

ウレタン用プライマーは「塗れば接着する材料」ではなく、「接着できる状態を作った面に、接着を成立させる材料」です。下地側のコンディションが悪いまま塗ると、プライマーが“下地の弱い層ごと”固めてしまい、後から剥離の層がきれいに出来上がります。
そのため、最初にやるべきは清掃ではなく“どの層まで健全部か”の見極めです。劣化したモルタル面は風化で砂が露出し、プライマーの吸い込みが激しくなるため、下地処理・下地調整が必要になるケースがあるとされています。吸い込みが激しい面は、見た目が乾いていても表層が脆弱で、結果として密着に不利です。
現場で事故が多いのは、次の「残り物」です。見落としやすいので、チェックリスト化すると再現性が上がります。
「意外に効く」実務的なコツは、清掃後に“時間を置き過ぎない”ことです。清掃直後は良い面でも、風がある現場や交通量がある場所では再付着が速く、結果としてプライマー面が粉を噛みます。清掃→確認→プライマーを、可能な限り同一シフト内で完結させる段取りが、最終品質に直結します。
塗布量は多すぎても少なすぎても不具合の起点になります。少なすぎると下地の吸い込みに負けて「濡れ色が出ないまま乾く」=接着層が成立しにくくなり、多すぎると溶剤型では乾燥遅れ・溜まり・局所的な硬化不良を招きます。メーカー資料の例では、標準塗布量が0.15~0.20kg/㎡と示されている施工要領書があります。
別の製品例でも標準塗布量0.12kg/㎡/回とされており、製品ごとにレンジが異なることが分かります。
塗布ムラを減らすために、道具と塗り方を「下地の吸い込み」に合わせて変えるのが現実的です。
あまり知られていない失敗パターンとして、「吸い込みが強い面で、1回塗りで済ませようとして、結果的に下地がプライマーを“飲み込み切る”」ケースがあります。こうなると表面に有効なプライマー層が残らず、上に塗るウレタンが“下地の粉に乗る”構造になりがちです。吸い込みが強い兆候があるなら、下地処理を厚くする・適切な下地調整を挟むなど、工程側で対策するのが堅実です。
乾燥時間は「触って乾いたか」だけで判断すると危険です。指触乾燥は表面の状態で、内部に溶剤や未反応分が残っていると、上に重ねた材料側の溶剤や反応熱でトラブルが顕在化します。施工要領書の例では、硬化乾燥時間が90~120分(指触)と示されています。
また別製品例では、乾燥時間(23℃)が指触1時間・半硬化2時間、標準塗装間隔が2時間〜72時間とされています。
重要なのは「乾かす」だけでなく「乾かし過ぎない」ことです。塗装間隔に上限がある製品もあり、例えば“2時間以上乾燥、12時間以内に上塗り”のような条件が示されている例もあります。
参考)302 Found
乾き過ぎると、表面が汚れを拾う・再活性が弱い・上塗りとのなじみが落ちる、といった別系統の不具合が増えます。現場では天候と気温で乾燥が変動するため、タイムスケジュールを固定せず、「触感+外観+メーカーが示す範囲」で管理するのが安全側です。
参考)https://www.k-fine.co.jp/assets/pdf/business/industrial-building-paint/21.multiuretan.pdf
密着不良の原因は、材料の相性以前に「下地の状態」で決まることが多いです。ホコリ・油分・水分が残ると密着性が低下する、相性の確認が重要、という基本事項が整理されています。
また、通気緩衝工法の考え方として、下地の水分を通気層と脱気筒で逃がして防水層のフクレを防止できることが説明されています。
つまり、フクレを“プライマー単体で解決”しようとするのではなく、下地に水分が残りやすい条件(既存下地、押さえコンクリート、含水が抜けにくい)では、工法選定(密着か通気緩衝か)まで含めて設計するのが合理的です。
実務で効く対策を、原因別にまとめます。
参考:通気緩衝工法(フクレ対策の考え方と施工手順のどの工程でプライマーが重要か)
ウレタン防水の通気緩衝工法とは|フクレ防止のカギとなる工法 …
現場で見落とされがちなのが、含水率だけでなく“下地の温度差”です。たとえば、同じ屋上でも日陰と日向、立上りと床、金物周辺と躯体で温度が変わると、プライマーの乾き方(指触の出方)と浸透の仕方が変わり、同一面なのに塗膜性状がバラつきます。結果として、上塗りの硬化タイミングや溶剤の影響が場所ごとにズレ、局所的な膨れ・縮み・密着低下が起きやすくなります。
ここでのポイントは「温度差をゼロにする」ではなく、「温度差がある前提で、段取りと塗り順で均す」ことです。具体的には、朝一の冷えた面にいきなり全面塗りせず、立上りや端部など温度変動が大きい箇所から試し塗りして、指触の出方と濡れ広がりを観察します。乾燥時間や塗装間隔は温度条件で変動し、製品が示す標準条件(例:23℃)は“基準”に過ぎないため、現場条件での実測・確認が不可欠です。
温度差管理を徹底すると、同じ材料・同じ職人でも仕上がりの再現性が上がります。特に「部分補修→全面トップ」のように旧塗膜が混在する現場では、旧塗膜側と新規下地側で熱容量が違い、乾燥タイミングがズレやすいので注意が必要です。プライマー工程で“面の揃い”を作っておくと、後工程のウレタン材が楽になり、最終的に不具合の芽を減らせます。k-fine+1

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