

漏水補修樹脂として最も使用頻度が高いのがウレタン樹脂で、マンションや地下構造物の漏水補修では標準的な選択肢になっています。 水と反応して発泡・膨張する加水反応型ウレタンは、微細なひび割れや空隙にも入り込みやすく、止水性を短時間で確保しやすいのが大きな利点です。
ウレタン系止水材は、疎水性タイプと親水性タイプに大別され、それぞれ止水のアプローチが異なります。 疎水性止水剤は樹脂骨格が水をはじきやすく、局所的に高い膨張圧を発揮してクラック内部を物理的に押さえ込み、一次止水に適しています。 一方、親水性止水剤は浸透した水そのものをゲル化させ、構造物背面にゴム状の遮水層を形成するため、大量漏水や背面土砂への浸透水を抑えたいケースで有利です。inject-ws+1
施工の観点では、1液型の加水反応型ウレタンは現場での計量・混合工程を省略できるため、夜間作業や狭小空間など段取りが制限される現場で重宝されます。 ただし、温度・水量・希釈率によって硬化速度や発泡倍率が大きく変動するため、事前にテストショットを行い、その現場条件に合った配合と注入スピードを確認しておくことが重要です。lindos-kaishu+1
ウレタン樹脂の意外な注意点として、原液や高濃度のまま注入すると過大な膨潤圧が発生し、かえってコンクリートを押し割るリスクがある点が挙げられます。 特にハイドロスーパータイトなどの親水性止水剤では、メーカーが明確に「原液注入禁止」と注意喚起しており、指定濃度を守ること自体が構造体保全の重要な要件になっています。inject-ws+1
漏水補修樹脂の中でもエポキシ樹脂は、高い圧力が掛かる水漏れに対して有効な注入材として位置付けられています。 高強度かつ高い接着性を持つため、構造クラックを充填して一体化させる「補修」と「補強」を同時に狙えるのが、ウレタン樹脂との大きな違いです。
高圧漏水の場面では、一時的に止水セメントなどで水量を抑えた上で、低圧~中圧のエポキシ樹脂注入に切り替える施工手順が取られることが多く、漏水ルートそのものを閉塞する恒久対策として評価されています。 また、鉄筋近傍のクラックにエポキシ樹脂を充填することで、鉄筋の発錆と断面欠損の進行を抑える目的でも利用されます。
一方で、エポキシ樹脂は剛性が高く、コンクリートの乾湿収縮や地盤の微小な動きへの追従性はウレタンやアクリルと比べて低いという特性があります。 そのため、動きが継続する可能性がある伸縮目地や、温度変化の大きい外装クラックでは、単独使用よりも弾性材料との併用や部位・目的を限定した使い方が推奨されます。o-shimaya+1
また、エポキシ樹脂は硬化が進むと急激に粘度が上昇し、所定時間を過ぎると配管やポンプ内部で固化して機材を損傷させるリスクがあります。 実務的には「1バッチあたりの可使時間を必ず計測し、ポンプ内部を樹脂のまま放置しない」という段取りが、失敗防止のうえで非常に重要です。takumi045+1
漏水補修樹脂としてのアクリル樹脂は、ウレタン樹脂と比べて高い流動性と接着性を兼ね備えており、極めて細かいひび割れや継ぎ目にも浸透しやすい材料です。 ひび割れの先端まで樹脂が入り込みやすいため、クラックの進展を抑える効果も期待できるとされています。
アクリル系注入材は、一般に低粘度でゲル時間の調整がしやすく、広い範囲にわたる微細クラック群への一括注入にも適しています。 地下外壁やトンネル覆工の背面空洞部で、背面土砂の細かい間隙にまで浸透させて遮水層を形成する用途にも用いられ、ウレタン系では届きにくい微細領域をカバーできる点が特徴です。syochiku+1
また、アクリル樹脂は硬化後もある程度の柔軟性と追従性を持ち、ひび割れのわずかな開閉が継続する部位に対してもクラック追従型の防水層として機能しやすいとされています。 一方で、長期耐久性は製品や組成による差が大きく、紫外線や薬品に対する抵抗性まで含めて比較検討することが重要です。syochiku+1
意外なポイントとして、アクリル系注入材の一部は「水質への影響」を抑える設計がされており、上水に近い環境や水処理施設の近傍など、水質基準への配慮が必要な場所で採用されるケースがあります。 漏水補修樹脂を選定する際には、止水性能だけでなく、注入先環境に対する安全性・環境負荷も重要な比較軸となります。o-shimaya+1
漏水補修樹脂の選定では、「どの樹脂が優れているか」よりも「どの漏水パターンに何を組み合わせるか」という視点が重要です。 例えば、大量漏水でまず水勢を抑えたい場面では親水性ウレタンによる一次止水、その後の恒久化でエポキシやアクリルの注入に切り替えるなど、段階的な設計が現実的です。
失敗しやすいパターンとしては、漏水ルートを把握しないまま表面から樹脂を闇雲に注入し、別の経路から水が吹き出す「逃げ道」を作ってしまうケースがあります。 マーキングや試験注入を通じて水の動線を確認し、必要に応じてドレンの新設やルートの解放も含めて、全体としての水圧バランスを設計することが、長期安定した止水には不可欠です。
また、プライマーの省略や濡れたままの基材への充填によって接着不良が起こり、数カ月で再漏水するトラブルも少なくありません。 特にエポキシ樹脂は乾燥状態での接着性を前提としている製品が多く、下地含水率の管理や仮止水との工程分離を丁寧に行うことで性能を引き出せます。shintoa-tosou+2
意外と見落とされがちな点として、注入圧の管理と穿孔ピッチの設計があります。 圧力を上げ過ぎると未硬化の樹脂が構造体の別の弱点から噴き出すだけでなく、クラックの拡大や新たな損傷を招くリスクがあり、逆に低すぎると背面まで樹脂が届かず表層止まりになってしまいます。o-shimaya+1
建材カタログに記載されている漏水補修樹脂の性能値は、JISや社内試験による標準化された条件下のデータであり、実際の現場条件とは必ずしも一致しません。 そのため、現場では「カタログ上の物性値」と「過去の施工実績から得られた感覚値」の両方を踏まえて材料を評価する視点が重要です。
例えば、親水性ウレタンの膨潤率やゲルタイムはカタログで一定の範囲が表示されていますが、実際には地下水温や水質(アルカリ性・塩分濃度など)によって硬化挙動が変化し、同じ配合でも止水までの時間や最終的な弾性が変わることがあります。 こうした差異を把握するには、試験注入の際に「膨張開始時間」「止水までの時間」「硬化後の感触」をその場で記録し、データとして蓄積することが有効です。lindos-kaishu+2
また、エポキシやアクリル樹脂についても、カタログでは耐アルカリ性や接着強度が数値で示されている一方で、既存構造物の劣化度合いや汚染状態により、期待値に達しないケースがあります。 研磨や目粗し、吸水調整材の併用などの前処理を変化させたときの接着状態を写真付きで記録し、「この下地条件にはこの樹脂+この前処理」という社内ノウハウに落とし込むと、単なるスペック比較から一歩進んだ選定基準が構築できます。shintoa-tosou+2
意外な活用例として、一部の現場では「同一メーカーの親水性ウレタンと疎水性ウレタンを段階的に使い分ける」ことで、初期止水と長期安定の両立を図っているケースがあります。 具体的には、まず親水性止水剤で背面の水をゲル化させて水勢を落とし、その後に疎水性止水剤でクラック内部を高密度に充填することで、膨潤圧を過度に高めずに止水層を強化するアプローチです。inject-ws+1

LOCTITE(ロックタイト) 多用途補修パテ - 補修・充填・接着用エポキシパテ、成形可能接着剤 - 1x48g DHP-481