硫酸ストロンチウム沈殿と溶解度と反応式

硫酸ストロンチウム沈殿と溶解度と反応式

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硫酸ストロンチウム沈殿

この記事でわかること
📌
沈殿が起きる条件

Sr2+とSO4 2-が同じ水にそろうと白色沈殿になりやすい理由を、溶解性・溶解度の観点で整理します。

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反応式と見分け方

現場での混合・希釈・薬注の「どこで何が沈むか」を、基本の反応式と観察ポイントで具体化します。

🛠️
建築の実務対策

排水・配管・槽内での析出を前提に、再溶解に頼らない設計・運転の考え方(独自視点)まで踏み込みます。

硫酸ストロンチウム沈殿の反応式と白色の観察

硫酸ストロンチウム(SrSO4)の沈殿は、溶液中でストロンチウムイオンSr2+と硫酸イオンSO4 2-が出会った瞬間に進む「イオン反応」を押さえると理解が早いです。信州大学の実験資料でも、硝酸ストロンチウム水溶液に硫酸アンモニウム水溶液を加えると白色の硫酸ストロンチウムが沈殿すると明記されています。[]
反応式は、イオン式で書くと Sr2+ + SO4 2- → SrSO4(沈殿)で、余計な対イオン(硝酸イオンやアンモニウムイオンなど)は“観客”として残ります。[web
現場目線で重要なのは「白色=何でも同じ」ではない点です。白色沈殿は炭酸塩硫酸塩・水酸化物など候補が多く、断定には採水条件(混合順序、温度、攪拌、滞留時間)を含めた状況証拠が効きます。特に“混合した直後に急に濁る”場合、溶解度が小さい塩がその場で飽和を超えた可能性が高く、SrSO4はその典型側に入ります。[web
また、沈殿が微粒子で出た場合は一見「白く濁った水」にしか見えず、沈降が遅いことがあります。こういうときは、ろ過してフィルター上に白色粉が残るか、時間経過で沈むか(熟成で粒が育つか)を確認すると、単なる気泡や微細な土粒子との区別がつきやすくなります。[]

硫酸ストロンチウム沈殿と溶解性と溶解度の基本

硫酸ストロンチウムは水に「ほとんど溶けない(微溶)」側の塩で、沈殿として現れやすいのが特徴です。富士フイルム和光純薬の製品情報でも、水・希塩酸・希硝酸に微溶、エタノールに不溶と整理されています。[]
この“微溶”は、配管や槽の運転で効いてきます。いったん沈殿が出ると、単に水で流しても再溶解しにくく、流速が落ちる箇所(曲がり、継手、デッドレグ、沈砂槽の角、ポンプ吸込側)で堆積しやすいからです。[]
一方で、「酸にわずかに溶ける」性質も同時に持つため、酸洗いで落ちる可能性はありますが、現場では酸洗い=腐食・ガス・中和処理・排水基準など別コストが立つため、常用対策にしにくいのが実情です。だからこそ、沈殿が出ない水質設計(混合順序、薬注点、滞留時間、濃度ピークを作らない)が先に来ます。[]
建築従事者向けに言い換えると、SrSO4は「一度スケール化すると落としづらい側」の部類です。水にほとんど溶けないという性質そのものが、付着・堆積・閉塞のリスクに直結します。[]

硫酸ストロンチウム沈殿と混合順序と局所高濃度

沈殿トラブルの多くは、実は“全体の濃度”ではなく“局所の濃度ピーク”で起きます。例えば、硫酸イオンを含む薬剤を配管の一点から注入し、そこにSr2+を含む水が合流するような系では、混合が完了する前の短い距離で Sr2+ と SO4 2- が高濃度で出会い、SrSO4がその場で白色沈殿として発生します。[]
信州大学の実験はまさに「溶液に溶液を加えると沈殿する」という最も単純な再現モデルで、現場ではこれが“連続的に”起きていると捉えると実態に近づきます。つまり、薬注のティー部や静止ミキサー直後、ポンプ羽根近傍などが“実験ビーカーの中”になっている可能性があります。[]
このタイプの沈殿は、最初はごく薄い濁りでも、運転を続けると核が残って結晶が育ち、やがて硬いスケールへ移行します。だから「今日は少し白いが流れているから大丈夫」という判断が、数週間〜数か月の閉塞につながることがあります(特に断続運転で乾湿を繰り返すと付着が進みやすい)。[]
対策として現場で効くのは、(1)薬注点を下流で十分攪拌できる位置へ移す、(2)注入を希釈して濃度ピークを消す、(3)反応させるなら反応槽で沈殿を回収し、配管内で沈ませない、の3つが基本方針です。これは「沈殿は出るもの」と割り切り、出る場所を支配する考え方です。[]

硫酸ストロンチウム沈殿と配管スケールと微溶の落とし穴

硫酸ストロンチウムの厄介さは、単に沈殿するだけでなく「微溶で、しかも水では戻りにくい」ことにあります。和光純薬の記載どおり水にほとんど溶けないため、いったん析出した粒子が配管内で“洗い流されながら消える”期待は持ちにくいです。[]
建築設備・仮設配管・水処理設備で想定すべきは、白色沈殿が“泥”ではなく“無機スケール”として振る舞う点です。泥は攪拌やフラッシングで動きますが、スケールは付着し、断面を削り、流速や圧損の計算前提を変えていきます。[]
また、沈殿が微粒子として流れている段階でも油断は禁物です。微粒子はストレーナ・フィルターで捕捉され、差圧上昇→バイパス運転→さらに下流で付着、という二次障害を誘発します。結果として、沈殿そのものより「捕捉・堆積の場所」が設備の弱点として露呈します。[]
実務のチェック項目としては、✅ストレーナ清掃頻度の変化、✅ポンプの異音(キャビテーションではなく固形物噛み込み)、✅熱交換器の伝熱低下(薄いスケールでも効く)、✅透明ホースの白濁、などが“早期の兆候”になり得ます。これらは分析装置がなくても現場巡回で拾えるサインです。[]

硫酸ストロンチウム沈殿と建築の水処理の独自視点

検索上位の多くは「化学の沈殿反応」としてSrSO4を説明しますが、建築実務で一段効くのは“沈殿を消す発想”より“沈殿の置き場を設計する発想”です。SrSO4が水にほとんど溶けない以上、条件がそろうならゼロにはしにくく、ならば回収しやすい場所に閉じ込める方がトータルで安全です。[]
具体的には、反応槽(撹拌あり)→沈降分離(沈殿池やクラリファイア)→ろ過、のように「沈殿を設備として扱う」流れが現場向きです。ビーカーの中で起きる反応を、配管の中で起こさず、槽の中で起こして回収するというだけで、閉塞や付着の確率が大きく下がります。[]
さらに意外な盲点として、同じ“白色沈殿”でも粒の性状が運転により変わる点があります。急激な混合は微粒子を作りやすく、微粒子は沈みにくくフィルターを詰まらせやすい一方、穏やかな生成は比較的沈みやすい粒径になり、沈降分離と相性が良くなることがあります(つまり「沈殿の作り方」を制御すると後段のコストが変わります)。[]
現場の段取りとしては、(1)採水してSr2+とSO4 2-の同時存在を疑う、(2)薬注・合流点を追って局所高濃度の位置を特定、(3)沈殿を出すなら槽内に寄せて回収、(4)配管内は“析出させない流れ”へ、という順序が実用的です。化学は難解に見えても、結局は「混ぜ方の設計」と「固形物の扱い」に落ちます。[][]
参考:硫酸ストロンチウムの沈殿反応(白色沈殿)とイオン反応式(Sr2+ + SO4 2- → SrSO4)
http://zen.shinshu-u.ac.jp/modules/0027006002/main/sr-a2.html
参考:硫酸ストロンチウムの溶解性(「水にほとんど溶けない」「希酸に微溶」などの物性情報)
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/product/detail/W01W0119-0425.html