


ピンゲージは、外径を所定の許容差内に仕上げた円柱形のゲージで、穴径や溝幅の確認などに使います。選定では、呼び寸法だけでなく、外径許容差、真円度、直径不同、表面粗さを製品資料で確認してください。
すべてのピンゲージをISO・JIS規格準拠品やJISマーク品とする根拠は確認できません。規格がないと断言するのでもなく、適用規格番号、メーカーの等級・寸法仕様、製品証明、校正をそれぞれ区別して照合します。
アイゼンは、日本初のピンゲージメーカーとして、寸法・材質・許容値の異なる製品を掲載し、同社のピンゲージはすべて1本から注文できると案内しています。この単品対応を他メーカーにも共通する条件とは扱いません。
同社が案内するISO/IEC 17025:2017認定は、校正の能力と認定範囲に関するもので、製品のJISマークとは別です。トレーサビリティを確認する際は、校正対象、寸法範囲、結果、不確かさなどを照合し、認定や証明書の存在だけで現場の測定精度を保証しないでください。
参考)ゲージピン・ホールゲージの使い方
参考)株式会社アイゼン
参考)「ピンゲージとは?用途・種類・使い方・管理方法をわかりやすく…

ピンゲージの等級名は、メーカー・シリーズ・サイズ範囲と一緒に読みます。同じ「0級」「精級」という名称でも、他社製品へ仕様をそのまま転用できません。
ドムのマスターピンは、φ0.20~10.00mmのバラについて、外径許容差±0.5μm、真円度0.3μm、直径不同0.15μm、表面粗さRa0.05μmを掲載し、実測値をケースに刻印するとしています。同ページの「旧規格」は同社の比較表記であり、JIS1級と独自に名付けないでください。
次の表は三和クリエーションの超硬ピンゲージの製品例です。掲載寸法は外径φ0.1~10mm、全長40~60mmで、精度欄をμmに統一して示しています。
| 同社の等級 | 外径許容差(μm) | 真円度(μm) | 表面粗さRa(μm) |
|---|---|---|---|
| 超精級 | ±0.3 | 0.3以下 | 0.05 |
| 精級 | ±0.5 | 0.5以下 | 0.1 |
| 中級 | ±1 | 0.8以下 | 0.2 |
アイゼンの掲載カタログでは、EP・ECPの適用サイズを次のように分けています。表の真円度・直径不同は、それぞれの項目に適用する掲載値です。
| シリーズ・呼び寸法範囲(mm) | 等級 | 外径許容差(μm) | 真円度・直径不同(各μm) |
|---|---|---|---|
| EP:0.20~10.00/ECP:0.205~10.005 | 0級 | ±0.5 | 0.3 |
| EP:0.20~10.00/ECP:0.205~10.005 | 1級 | ±1 | 0.8 |
| EP:10.01~20.00/ECP:10.015~15.005 | 1級 | ±1.5 | 1.3 |
アイゼンの直径不同0.3μmと、ドムの0.15μmは別の掲載仕様です。混ぜた共通等級表にはせず、採用シリーズと寸法範囲を確認します。カタログの発行年も未確認のため、最新仕様とは断定せず、注文時の製品資料と照合してください。
参考)https://dom-corp.jp/html/topics1.html
参考)ピンゲージ|製品情報|三和クリエーション株式会社
参考)https://www.skglobal.jp/img/file25.pdf
材質は鋼、超硬合金、セラミックスなどから、使用頻度、摩耗、温度、保管環境に応じて選びます。下表はアイゼンの材質比較資料にある値で、硬さはHRAのまま示し、HV・HRCへ独自に換算していません。
| 掲載材質 | 硬さHRA | 線膨張係数(×10⁻⁶/K) |
|---|---|---|
| セラミックス(ジルコニア) | 89 | 11.0 |
| 超硬合金 | 90.6 | 5.5 |
| 合金工具鋼 | 84以下 | 11.5 |
超硬合金は同資料で耐摩耗性と小さい線膨張係数が説明されていますが、温度影響がゼロになるわけではありません。鋼製に対する寿命を一律20~30倍と保証せず、摩耗状態と使用条件を確認してください。
ジルコニアは錆の発生がないという特徴がありますが、すべての薬品に対して絶対不変、破損しないという保証にはしません。採用する工具鋼やセラミックスの仕様と、接触する薬品の腐食性・清掃条件をメーカーに確認します。
新潟精機のAAシリーズは本体が鋼で、サブゼロ処理済みの掲載条件はφ2.700mm以上です。呼び寸法の本体表示は1.000mm以上、合格証はセット品に付属するとしています。これらを全材質・全サイズに共通する条件とは扱いません。
参考)https://www.monotaro.com/s/c-26080/
参考)製品情報 ピンゲージ セラミックスと超硬合金の特徴
参考)ピンゲージの基礎知識と導入事例
測定前にゲージと測定穴を清掃し、傷、錆、摩耗、変形を確認します。測定物とゲージの温度をそろえ、手の熱の影響を減らすため、必要に応じて適合するピンバイスを使ってください。清掃剤と防錆方法は材質・型式の取扱条件に従い、使用後は所定のケースへ戻します。
穴径を絞り込む選択ピン方式では、小径から順に無理なく挿入し、通過する最大のピンと、次に通らないピンを記録します。ただし呼び寸法には製作公差があり、穴の形状、温度、測定力なども影響します。最後に入った呼び寸法を厳密な実穴径と断定せず、実測値と測定条件を含めて範囲を評価してください。
この方法と、穴の限界公差に対応する通り・止まりを判定するプラグゲージは区別します。「入らないから必ず指定径以下」とは単純に保証できません。ファブエースの扱い方解説は、新潟精機を引用元として示した資料です。
新潟精機AA-1Aは1.000~1.500mmを0.010mmとびでそろえた51本セットですが、この刻みは測定不確かさではありません。AAシリーズのJCSS校正可能範囲はφ0.10~30.00mmと案内されており、校正を依頼する対象寸法と内容を確認します。
精度管理では、校正結果と摩耗・使用履歴を記録し、使用条件、過去の結果、要求精度から周期を設定します。校正は寸法を評価することで、現場で削って合わせる操作ではありません。不適合時は使用を止め、交換やメーカー対応を確認してください。
2016年の「品質」46巻4号の公開抄録では、点検・修正を行う器具向けのJIS Z 9090方式について、論文対象のピンゲージは対象外とし、別のリスク評価による周期設定を提案しています。著者らの中国工場で1年から3年へ延長し、外部校正費を1/3にした限定事例であり、全ピンゲージの標準周期や削減保証ではありません。
参考)ピンゲージとは
参考)「JIS Z 9090」が適用できない場合の校正周期最適化−…
建築設備の部品検査では、まず図面の穴径公差と検査対象を確認します。配管継手なども、製品名だけで測定方法を決めず、対象穴の形状、測定位置、判定基準に適したゲージを選んでください。
| 確認手順 | 照合する内容 |
|---|---|
| 図面・検査仕様 | 対象穴、寸法公差、測定位置、選択ピン方式か限界判定か |
| 採用ゲージ | メーカー、シリーズ、呼び寸法、許容差、形状精度、実測値 |
| 測定環境 | 清掃状態、温度、挿入方向、手熱・測定力の影響 |
| 校正・記録 | 校正対象と範囲、結果、不確かさ、管理番号、次回確認時期 |
ゲージの材質は図面・購入仕様で確認します。ステンレス鋼を指定する場合も、すべてのピンゲージがステンレス製とは扱わず、製作可否と寸法仕様をメーカーに照会してください。
JIS規格の適用、メーカー仕様、校正の認定範囲は別々に確認します。証明書や合格証があることだけで検査対象への適合を決めず、要求公差に対して測定方法とゲージの性能が適切かを確認し、使用した個体と判定結果を記録してください。
参考)ピンゲージの用途とは?種類や特徴もご紹介 - 精密部品加工セ…
参考)ピンゲージの複合加工におけるポイントとは? - 精密部品加工…
参考)https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223300246899/
ピンゲージの基礎知識と使い方
株式会社アイゼン公式サイト - ピンゲージ製品情報(ISO/IEC17025:2017認定取得、国際的に認められた校正証明書発行可能)
JIS Z 9090が適用できない場合の校正周期最適化に関する研究(ピンゲージの校正周期を1年から3年に延長し校正費用を1/3に削減した事例)
新潟精機 SK 日本製 鋼ピンゲージ 単品バラ AAタイプ 全長50mm AA 6.000mm