

弾性適性のない上塗りをパーフェクトフィラーの上に重ねると、上塗り塗膜にクラックが入り工事のやり直しが発生します。
パーフェクトフィラー(日本ペイント)の15kg缶は、市場では税込み4,500〜5,500円前後で流通しています。大手ECサイトでは価格比較サイト(価格.com)掲載の最安値で4,569円、モノタロウでは税込5,498円、ヤフーショッピングでは5,780円(送料無料)という状況です。ショップによっては4,130円(税抜)から販売されているケースもあり、仕入れルートの違いで1缶あたり1,000円以上の差が生まれます。
塗料仕入れの単価差は、まとめ買いの数量や塗料代理店との取引条件でさらに開きます。一般的に建築業者が塗料代理店から仕入れる場合は、定価(オープン価格)に対して掛け率の交渉が可能で、複数工事をまとめて発注するほど有利になります。つまり単品で通販購入するより、代理店経由でロット仕入れするほうがコストを抑えやすいということですね。
| 購入ルート | 税込価格(15kg缶) | 送料 |
|---|---|---|
| 価格.com最安値(大橋塗料) | 約4,569円 | 別途 |
| モノタロウ | 約5,498円 | 地域による |
| ヤフーショッピング | 約5,780円 | 送料無料 |
| paint-one.jp | 4,130円〜(税抜) | 別途 |
1缶で塗れる面積は「仕上げ方法」によって大きく変わります。これは重要な点です。ウールローラーで平滑仕上げの場合は使用量が0.20〜0.45kg/㎡なので、15kg缶なら約33〜75㎡塗れる計算になります。一方、砂骨ローラー(マスチックローラー)でなみがた模様に仕上げる場合は0.50〜0.90kg/㎡と厚塗りになるため、同じ15kg缶でも約17〜30㎡しか塗れません。現場で使用量をざっくり計算すると材料費が2倍近く変わることもあるので、必ず仕上げ方法を確定してから材料を発注することが原則です。
参考:日本ペイント公式製品ページ(製品詳細・価格情報)
https://www.nipponpaint.co.jp/products/building/52/
日本ペイントの公式サイトに掲載されている材工価格は、平滑仕上げで1,220円/㎡(1工程)、なみがた仕上げで1,910円/㎡(1工程)です。この数字はメーカーが示す「設計価格」であり、下塗り1工程のみの単価である点に注意が必要です。設計価格が原則とする施工面積は300㎡以上。これが見落とされがちな重要なポイントです。
300㎡という面積は、一般的な戸建て住宅(30坪前後)の外壁面積120〜150㎡を大幅に上回ります。つまり、戸建て1棟の規模では設計価格が適用される基準に満たないケースがほとんどです。小規模工事では材料のロスが増え、職人の段取り費用も1㎡あたりに換算すると割高になります。実際の施工単価は設計価格の約1.2〜1.5倍程度になることも珍しくありません。
また、別の計算方法でも確認してみましょう。あるサイトの試算では、パーフェクトフィラーの材料費(砂骨ローラーで0.7kg/㎡使用と仮定)は15kg缶4,720円として計算すると約220円/㎡。国土交通省の公共建築工事標準歩掛に基づく塗装工の労務単価(埼玉県の場合、28,700円/人)を加えると塗装作業費は1㎡あたり約2,497円となり、合計で約2,951円/㎡という数字が算出されています。この金額はあくまで参考値ですが、現場での単価感覚をつかむ目安になります。
実際の価格(実勢価格)は、設計価格の80%前後がひとつの目安とも言われています。複数の業者から見積もりを取る際は、この設計価格と実勢価格の関係を理解したうえで内訳を確認しましょう。見積書に「一式」としか書かれていない場合は要注意です。
参考:塗装工事費の詳細・内訳と工事費の目安(エイチペイント)
https://hpaint.jp/blog/塗装工事費の詳細・内訳と工事費の目安/
パーフェクトシリーズの下塗り材には「パーフェクトフィラー」と「パーフェクトサーフ」の2種類があり、混同したまま使い分けている現場も少なくありません。この2つを間違えると、単価差だけでなく仕上がり品質にも直結します。
パーフェクトフィラーが適しているのは、モルタル・コンクリート・ALCパネル・サイディングボードなど、ヘアクラックや微細な凹凸が多い下地です。ゴム弾性を持つ厚膜形成が得意で、0.5mm未満のヘアクラック(ヘアラインクラックとも呼ばれる)を目止めしながら均一な下地をつくります。一方、パーフェクトサーフは窯業系サイディングや健全な塗膜面への密着・隠ぺいに特化したサーフェーサーです。色替え(例えば薄い色から濃い色への変更)で下地の影響を受けにくくする「遮蔽力」に優れています。
つまり「補修・目止め・ひび割れ追従が優先」ならフィラー、「隠ぺい・密着・色変えが優先」ならサーフという使い分けが基本です。
| 比較項目 | パーフェクトフィラー | パーフェクトサーフ |
|---|---|---|
| 得意な下地 | モルタル・コンクリート・ALC・ヘアクラックあり | 窯業系サイディング・健全塗膜・色替え |
| 主な目的 | 目止め・厚膜・ひび割れ追従 | 吸い込み止め・隠ぺい・密着 |
| 施工性 | 厚膜で手間が増えやすい | 軽快に仕上がりやすい |
| 単価への影響 | 材料消費量が多く、やや高くなる傾向 | 材料・手間ともに抑えやすい |
フィラーは厚膜形成が目的のため、砂骨ローラーを使う場合の使用量は平滑仕上げの約2〜4倍になります。面積の大きい工事ではこの差が材料費を大きく動かすことになります。選定を誤ると後工程での増し塗りや不具合リスクが高まり、結果的にコストが上振れします。フィラーかサーフかは「現状の外壁素材」と「既存塗膜の状態」を確認してから決定することが条件です。
パーフェクトフィラーは「水性反応硬化形ソフトフィラー」に分類されます。弾性を持つ下地に対して弾性適性のない硬い上塗りを使うと、外壁の動き(温度変化や地震の微振動)によって上塗り塗膜に亀裂(クラック)が発生しやすくなります。日本ペイントの公式カタログにも「弾性適性のある上塗り以外の塗料を使用すると、上塗り塗膜にクラックが入りやすく、付着性・耐候性などが低下する」と明記されています。これは重要な注意事項です。
現場で発生しやすい失敗のパターンは、工事コストを抑えようとして「在庫にあった上塗り材を流用した」「前回工事で余った上塗り材を使った」というケースです。特にモルタル外壁の現場ではパーフェクトフィラーを使いながら、弾性適性のないシリコン塗料や一般のアクリル塗料を上塗りしてしまうことがあります。結果として1〜2年後に塗膜クラックが発生し、補修工事が必要になります。これは痛いですね。
パーフェクトフィラーの上に塗装できる公認の上塗り材には、パーフェクトトップSi・ファインシリコンフレッシュⅡ・ファインパーフェクトトップSi・ファインSi・パーフェクトゥルーマット・1液ファインシリコンセラUV・水性シリコンセラUV・ファインDFセラミック・DANシリコンセラR(ローラータイプ)が挙げられています(日本ペイント公式仕様より)。
上塗り材を選ぶ際は、同じ日本ペイントの製品から選ぶことが推奨されています。下塗りと上塗りを同じメーカーで揃えることで塗料同士の密着性が高まり、塗料が本来持つ性能を最大限に発揮できます。万が一異メーカーの製品を組み合わせる場合は、メーカーへの適性確認が必須です。
参考:パーフェクトフィラー 施工上の注意事項(PDFカタログ)
https://addven.homepagine.com/files/topics/611_ext_03_0.pdf
パーフェクトフィラーを使った工事の見積書を確認するとき、「パーフェクトフィラー 一式」とだけ記載された見積書はそのまま受け入れてはいけません。これは建築業従事者として現場を守るための基本です。
見積書に最低限記載されるべき内容は次のとおりです。「製品名(パーフェクトフィラー)」「施工方法(砂骨ローラー/ウールローラー)」「使用量(kg/㎡)」「塗装面積(㎡)」「必要缶数」「単価(円/㎡または円/缶)」の6点です。これだけ揃っていれば価格の妥当性を検証できます。
具体的な数字で確認してみましょう。モルタル外壁の塗り替えで、パーフェクトフィラーを砂骨ローラーで施工する場合を想定します。使用量の目安は0.7kg/㎡(中央値)、15kg缶を使うなら1缶で約21㎡塗れます(15÷0.7≒21.4)。面積100㎡の現場なら約5缶が必要で、材料費だけで約22,500〜27,500円(1缶4,500〜5,500円換算)になります。この材料費に対して施工費(労務費)が加わり、最終的な下塗り工程の費用が決まります。
| チェック項目 | 確認のポイント | NG例 |
|---|---|---|
| 製品名 | 「パーフェクトフィラー」と明記 | 「下塗り材 一式」のみ |
| 施工方法 | 砂骨/ウールローラー の区別 | 記載なし |
| 使用量・面積 | kg/㎡と㎡数が記載 | 面積不明 |
| 上塗り材の弾性適性 | 組み合わせ上塗りの品名確認 | 上塗り品名不明 |
| 施工面積の規模 | 300㎡未満は割高になる旨の説明 | 設計価格をそのまま適用 |
設計価格と実勢価格の差に関しては、実際の施工価格が設計価格の80%前後になることが目安とされていますが、小規模工事や下地補修が多い現場では逆に設計価格を上回ることもあります。複数社から同一条件で見積もりを取得し、「材料名・使用量・面積・単価」の内訳が揃っているかを比較することが、費用の妥当性を判断する最短ルートです。
参考:日本ペイント 建築用塗料外装仕上げ塗材設計価格表(PDF)
https://www.nipponpaint.co.jp/images/products/building/pricelist.pdf