シーリング希釈溶剤とシーリング材SDS

シーリング希釈溶剤とシーリング材SDS

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シーリング希釈溶剤と

シーリング希釈溶剤の要点
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原則:勝手に薄めない

シーリング材はメーカー設計の配合で性能が成立します。希釈が許容されるのは「指定の希釈剤」と「指定量」が明記されたケースに限ります。

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SDSで安全と適合を確認

有機溶剤の危険性(引火性・有害性)だけでなく、製品ごとの推奨希釈剤や注意事項の根拠としてSDS/技術資料を参照します。

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希釈しすぎは不具合直行

粘度だけでなく硬さ・引張強さなどの物性が落ち、耐久性や防水性に影響します。やるなら「10%以下」など上限管理が重要です。

シーリング希釈溶剤の希釈剤と添加量

現場で「シーリングを希釈したい」と言われる場面は、(1)粘度が高くて吐出やならしが重い、(2)刷毛塗り・コーティングのように薄膜で広げたい、(3)寒冷期で材料が硬い、などが典型です。ですが、シーリング材は“薄めて使う前提”ではない製品が多く、安易な希釈は性能低下や保証外につながります。まずは対象が「建築用シーリング材」なのか、「工業用の液状シリコーンゴム(コーティング/ポッティング用途含む)」なのかを分けて考えるのが安全です。信越シリコーンの液状シリコーンゴムの資料では、粘度を下げたい場合の希釈剤としてRTV-シンナーまたはKE-1204-シンナーが示され、RTV-シンナーを10%加えると粘度が約半分になる例が明記されていますが、多量使用は物性に悪影響とも書かれ、標準添加量は10%以下が推奨されています。
ここで重要なのは「希釈で変わるのは粘度だけではない」点です。同資料は、希釈剤添加で“硬さ・引張強さが低下(影響大)”と整理しており、伸びは増える傾向でも、強度設計が崩れ得ることを示しています。
つまり、希釈の目的が“作業性だけ”なら、まずは温度管理(材料の保管温度・現場温度)、吐出機の設定、ノズル径、ならし手順の見直しを先にやり、どうしても必要な場合のみ「メーカー指定の希釈剤・上限量・混合手順」で実行するのが、後戻りコストが小さくなります。


シーリング希釈溶剤のうすめ液とシンナー

「うすめ液」「シンナー」は現場では同義っぽく使われがちですが、少なくとも“何に使う薄め液か”を揃えないと事故が起きます。塗料の世界では油性塗料向け、ラッカー向けなど溶解力や揮発性の違いがあり、同じ“シンナー”でも中身が違います。さらにシーリング材は、塗料と違って硬化反応や可塑剤、密着・耐久に関わる配合があるため、塗料用のうすめ液を流用して良い根拠は基本的にありません。
工業用の液状シリコーンゴムの資料では、粘度調整用の希釈剤(RTV-シンナー、KE-1204-シンナー)について「トルエンキシレンなどの有機溶剤は含まれていない」と明記されています。
この一文は地味ですが、現場にとってはかなり大きい情報です。一般に“溶剤っぽいからシンナー”と括ると、強溶剤(芳香族系)で材料が変質したり、下地や周辺部材を侵したり、臭気や引火性のリスクが跳ね上がることがあります。少なくとも、対象製品が指定する「希釈剤の名称」と「成分系の方向性」が一致しているかは確認してください。


シーリング希釈溶剤のSDSとMSDS

安全面と品質面の両方で、SDS(旧MSDS)は“読む価値がある資料”です。特に希釈を検討するなら、(1)指定希釈剤の有無、(2)混合・取り扱い、(3)換気・保護具、(4)火気・保管、(5)廃棄・漏えい対応、を最低限押さえるべきです。
たとえばミスミにはSDS閲覧・ダウンロードの案内があり、メーカー/品番ごとにSDSへアクセスできる導線が用意されています。
また、SDS本文の例として「ボンド 変成シリコンコークQ」の安全データシートでは、漏えい時の環境影響への注意や、希釈水が汚染を引き起こすおそれがある旨の記載が確認できます。
ここから言えるのは、希釈行為は“作業性の工夫”ではなく、化学物質管理(環境・安全)としても扱われるということです。現場で希釈を実施する場合、誰が・何を・どれだけ混ぜたかを残すだけで、事故や不具合時の切り分けが劇的に速くなります(責任追跡のためではなく、復旧のためのログです)。


参考:SDSの入手導線(製品ごとの安全データシートの探し方)
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/tech/sds/index02.html

シーリング希釈溶剤のブリード現象と不具合

外装改修や塗替えが絡む現場では、シーリング起点の不具合として「ブリード現象(汚染・黒ずみ)」の理解が欠かせません。ブリードは、シーリング材に含まれる可塑剤が塗膜側へ移行し、塗装面の汚染や変色として現れる、という説明がされています。
塗装側の視点だと「塗ったのに目地だけ黒い」「線状に汚れる」でクレーム化しやすく、原因が希釈なのか、材料選定なのか、プライマーなのかが混ざって揉めます。だからこそ“希釈で粘度だけをいじっているつもり”でも、材料の成分バランスを崩すと、可塑剤移行や密着の挙動に影響する可能性が出ます(影響が出るかは製品次第なので、勝手に薄めないが結論です)。
対策の方向性として、ブリード防止プライマーを塗る手順が予防策として紹介されています。
希釈で作業性を追う前に、そもそも塗装工程と相性が良い「ノンブリードタイプ」や、想定する塗料系に適合するシーリング材を選び、メーカー施工仕様(プライマー、乾燥時間、塗装までのインターバル)を守るほうが、トータルでは早く安く終わることが多いです。


シーリング希釈溶剤の独自視点:低分子シロキサンと接点障害

建築現場のシーリングでは見落とされがちですが、「シリコーン系材料が揮散する低分子シロキサン」が特定条件で電気接点障害に関与し得る、という話があります。信越シリコーンの資料では、環状ジメチルポリシロキサン(一般にD3〜D10)が硬化中/硬化後も揮散し、特定条件下で接点障害を引き起こすことが報告されている、と説明されています。
さらに、低分子シロキサンを一定レベルまで低減した「低分子シロキサン低減品」の考え方が提示され、用途として電気・電子用途では低減品の使用が推奨されています。
この観点は建築でも無関係ではありません。例えば、弱電設備が密集する盤まわり、センサー類、制御機器がある機械室、通信機器周辺で“たまたまシリコーン系を多用した”場合、長期的なトラブル要因の切り分けが難しくなることがあります。電気室・盤周辺はそもそもシーリングの選定ルールを別立てにし、必要なら「低分子シロキサン低減」のようなスペック軸で材料を選ぶ、という発想は差別化ポイントになります(仕様書に書ける“説明可能な理由”になるためです)。