

催眠商法(SF商法)は、閉め切った会場や店舗に人を集め、日用品を「ただ同然」で配って場を盛り上げ、冷静な判断ができない状態で高額商品を契約させる手口として説明されています。
典型的には「無料配布・格安販売」「健康講座」「無料体験」などを入口にし、通う回数が増えるほど“顔見知りの安心感”を作ってから、高額の健康食品・寝具・治療器具等へ移る流れが多いです。
被害の中心が高齢者になりやすい背景として、健康不安・経済不安・日常的な寂しさが指摘され、販売員が親切さや面白い話で信頼関係を作るため、周囲が止めても解決が難しくなりがちです。
建築従事者の読者(現場監督、職人、設備、リフォーム営業、管理会社担当)にとっては、「自分は関係ない」ではなく、施主や近隣の高齢者が巻き込まれて工事や生活が崩れる“二次被害”が起きると捉えるのが現実的です。
参考)https://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2019_13.html
例えば、会場通いで生活費が欠け、予定していた修繕や支払いが滞る、あるいは「健康器具を置くために部屋を改装したい」など不自然な要望が急に出る、といった形で表面化します。
参考)【注意喚起】「100円で卵などの食料品が買える!」などとうた…
この段階で大事なのは断定や説教ではなく、「何が配られたか」「どこに通っているか」「領収書や契約書はあるか」を静かに確認し、話の糸口をつかむことです。
契約してしまった可能性があるなら、まず当事者の意思確認(解約したいか)と、勧誘状況・契約書面の有無・支払方法・契約日を整理し、早急に相談へつなぐのが基本です。
国民生活センターの解説では、怒ったり頭ごなしに否定せず、勧誘方法の問題点や詳細を明らかにして「188」に相談することが勧められています。
「本人が被害に気づいていない」ケースもあり得る前提で、家族・周囲が“相談しやすい空気”を先に作ることが重要だとされています。
建築の現場で実務的に効くのは、相談の導線を“作業手順化”することです。
現場の掲示板や社内の案件メモに、緊急時テンプレとして次を固定しておくと、慌てたときに迷いません。
さらに、同じ会場に通っている知人がいる場合は「連絡網」になってしまうことがあるため、本人を孤立させずに“外の相談先”へ一気に接続するのが安全です。
現場での声かけは、「今すぐやめろ」より「念のため、相談して手続きを確認しよう」のほうが通りやすい傾向があります。
参考:催眠商法(SF商法)の典型手口・背景・相談の考え方(当事者への接し方)
https://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2019_13.html
催眠商法は、特定商取引法の「訪問販売」に該当する場合があり、その場合は法定書面を受け取った日から8日間以内ならクーリング・オフを申し出られる、と国民生活センターが説明しています。
また、日常生活に必要な量を著しく超える商品を購入させられた場合には、契約の取消等を申し出られることがある、とされています。
つまり「もう払ったから終わり」ではなく、まずは適用可能性の当たりをつけるためにも、書面・日付・数量・支払い状況の確認が先です。
ここで落とし穴になりやすいのが、契約書面の所在があいまい、または本人が「捨てた」「どこかにしまった」で止まるケースです。
建築従事者が関与するなら、工事写真の撮影と同じ要領で「紙の束の全景→契約書の表紙→重要事項っぽいページ→日付・金額・事業者名のアップ」と段階的に写真化し、証拠の欠落を防ぐのが実務向きです。
“説得”より“手続きの可視化”が進むと、本人も現実を受け止めやすくなります。
参考:催眠商法(SF商法)の入口の宣伝文句・契約商品の例(どこが怪しいかの見分け材料)
【注意喚起】「100円で卵などの食料品が買える!」などとうた…
事例として、無料の商品がもらえる会場に通い、カーテンで仕切った小部屋で複数の販売員から勧誘され、次々と契約して生活費が足りなくなるケースが紹介されています。
また、格安の卵などをうたうチラシに惹かれて通い、結果的に高額な健康食品(酵素など)を複数購入していた、という注意喚起も出ています。
この手の事例は、本人の判断力だけの問題に矮小化するとこじれやすく、「不安や寂しさを埋める居場所」になっている点まで見ないと離脱が難しい、と説明されています。
家族や周囲が取れる現実的な対策は、“正論で論破”ではなく、生活の導線を守る設計です。
建築の仕事と接点がある場面では、例えば見守り訪問(点検)と称して訪問頻度を上げる業者も世の中にはいるため、「点検」「無料」「今だけ」「会場へ送迎」などのワードが出た時点で警戒レベルを上げるべきです。
“工事の相談”に見せかけて、実は家庭内の資金が抜かれている可能性がある、という観点を持つと、早期に支援へつながります。
催眠商法は健康食品や寝具などのイメージが強い一方で、建築・住まい領域は「生活不安」「老後の安心」を訴求しやすく、別商材と結びついて被害が見えにくくなることがあります。
国民生活センターは、老後資金を取り崩したり保険を解約する状況まで追い込まれる例があるとし、資金繰りの破綻が住まいの維持(修繕・更新)にも波及し得ます。
つまり建築従事者は、直接の販売当事者ではなくても「生活の異変」を最初に見る職種になり得ます。
現場で使える“気づきチェック”を、設備点検のチェックリストのように持っておくと、属人的な勘に頼りません。
もしチェックが複数当てはまったら、現場側で“犯人探し”をするのではなく、「念のため公的な相談先で確認してから進めよう」と工程を一旦止める判断も安全策になります。
そのうえで、本人・家族が動ける状態なら相談につなぎ、判断力に不安がある場合は成年後見制度の検討も選択肢として示されています。