

建設リサイクル法で「届出が必要になる入口」は、工事で扱う資材が「特定建設資材」に該当するかどうかです。国土交通省の周知資料では、特定建設資材として「コンクリート」「コンクリートと鉄から成る建設資材」「木材」「アスファルト・コンクリート」が例示されています。
この資材が使われている構造物に関する工事で、次のH3で説明する「規模基準」を満たすと、届出(第10条)が必要になります。
現場感覚だと「解体工事だけが対象」と誤解されがちですが、同資料は新築・増築や修繕・模様替、土木工事等も対象に含む枠組みを示しています。つまり、解体だけでなく、増築、外構、造成、舗装などでも条件次第で届出が発生します。
また、特定建設資材の「発生」がポイントなので、内装更新でも下地や躯体に触れる範囲があると対象判定が変わることがあります(見積段階では“軽微”に見えても、着工後に想定外の撤去が出るケースがあるため要注意です)。
参考:特定建設資材と対象工事の全体像(国交省の周知資料)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/recyclehou/todokede/todokede10.pdf
届出対象かどうかは、工事種別ごとの「面積」または「請負代金額」で判定します。国土交通省資料に示される基準は、(1)建築物解体は床面積合計80㎡以上、(2)建築物の新築・増築は床面積合計500㎡以上、(3)建築物の修繕・模様替等は請負代金額1億円以上、(4)建築物以外の工作物(土木工事等)は請負代金額500万円以上です。
ここで重要なのは「工事の種類によって、面積基準と金額基準が混在する」点で、社内のチェックリストが面積だけ・金額だけに偏っていると漏れが起きます。
実務で特に迷いやすいのが、次の2パターンです。
なお、自治体の案内ページでも同じ規模基準が整理されていることが多く、提出先や添付書類が自治体運用で微妙に違う場合があります(同じ法令でも窓口実務は自治体ごとに差が出やすい領域です)。
参考:自治体の届出・通知フロー例(大阪市)
https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000012382.html
届出の提出期限は「工事に着手する7日前まで」が原則で、国土交通省の資料でも明記されています。届出義務者は「発注者及び自主施工者」で、現場を請け負う受注者が“代わりに出してくれるはず”と決め打ちすると、社内統制として危険です。
実務では、元請が書類作成を支援し、発注者名義で提出する運用が多い一方、最終責任の所在(誰が届出義務者か)を契約書面と社内稟議で明確にしておかないと、提出遅延時のリスクが発注者側に残ります。
同資料は手続きの流れとして、①受注者が発注者へ分別解体等の計画を「書面交付して説明」→②契約書面に分別解体等を明記→③発注者が7日前までに届出→④受注者が完了報告・記録保存、という流れも示しています。
この流れを現場の工程に落とすと、「着工日が確定した後に書類を作る」のでは間に合わないことがあるため、少なくとも契約締結〜着工までの間に、分別解体等の計画書のドラフトを回し始める運用が現実的です。
参考:届出期限7日前と手続きフロー(国交省の周知資料)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/recyclehou/todokede/todokede10.pdf
届出先は、国土交通省資料上「都道府県知事への届出」と整理されており、実務的には工事場所を管轄する都道府県・政令市等の窓口(特定行政庁など)になります。自治体ページでは、工事場所によって提出窓口が市役所・県の土木事務所などに分かれる例が具体的に示されているため、案件ごとに“場所起点”で確認するのが確実です。
また、国土交通省は「建設リサイクル法第10条届出様式集」を公開しており、Excel版や記載例(参考)への案内もあります。
様式面でありがちな落とし穴は、「自治体独自の添付資料」や「写真・図面の取り扱い」です。例えば、自治体によっては工程表や工事規模が分かる写真、平面図などを求める案内があり、様式本体だけ埋めても差し戻しになることがあります。
提出のタイミングが7日前固定で動かしにくい以上、差し戻しに備えて、社内の標準添付(位置図、配置図、平面図、工程表、写真、分別解体計画の根拠メモなど)をテンプレ化しておくと事故が減ります。
参考:国交省の届出様式集(第10条、Excel版・記載例案内)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/d03project/d0303/page_030305format.htm
検索上位の解説では「80㎡・500㎡・1億円・500万円」が中心になりますが、現場のトラブルは“当初は対象外のつもりだったのに途中で対象化する”局面で起きやすいです。典型例は、工区分け・契約分割・追加工事(変更契約)で、金額や範囲が積み上がって基準を超えるパターンです。
建設リサイクル法の手続きフロー自体が「説明→契約→届出→完了報告」と契約と強く結びついているため、契約変更が頻繁な案件ほど、届出判定も“固定ではなく更新される”前提で管理するのが現実的です(フローが契約書面への明記を求める点からも、契約実務と不可分です)。
独自視点としての対策は、法令知識よりも「運用設計」です。次のような仕組みにすると、現場が忙しくても漏れにくくなります。
最後に、現場で即使える「対象判定の超短縮メモ」を置いておきます。
| 判定の軸 | 確認ポイント | よくある誤解 |
|---|---|---|
| 資材 | コンクリート・木材・アスファルト等が関与するか | 内装工事は常に対象外と思い込む |
| 規模 | 解体80㎡/新築等500㎡/修繕等1億円/工作物500万円 | 面積だけ、金額だけで判定してしまう |
| 期限 | 工事着手の7日前まで | 書類は着工後でも出せると思い込む |
| 当事者 | 届出義務者は発注者・自主施工者 | 元請が勝手にやってくれると思い込む |
この「途中で対象化する」問題は、法令条文の暗記よりも、契約変更・追加工事の運用に“再判定”を組み込めるかで勝負が決まります。現場と事務(見積・契約・法務・安全)をつなぐチェックポイントとして、「対象判定=最初の一回で終わり」ではなく「契約と範囲が動くたびに更新」という考え方に寄せると、届出漏れの確率が一気に下がります。