

ポリサルファイドシーリング材は、ポリサルファイドを主成分とするシーリング材で、特に引張応力が大きく高い耐久性を持つことから、カーテンウォールなどの外装目地に古くから採用されてきた材料です。 湿気硬化型の1成分形と、基材と硬化剤を現場で練り合わせる2成分形があり、歴史的には2成分形が多くの被着体に強固な接着力を発揮する高性能シーリングとして普及しました。
一般的なウレタン系や変成シリコーン系のシーリング材と比較すると、ポリサルファイドシーリング材は耐薬品性や耐油性に優れており、工場や化学プラントなど薬品飛散が想定される環境にも適用しやすい点が特徴です。 一方で、可塑剤を含む従来品ではブリード現象による塗膜汚染が起こりやすいことから、外壁塗装を前提とした住宅分野では、ノンブリードタイプの他系統シーリング材に切り替えられているケースも増えています。nurikae-no1+4
ポリサルファイドシーリング材の優れた点として、長期にわたって柔軟性を維持しやすく、建物の微小な動きに追従しやすいことが挙げられます。 特に、温度変化や地震による目地幅の変動に対して、ひび割れや剥離を抑えながら防水性と気密性を確保できる点は、躯体の寿命を伸ばしたい大規模建築物で評価されています。advance-tech+2
ポリサルファイドシーリング材は、外壁パネルやカーテンウォールの目地、防水上重要となる躯体の打継ぎ部、金属サッシ周りなど、長期にわたり動きが繰り返される接合部での使用に適しています。 特に、コンクリート、金属、ガラスなど異種材料の取り合いに用いることで、それぞれの線膨張係数の違いによる挙動差をうまく吸収し、漏水リスクを低減できます。
また、耐薬品性の高さから、薬品タンク基礎周り、処理設備床面の目地、工場内配管やピット周りなど、油や薬品が付着しやすい環境での目地処理材としても検討されます。 ただし、常時水に浸かるような水槽内部や、飲料水が直接触れる部分などでは、別規格の防水材やシール材が推奨される場合があるため、JISやメーカー仕様書で適合範囲を確認することが重要です。seibicop+4
実務的には、ポリサルファイドシーリング材を主材としながらも、サッシ周りやサイディング目地など塗装との相性が重視される部分ではノンブリードタイプのウレタンや変成シリコーンへ切り替えるなど、用途ごとの適材適所設計が行われます。 こうした複数材の併用では、目地の優先度とメンテナンス周期を整理し、どこに最も長寿命なシーリングを割り当てるかを事前に決めておくことで、トータルの維持管理コストを抑えることができます。sealant+3
ポリサルファイドシーリング材を含む従来型シーリング材の多くには、柔軟性を確保するための可塑剤が配合されており、この可塑剤が経年とともに移行することで塗膜汚染を引き起こす「ブリード現象」が問題となります。 ブリード現象では、シーリング材表面から可塑剤が塗膜側に移動し、塗装面がべたついたり、黒ずみや変色を起こすことがあり、美観だけでなく汚れ付着の助長にもつながります。
この可塑剤移行は、実務者にとっては塗装トレーがシーリング材と接しているだけで溶けてしまうような現象として身近に観察されることがあり、可塑剤の強い溶解性と浸透性を象徴しています。 そのため、既存の可塑剤含有シーリング材に対して「増し打ち」を行うと、旧材から新材へ可塑剤が移行・透過し、その上に塗装した場合にブリード汚染が再発するケースも少なくありません。seibicop+1
対策としては、ノンブリードタイプのシーリング材を選定する、あるいはシーリング材の上に塗布するブリード抑制塗料(バリアプライマー)を併用する方法が一般的です。 ただし、ノンブリードタイプであっても全く可塑剤移行がないわけではなく、塗料メーカーの仕様に従い、シーリング材と塗装系の組み合わせ試験や指定プライマーの使用を徹底することが、長期的な美観維持の鍵となります。sealant+2
ポリサルファイドシーリング材を用いた既存建物の改修では、旧目地にブリード汚染が見られる場合、単に上から打ち増しするのではなく、可能な範囲で旧材を撤去した上で新しいノンブリード系の目地設計に切り替えることが推奨されます。 こうした対応により、可塑剤由来のトラブルを次の改修周期まで持ち越さず、塗装面の再汚染リスクを抑えることができます。fukai-paint+1
ポリサルファイドシーリング材の性能を最大限に引き出すうえで重要なのが、旧シーリング材の撤去と下地処理、そしてプライマーの正しい扱いです。 旧材が十分に撤去されていないと、可塑剤移行や接着不良の原因となり、せっかく高耐久なシーリングを選定しても、数年内に早期剥離や破断が発生する恐れがあります。
下地処理では、目地内の埃やレイタンス、油分、水分を丁寧に除去したうえで、メーカー指定のプライマーを均一に塗布し、指示されたオープンタイム内にシーリングを充填することが求められます。 プライマーは一度に大量に開封すると、揮発や湿気によって性能が落ちやすく、必要量を小分けして使うことが推奨されている点は、現場で見落とされがちなポイントです。advance-tech+2
また、2成分形のポリサルファイドシーリング材では、基材と硬化剤の混練度合いが硬化不良や性能低下に直結します。 計量誤差や練り不足があると、部分的に硬化しない箇所が残り、そこから汚れの付着や早期劣化が進むため、専用ミキサーの使用や練り時間の管理が品質確保には不可欠です。token+1
意外な点として、ポリサルファイドシーリング材の施工時には、気温や湿度だけでなく、風速も仕上がりに影響を与えることがあります。 強風下ではシーリング材の表面に埃が付きやすく、可塑剤を含んだ表層が汚れを抱き込むことで、初期の美観低下や塗装密着不良の一因となるため、仮設足場のシートや養生で風の影響を抑える工夫が有効です。sealant+1
ポリサルファイドシーリング材はもともと長寿命な材料ですが、周辺の塗装や外装材のメンテナンスサイクルと必ずしも一致しないため、改修計画では「どのタイミングで打ち替えるか」という判断が重要になります。 目地表面に微細なひび割れが生じていても、防水性能がすぐに失われるとは限らず、硬度測定や目視での浮き・剥離確認などを組み合わせた診断によって、打ち替え・増し打ちの是非を検討するのが実務的です。
改修時に意外と見落とされるのが、ポリサルファイドシーリング材と周辺部材の「寿命のズレ」です。 たとえば、サッシはまだ健全でも、外壁パネルの塗装が劣化している場合、塗装改修に合わせて目地を全て打ち替えるのか、それとも高性能シーリングだけを残して部分改修にとどめるのかで、コストとリスクのバランスが変わってきます。fukai-paint+2
ポリサルファイドシーリング材から他系統へ切り替える場合は、既存目地形状と目地幅・深さの再設計も重要な検討ポイントです。 たとえば、弾性の特性が異なるシーリング材に置き換えると、目地幅が足りずに動きに追従しにくくなったり、逆に過度に深い充填で応力が集中しやすくなったりするため、単なる「材料の入れ替え」ではなく、目地形状とバックアップ材の選定を含めた総合的な改修設計が求められます。advance-tech+2
さらに、長期メンテナンス戦略として、将来の打ち替え作業性をあらかじめ考慮しておくことも、実務者の独自視点として有効です。 具体的には、足場設置が難しい高層部や設備の多い階でこそ、ポリサルファイドシーリング材など高耐久タイプを優先配備し、比較的アクセスしやすい低層部やバルコニー周りでは、メンテナンス性を重視した材種選定を行うことで、次回改修の負担を抑えることができます。fukai-paint+2
外壁シーリング材と可塑剤移行対策全般の詳細解説(可塑剤の働き、ブリード現象のメカニズム、改修時の注意点)の参考資料:
住宅外壁改修のためのシーリング材ガイド(日本シーリング材工業会)