配管継手寸法表一覧|規格別サイズと選び方完全ガイド

配管継手寸法表一覧|規格別サイズと選び方完全ガイド

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配管継手寸法表一覧

配管継手寸法表の基本構成
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呼び径システム

A呼称(ミリ表示)とB呼称(インチ表示)の二重表記による日本独自の寸法体系

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継手種類別規格

ねじ込み式・溶接式・フランジ式など接続方法に応じた専用寸法表

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許容差管理

製造精度を保証する寸法許容差とJIS規格適合性の確認

配管継手寸法表の基本的な見方と規格

配管継手寸法表は、建築・設備工事において正確な部材選定と施工品質確保のための重要な技術資料です。日本の配管寸法体系は、アメリカの影響を受けた独特の呼び径システムを採用しており、同一の配管径に対してA呼称(ミリ表示)とB呼称(インチ表示)の二重表記が使われています。

 

寸法表の基本構成は以下の通りです。

  • 呼び径:配管の名目径(実際の内径・外径とは異なる)
  • 継手外径:継手本体の外寸法
  • フランジ外径:フランジ部分の外寸法
  • パイプ外径:接続するパイプの外寸法
  • 許容差:製造時の寸法バラつき許容範囲

注意すべき点として、呼び径は配管の内径や外径を直接表しているわけではありません。これは歴史的経緯により、流体の流量能力を基準とした名目上の寸法であり、実際の設計・施工では必ず寸法表で実寸を確認する必要があります。

 

JIS規格では、継手の種類ごとに詳細な寸法規定が設けられており、特にJIS B 2301(ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手)、JIS K 6743(水道用硬質ポリ塩化ビニル管継手)などが代表的です。

 

配管継手A呼称・B呼称の寸法対応表

配管継手の寸法選定において最も重要なのが、A呼称とB呼称の正確な対応関係の理解です。以下に主要サイズの対応表を示します。

A呼び径 B呼び径 継手外径 フランジ外径 パイプ外径
8A 1/4B 13.8mm 13.4mm 13.8mm
10A 3/8B 17.3mm 17.8mm 17.3mm
15A 1/2B 21.7mm 22.2mm 21.7mm
20A 3/4B 27.2mm 27.7mm 27.2mm
25A 1B 34.0mm 34.5mm 34.0mm
32A 1¼B 42.7mm 43.2mm 42.7mm
40A 1½B 48.6mm 49.1mm 48.6mm
50A 2B 60.5mm 61.1mm 60.5mm

B呼称の読み方には日本独自の慣習があり、1インチ以下は分数表記で「分(ブ)」と呼ばれます。例えば1/8Bは「1分(イチブ)」、3/4Bは「6分(ロクブ)」となります。これは1インチを8等分した単位に基づく表現で、現場では「ヨンブ」(1/2B)、「ロクブ」(3/4B)といった呼び方が一般的です。

 

突き合わせタイプの継手では、パイプ外径と継手外径が同一になりますが、差込みタイプのフランジでは、フランジ外径がパイプ外径より若干小さく設定されている点も重要な設計上の配慮です。

 

継手選定時は、接続するパイプの規格(SGP、SUS、塩ビ管等)によって実際の外径が異なる場合があるため、必ず該当する規格の寸法表で確認することが不可欠です。

 

配管継手ねじ込み式の寸法規格一覧

ねじ込み式管継手は、JIS B 2301に規定される可鍛鋳鉄製継手が標準的で、施工性と信頼性のバランスに優れた接続方法です。主要な継手種類と特徴的な寸法を以下に示します。
エルボ(90°・45°)の寸法規格

  • 8A~100Aまでの標準サイズ展開
  • 中心間距離(Center to Center)の規定
  • ねじ山の有効長さ基準

チーズ・クロスの寸法規格

  • 同径チーズ:全ポートが同一呼び径
  • 径違いチーズ:主管と分岐管で径が異なるタイプ
  • クロス:4方向接続の特殊継手

ソケット・ニップルの寸法規格

  • ソケット:直管接続用の基本継手
  • ニップル:両端雄ねじの短管継手
  • レジューサ:径違い接続専用継手

ねじ込み式継手の重要な寸法項目として、ねじ込み深さがあります。JIS規格では最小ねじ込み深さが規定されており、適切な接続強度確保のため必ず遵守する必要があります。

 

現場施工では、以下の寸法管理が重要です。

  • ねじ山の有効長さ確認
  • シール材(麻・シールテープ等)使用時の寸法変化考慮
  • 熱膨張による寸法変化の検討
  • 配管応力に対する継手強度評価

ねじ込み式継手の寸法許容差は、径の呼びによって段階的に設定されており、6A~8Aで±1.5mm、10A~20Aで±2.0mm、25A~50Aで±3.0mmとなっています。

 

配管継手溶接式の寸法表と選定基準

溶接式管継手は高圧・高温条件での使用に適した接続方法で、突合せ溶接式と差込み溶接式の2種類に大別されます。それぞれ異なる寸法体系と選定基準を持ちます。

 

突合せ溶接継手の寸法特性
突合せ溶接継手は、配管と継手の肉厚を同一として溶接する方式で、以下の寸法管理が重要です。

  • 開先角度:通常37.5°または30°
  • ルート間隔:1.6~3.2mm
  • 継手端面の仕上げ精度

寸法表では、中心間距離(Center to Center)、継手外径、肉厚が主要項目となります。15A~300Aまでの広範囲なサイズ展開があり、特に大口径配管では突合せ溶接が標準的です。

 

差込み溶接継手の寸法特性
差込み溶接継手は、継手内部にパイプを差し込んで溶接する方式で、小口径配管に多用されます。重要な寸法項目は以下の通りです。

  • 差込み深さ(Socket Depth)
  • 継手内径とパイプ外径のクリアランス
  • 溶接部の有効長さ

差込み深さは継手強度に直結する重要寸法で、8A~80Aの範囲で段階的に設定されています。例えば、15Aでは差込み深さ13mm、25Aでは19.1mmとなります。

 

Sch-80規格における寸法管理
高圧配管用のSch-80継手では、より厳格な寸法管理が要求されます。

  • 肉厚の均一性確保
  • 内面仕上げ精度の向上
  • 応力集中部の寸法最適化

溶接継手選定時の重要な考慮点として、配管系統の設計圧力、使用温度、流体の性質に応じた材質選定があります。特に化学プラント等では、耐食性と強度を両立する材質選定が不可欠です。

 

配管継手規格別寸法許容差の重要性

配管継手の寸法許容差は、製品品質と施工精度を保証する重要な技術基準です。JIS規格では継手の種類、材質、径の呼びに応じて詳細な許容差が規定されており、現場での品質管理指標となります。

 

継手種別による許容差基準
溶接式管継手の寸法許容差は、FSGP・PY400製品とその他の製品で異なる基準が適用されます。

  • 15A~65A:外径許容差 +1.6/-0.8mm
  • 80A~100A:外径許容差段階的緩和
  • 125A以上:更なる許容差拡大

この段階的な許容差設定は、大口径になるほど製造時の寸法管理が困難になることを考慮した合理的な基準です。

 

加熱炉用管継手の特殊許容差
高温用途の加熱炉用管継手では、中心間距離(P)に対して特別な許容差が設定されています。

  • 8B(200A)以下:±4mm
  • 10B(250A):±6mm

これは熱膨張による寸法変化を考慮した設計配慮であり、高温環境での信頼性確保に不可欠な規定です。

 

寸法許容差が施工品質に与える影響
寸法許容差の管理不良は、以下の施工トラブルを引き起こす可能性があります。

  • 接続部での応力集中
  • シール性能の劣化
  • 配管系統全体のアライメント不良
  • 長期使用における疲労破壊リスク

現場における許容差確認では、ノギス・マイクロメータ等の精密測定器具を使用し、特に重要部位では複数点での寸法確認を実施することが推奨されます。

 

また、温度変化が大きい配管系統では、設計時の許容差に加えて熱膨張係数を考慮した余裕度設定が重要です。ステンレス鋼では約17×10⁻⁶/℃、炭素鋼では約12×10⁻⁶/℃の線膨張係数を持つため、温度差100℃の条件では相当な寸法変化が発生します。

 

品質管理の観点から、受入検査では全数の寸法確認、施工時では主要継手の抜取検査、完成検査では系統全体のアライメント確認という段階的な検査体制が効果的です。