「誤った取付方法」の図示があり、図面側で干渉を作らない発想が重要です。

🔧現場での溝チェック項目(入れ子にしない)

  • 溝深さ:つぶし代の主因(深いほど潰れない)。
  • 装着隙間:円筒面ではつぶし代に足し込まれる要素。
  • 面取り:組付け傷の予防(z最小の考え方を流用)。

参考リンク(規格の表面性状・面取り・隙間など設計時に必要な基準)
JIS B 2401-2:2012(ハウジング形状・寸法、表面性状、バックアップリング要否、面取り寸法)

oリングつぶししろと表面性状とRa

oリングつぶししろが適正でも、接触面の表面性状(表面粗さ)が悪いと、漏れ・摩耗・かじり・初期なじみ不良のリスクが上がります。
JIS B 2401-2では、用途別に接触面の表面性状を規定し、例えば運動用のOリングとシール部の接触面はRa 0.4µm(参考Rz 1.6µm)といった水準が示されています。
固定用でも脈動あり/なしで推奨値が変わるため、「同じ固定シールだから同じ仕上げでよい」と決め打ちしない方が安全です。
建築設備の現場では、相手材がステンレス・真鍮・アルミ・樹脂など混在しやすく、加工方法も旋盤、フライス、鋳肌、メッキなどで粗さの出方が変わります(ここを放置すると“つぶししろの議論が空回り”しがちです)。

また、表面性状は清浄度(切粉・研磨粉・シール剤残渣)とセットで考えると再発防止に繋がり、特に運動用では初期傷が寿命を決めやすい点に注意が必要です。

🧪表面性状の実務メモ

  • Raの指定は「漏れ」と「摩擦」の両方に効く。
  • 固定用でも脈動の有無で推奨値が変わる。
  • 加工面が粗いと、つぶししろを増やしても解決しないケースがある(むしろ損傷増)。

oリングつぶししろとすきまとバックアップリング

oリングつぶししろを適正にしても、圧力条件と「すきま(はみ出し隙間)」の組み合わせ次第で、Oリングが押し出されて破損することがあります。
JIS B 2401-2では、直径隙間(2g)と使用圧力、Oリング硬さ(デュロメータ硬さ70/90)によって、バックアップリングなしで許容できる最大値を表で示しています。
例えば硬さ70では、圧力が上がるほど許容できる直径隙間(2g)の最大値が小さくなる形で整理されており、設計判断を“感覚”から引き離せます。
この論点は建築設備でも重要で、施工誤差や偏芯、熱伸びで実すきまが増えると、想定より低圧でも押し出しが起きることがあります。

また、溝部の剛性不足や偏芯で断面のつぶしが均一でなくなると、部分的なつぶし不足→漏れ、または局所的な過大つぶし→損傷、という“両方向のトラブル”が起き得ます。

⚠️押し出し破損の典型サイン

  • 片側だけが欠ける・ちぎれる(偏芯+隙間過大が疑い)。
  • 漏れと同時にOリングの縁が毛羽立つ(はみ出し+せん断が疑い)。
  • つぶししろを増やすほど悪化(摩擦増+発熱+損傷が疑い)。

oリングつぶししろと内径伸張率と太さ低減(独自視点)

oリングつぶししろの“意外な盲点”は、組付け時に内径を伸ばすと線径(太さ)が細くなり、結果として設計上のつぶし率が下がることです。
これは小径Oリングほど影響が出やすいとされ、見た目は同じ溝でも「サイズが小さい方が漏れやすい」ケースの説明になります。
さらに、JIS B 2401-2の附属書Aでは、内径伸張率の前提(例:最小2%)や、内径伸張率から得られる太さ低減率Rを用いて有効太さ d2* を算出する考え方が記載されています。
この“太さ低減”を現場に落とすと、次のような判断ができます。


まず、図面上の溝深さが正しくても、伸張で太さが減ればつぶし代が減り、漏れ側に寄ります。

次に、つぶししろ不足が疑われる時に、単純に溝を浅くする前に「組付けで伸ばしすぎていないか」「規格外の伸張になっていないか」を点検する方が、再現性のある対策になりやすいです。

また、線径が太い方が圧縮永久ひずみ率が小さくなる傾向があるという説明もあり、スペースが許すなら太い線径の採用が信頼性に効く、という設計の逃げ道も作れます。


参考)Oリングの使用方法及びJISのつぶししろ – 三…

🧠独自視点:施工要因を「数式」に落とす

  • 現場での“伸ばし癖”は、太さ低減→つぶししろ不足→微小漏れのルートになり得る。
  • 同一の溝でも、Oリングの掛け方(伸張率)で結果が変わるので、施工手順の標準化が効く。
  • 漏れ対策を「つぶししろ増」一択にすると、摩擦・損傷・寿命低下を招きやすい。