stkr400規格の完全ガイド:寸法材質用途

stkr400規格の完全ガイド:寸法材質用途

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stkr400規格の基本情報と特徴

STKR400規格の基本概要
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JIS規格準拠

JIS G 3466に基づく一般構造用角形鋼管の標準規格

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高強度材料

引張強度400N/mm²以上を保証する構造用鋼材

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多用途対応

建築から機械製造まで幅広い分野で活用される汎用性

stkr400規格のJIS基準と化学成分

STKR400は「Steel Tube for general structural Rectangular」の略称で、JIS G 3466で規定された一般構造用角形鋼管です。この規格は日本の工業標準化機構によって厳格に管理されており、品質の均一性と信頼性を保証しています。

 

化学成分については以下の基準が定められています。

  • 炭素(C): 0.25%以下
  • リン(P): 0.040%以下
  • 硫黄(S): 0.040%以下
  • シリコン(Si): 規定なし
  • マンガン(Mn): 規定なし

これらの化学成分比率は、鋼材の強度と加工性のバランスを最適化するために設定されています。特に炭素含有量の制限により、溶接性を確保しながら必要な強度を維持することが可能です。

 

炭素含有量が0.25%以下に抑えられているため、STKR400は優れた溶接性を持ち、現場での加工作業においても亀裂や変形のリスクを最小限に抑えることができます。

 

stkr400規格の機械的性質と強度特性

STKR400の機械的性質は、構造用途での使用に適した特性を持っています。以下が主要な機械的性質です。
基本強度特性

  • 降伏点または耐力: 245N/mm²以上
  • 引張強さ: 400N/mm²以上
  • 伸び: 23%以上(5号試験片使用)

これらの数値は、建築構造物や機械部品として使用される際の安全性を確保するために設定されています。降伏点245N/mm²以上という基準により、日常的な荷重に対して十分な耐性を持ちます。

 

板厚による伸び値の調整
厚さ8mm未満の角形鋼管では、特別な計算方法が適用されます。厚さ1mmを減じるごとに、基準伸び値から1.5%を減じた値がJIS Z 8401の規則に従って整数値に丸められます。

 

この調整により、薄肉材でも適切な延性を確保し、加工時の割れや破損を防止しています。実際の現場では、この特性により精密な曲げ加工や溶接作業が可能になります。

 

強度特性の優位性として、STKR400は一般的な建築用鋼材よりも高い引張強度を持ちながら、加工性を損なわないバランスの取れた材料設計となっています。

 

stkr400規格の標準寸法とサイズバリエーション

STKR400は豊富なサイズバリエーションが用意されており、多様な用途に対応できます。標準的な寸法体系は以下の通りです。
正方形断面の主要サイズ

  • 50×50mm(板厚:1.6~3.2mm)
  • 75×75mm(板厚:2.3~4.5mm)
  • 100×100mm(板厚:2.3~12.0mm)
  • 125×125mm(板厚:3.2~12.0mm)
  • 150×150mm(板厚:4.5~9.0mm)
  • 200×200mm(板厚:4.5~12.0mm)
  • 250×250mm(板厚:5.0~12.0mm)
  • 300×300mm(板厚:4.5~12.0mm)

矩形断面の代表例

  • 60×30mm、60×40mm、70×40mm
  • 150×50mm、150×75mm、150×100mm
  • 200×100mm、200×150mm
  • 250×100mm、250×150mm、250×200mm

板厚のバリエーション
標準的な板厚は1.6mm、2.3mm、3.2mm、4.5mm、5.0mm、6.0mm、8.0mm、9.0mm、12.0mmが用意されています。

 

製品長さ
標準長さは6mから12mとなっており、特注により異なる長さでの製造も可能です。この柔軟性により、現場での切断作業を最小限に抑え、作業効率の向上が図れます。

 

サイズ選定の際は、用途に応じた荷重計算と安全率を考慮し、適切な断面寸法と板厚を選択することが重要です。

 

日鉄建材株式会社の製造可能範囲表に関する詳細情報
https://www.ns-kenzai.co.jp/pdf/a1/a1_4.pdf

stkr400規格の製造工程と品質管理

STKR400の製造工程は、高品質な構造用鋼管を安定供給するために厳格に管理されています。製造プロセスは以下の段階で構成されます。
原材料の準備
鋼帯(コイル材)を所定の化学成分に調整し、熱間圧延により板厚を均一化します。この段階で、STKR400に要求される機械的性質の基礎が形成されます。

 

成形工程

  • ロール成形: 鋼帯を段階的に角形に成形
  • 溶接: 高周波溶接により継目部を接合
  • サイジング: 寸法精度を確保するための最終成形

熱処理工程
溶接部の応力除去と材質の均一化を図るため、適切な温度管理の下で熱処理が実施されます。この工程により、溶接部と母材の強度差を最小化し、全体的な品質向上を実現しています。

 

品質検査体制

  • 寸法検査: 外径、板厚、真円度の測定
  • 機械試験: 引張試験、曲げ試験による強度確認
  • 化学分析: 成分検査による規格適合性確認
  • 非破壊検査: 超音波探傷による内部欠陥検出

製造可能範囲と生産体制
JFEスチールや日鉄建材などの主要メーカーでは、常時生産サイズと受注生産サイズを区別し、効率的な供給体制を構築しています。常時生産サイズは在庫を保持し、迅速な出荷が可能です。

 

品質管理における特筆すべき点として、各メーカーは独自の品質管理システムを導入し、ロットごとの品質データを管理しています。これにより、トレーサビリティを確保し、万一の品質問題にも迅速に対応できる体制を整えています。

 

stkr400規格の独自メリットと選定ポイント

STKR400規格を選定する際の独自メリットと実践的な選定ポイントについて、実務経験に基づいた視点から解説します。

 

コストパフォーマンスの優位性
STKR400は、同等の強度を持つ他の構造用鋼材と比較して、製造コストが抑制されています。これは、量産効果と製造技術の標準化により実現されており、特に大量使用する案件では大幅なコスト削減効果が期待できます。

 

加工性における隠れた利点

  • 溶接性: 低炭素鋼の特性により、予熱なしでの溶接が可能
  • 切断性: レーザー切断、プラズマ切断での良好な切断面品質
  • 曲げ加工: 内側半径を板厚の2倍程度に設定することで割れを防止

設計自由度の高さ
角形断面の特性により、丸パイプと比較して以下の設計メリットがあります。

  • 接合部設計: フランジとの接合が容易
  • 空間効率: 四角形断面により空間利用効率が向上
  • 座屈強度: 同一重量の丸パイプと比較して高い座屈強度

実務での選定基準

  1. 荷重条件: 静的荷重主体の場合はSTKR400で十分
  2. 環境条件: 腐食性環境では表面処理の併用を検討
  3. 加工要求: 複雑な加工が必要な場合は板厚の選定に注意
  4. 経済性: 材料費と加工費のトータルコスト評価

競合材料との比較優位性
STKR490と比較した場合、STKR400は若干強度が劣るものの、加工性と経済性で優位性があります。設計荷重に余裕がある場合は、STKR400の採用により全体コストの最適化が可能です。

 

供給安定性の評価
主要メーカーが常時生産しているサイズについては、納期の予測が容易で、生産計画の立案に有利です。特に建築案件では、工期への影響を最小化できる重要な要素となります。

 

JFEスチールの製品規格に関する技術資料
https://www.jfe-steel.co.jp/products/building/assets/pdf/square/stkr400_490-kikaku.pdf
実際の選定においては、これらの要素を総合的に評価し、プロジェクトの要求事項に最適な仕様を決定することが重要です。特に、長期的な保守性や拡張性も考慮に入れた材料選定が、プロジェクトの成功につながります。