

硫酸バリウムの組成式(現場では化学式と呼ばれがちです)はBaSO4です。
ここで重要なのは「BaSO4を丸暗記する」より、「バリウムイオンBa2+ と硫酸イオンSO4 2- が電荷を打ち消し合うから1:1で組む」と理解しておくことです。
この“電荷が±2でそろうから係数がいらない”という形は、工程表や材料SDSを読んでいるときにも混乱を減らします(硫酸塩・炭酸塩などで同様の見方ができるためです)。
また、硫酸バリウムはイオン結晶性の化合物で、天然には重晶石(バライト)として産出します。
参考)硫酸バリウム - Wikipedia
建築従事者が「重晶石」「バライト粉」という呼び方を見かけたら、硫酸バリウム系の高比重材料の文脈だと結び付けると理解が早くなります。
硫酸バリウムは水に極めて難溶で、沈殿(白色)として扱われる代表例です。
中学理科の定番では、硫酸(H2SO4)と塩化バリウム(BaCl2)を混ぜると硫酸バリウム(BaSO4)が沈殿し、反応式はH2SO4 + BaCl2 → BaSO4 + 2HClの形で学びます。
この「BaSO4=沈殿=水に溶けない」をワンセットで覚えると、化学式だけが頭から抜け落ちる事故を防ぎやすいです。
さらに、酸やアルカリにもほとんど溶けない一方で、濃硫酸には熱時に酸性塩を生じて溶ける、という例外も知られています。
現場の感覚で言い換えるなら「基本は安定で溶けにくいが、強い条件では例外がある」なので、薬剤洗浄・酸洗い・廃液処理の話題に入ったときの注意点として押さえる価値があります。
硫酸バリウムは比重(密度)が大きい材料として説明されることが多く、比重4.50(15℃)という値で紹介される例もあります。
この「重い白い粉」というキャラクターは、充填材や遮蔽材の発想と直結し、建築材料の設計思想(重量付与、沈降抑制、遮蔽性能の確保)を理解する助けになります。
覚え方としては、BaSO4の「Ba=重い金属系(バリウム)」「SO4=硫酸イオンの塊」をイメージし、“軽いわけがない”と連想しておくと、比重の特徴と化学式がセットで残ります。
参考)硫酸バリウム|芒硝・ガラスビーズなど化学品の輸入卸の山西物産…
また、重晶石(バライト)としての利用が油井掘削泥水の加重剤に使われる、といった用途が知られており、「比重が武器になる材料」である点がはっきりします。
硫酸バリウム(BaSO4)は放射線(γ線・X線)に対する遮蔽用途の文脈で語られることがあります。
例えば竹中工務店の放射線遮蔽ボードの説明では、素材として「せっこう」と「高濃度の重晶石(硫酸バリウム:BaSO4)などの天然素材」を用いることが明記されています。
建築側の実務としては、「鉛を使わない遮蔽」「内装工事として施工しやすい遮蔽材」という要求があるため、硫酸バリウム系の“高比重・比較的安定”という特徴が活きる場面が出ます。
ここで化学式の覚え方を実務に接続するコツは、図面や仕様書で「重晶石」「BaSO4」「硫酸バリウム」が混在しても同じ系統の材料だと瞬時に統合できるようにしておくことです。
参考)施工性と環境性に優れた放射線遮蔽ボード「RadBoard-X…
つまり「硫酸バリウム=BaSO4=重晶石(バライト)」をひとまとまりの語彙として持つと、材料選定の会話が通りやすくなります。
放射線遮蔽建材(重晶石系)の概要がまとまっている参考リンク。
施工性と環境性に優れた放射線遮蔽ボード「RadBoard-X…
硫酸バリウムは沈降性硫酸バリウムの英語表記「blanc fixe(永久の白)」の由来が知られており、白色塗料・充填材として使われる文脈があります。
この“白さの異名”をフックにすると、BaSO4を単なる暗記事項ではなく、「白い」「難溶」「安定」「重い」という性格のまとまりとして記憶しやすくなります。
建築の視点でも、材料の「白色」「隠蔽」「充填」「比重」の話は塗材・シーリング・樹脂系材料などで登場しやすいため、化学式の暗記が実務用語の理解へ自然に伸びます。
加えて、硫酸バリウムはバリウム化合物の中では例外的に安定で、バリウムイオンが溶出しにくいことから劇物指定から除外されている、という安全性の説明もあります。
「バリウム=危険」と短絡せず、「硫酸バリウムは別枠で語られることがある」と知っておくと、SDSを読むときの解像度が上がります。
硫酸バリウムの性質・用途(重晶石、blanc fixe、難溶性、安全性)が一通り確認できる参考リンク。
硫酸バリウム - Wikipedia