
役物パチンコとは、遊技機内部に設置された可動装置や仕掛けを指し、パチンコ玉の動きに影響を与える重要な構成要素です。役物には大きく分けて法律用語としての「入賞口・アタッカー・電チューなどの出玉を得るための装置の総称」と、実際の遊技演出で動作する「玉の動きに影響を及ぼす仕掛け」の2つの意味があります。建築事業者としては、これらの役物を搭載した遊技機が適切に設置できる店舗設計が求められます。
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代表的な役物パチンコには羽根物があり、中央の役物と可動式の「羽根」が遊技の要となっています。スタートチャッカーに玉が入賞すると羽根が開き、タイミングよく入った玉が役物内を進んでVゾーンに入賞すれば大当たりとなる仕組みです。こうした物理的な抽選システムを持つ役物パチンコは、デジタル抽選方式とは異なる独自のゲーム性を提供しています。
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役物の種類には、玉が回転床で複数の穴を通り抜けるクルーン、滑り台状の段差でV入賞を目指すスロープ、複数の役物を段階的に突破していく多段式など、多彩なギミックが存在します。これらの役物は、ソレノイドやモーターによる駆動源、フォトセンサーやリミットスイッチによる位置検出、そして制御基板によって動作が制御されています。
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建築設計段階では、これらの役物を搭載した遊技機の重量や振動、電力供給などを考慮した床荷重計算や電気容量の確保が必要です。特に大型役物を搭載した最新機種では、ダイナミックな動きを実現するための機構設計が複雑化しており、設置スペースや耐久性への配慮が求められます。
参考)https://www.sankyo-fever.co.jp/corporate/specialbook/process/
役物の設計においては、デザイン性や演出効果を維持しつつ、製造しやすくトラブルが発生しにくい構造にすることが重要なポイントとなります。パチンコホールでの稼働中にトラブルが発生しないよう、ソフト・ハード・設計面など全要素の品質検査が実施され、あらゆる温度や湿度、使用頻度で可動可能な品質が担保されています。
役物の動作制御には、メインプログラムとサブ制御プログラムの2つのプログラムが使用されています。大当たりやリーチ確率を制御するメインプログラムと、電飾や役物動作、映像演出、音響効果を制御するサブ制御プログラムが連携し、演出効果が発せられるタイミングを調整することで、ひとつひとつの演出効果の魅力を最大限に引き出しています。
役物の故障やギミックの動作不良は、風営法違反につながる可能性があります。実際に、ステージ変更ボタンが壊れていた事例では、顧客からのクレームが警察に直接届き、ホールは厳重注意を受けています。最近の遊技機は役物ギミックが満載されており、故障ケースが増加している傾向にあります。
参考)ギミックの動作不良を放置したら風営法違反
建築事業者の視点では、役物の故障対応を考慮した保守スペースの確保や、メンテナンス動線の設計が重要です。遊技機の定期的なメンテナンスを行うことで、大規模な修理や交換が必要となる前に問題を発見し、修理コストを抑えることができます。日々のメンテナンスチェックリストに基づく簡単な点検だけでも、機械の寿命を延ばし、遊技台のトラブルによる収益損失を防ぐことが可能です。
参考)https://blog.p-conveni.com/costreduction/
パチンコ店舗の建築には、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)や、遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則など、複数の法律・規則を遵守する必要があります。これらは遊技の公正を担保し、射幸心を過度に煽ることを防止する目的があります。
参考)パチンコと法律|知らないと損する!?遊技機の厳しいルールを徹…
店内構造の最も重要な規制は「見通しを妨げる設備を設けないこと」です。基本的に高さが1メートル以上の設備は、見通しを妨げる設備とみなされ、設置できません。ただし、法律で1メートル以内と決められているわけではなく、あくまで「見通しを妨げる設備を設置しない」ことが求められており、1メートル以内という基準は警察が示した解釈の基準です。
参考)【風営法4号】パチンコ店の営業許可申請について~4つの要件と…
客室内に設置するテーブル、イス、カウンター、観葉植物、ラックなど全ての物品がこの規制の対象となります。客室内設備の高さについてはミリ単位で厳しく指導される事項であるため、高さが調節できるイス等については、一番高くした状態で1メートル未満のものを選ぶ必要があります。
参考)パチンコ店開業ガイド│パチンコ・パチスロ店を出店するために必…
その他の構造設備基準として、客室の出入口に施錠の設備を設けないこと(営業所外に直接通ずる出入口は可)、営業所の照度が10ルクス超であること、善良の風俗もしくは清浄な風俗環境を害する恐れのある写真・広告物・装飾その他の設備を設けないことなどが定められています。
建築計画段階では、図面作成の段階から基準を踏まえておく必要があり、専門家を交えて準備をすすめる必要があります。多くの市町村では、風営法や都道府県条例上の手続きとは別に、パチンコ店を建築することについて市町村長の同意を必要とする旨を定めた市町村条例を制定しています。
遊技機のメンテナンスは、単にホールコンピュータの数値管理だけではなく、玉の動き方や役物の動作確認など、物理的な状態管理が重要です。新台導入時には、入替初日終了後のデータを見てからメンテナンスをするのではなく、顧客に提供する前に適切な整備を行うことが求められます。
参考)提供商品の品質、パチンコ店では遊技機のメンテナンスを言う。疎…
役物の動作不良を放置すると風営法違反となる可能性があります。遊技機性能に大きく影響する基板関係の故障を修理するには事前承認が必要になりますが、ランプの玉切れやガラス交換など、遊技機性能に直接影響を及ぼさない修理については、その限りではありません。
役物の動作が変わったり、経年による劣化が見られる場合は、購入店への相談が必要です。液晶画面の色合いがおかしい場合などは調整で直せることもあります。玉の打ち出しが安定しない、玉突きを起こすといった症状の場合は、まず玉の流れるレール周りを清掃し、それで改善されない場合はバネやハンドルそのものが劣化している可能性を疑う必要があります。
参考)http://ingtec.nobody.jp/p_trouble.htm
建築施設としてのパチンコ店では、定期メンテナンスを計画的に実施するための作業スペースや、故障機器の一時保管場所など、保守作業を効率的に行える動線設計が求められます。従業員の接客スキル向上や店内清掃の徹底など、基本的なオペレーションを改善することで、リピーターを増やし、売上向上につなげることができます。
役物パチンコの人気機種としては、「PニュートキオGREEN」「Pポチッと一発!おだてブタ2」「Pうまい棒4500~10500」などがあり、それぞれ独自の役物動作と出玉性能を持っています。「PニュートキオGREEN」は玉の動きでコントロールする役物パチンコの代表格で、トキオシリーズは玉の動きがわかりやすく、初心者でも触りやすい特徴があります。
参考)役物パチンコ大人気おすすめランキングTOP7!新台機種も紹介…
「Pうまい棒4500~10500」は当選すれば確実に1,500個以上の出玉が確定し、保留が全て当選した場合の出玉は10,500個と爆発力が高く、現在でもホールに設置されている人気機種です。こうした人気機種の設置を想定した店舗設計では、機種ごとの特性を理解した配置計画が必要となります。
建築事業者として独自の視点を持つべきなのは、役物パチンコの物理的特性を活かした店舗レイアウトです。デジタル抽選方式の機種と異なり、役物パチンコは玉の動きが視覚的に楽しめるため、通路からの視認性を高める配置や、役物の動作音を適切に拡散させる音響設計が顧客満足度向上につながります。店舗の音響特性を考慮し、騒音または振動の数値が条例で定める数値を満たす設計が求められます。
また、役物パチンコは物理抽選のため、温度や湿度の影響を受けやすい特性があります。空調設備の設計では、遊技機が安定動作できる環境を維持するための適切な温湿度管理が重要です。特に役物の可動部分は環境条件によって動作精度が変化するため、年間を通じて安定した環境を提供できる空調計画が必要となります。
さらに、役物パチンコを多数設置する店舗では、電力容量の計算も重要です。役物の駆動にはソレノイドやモーターが使用されており、これらが同時に動作する際のピーク電力を考慮した電気設備設計が求められます。配電盤の容量設定や予備電源の確保など、遊技機の安定稼働を支える電気インフラの整備が、建築事業者の重要な役割となります。
参考)【プロが解説】パチンコ台の役物(ギミック)の仕組みとエラー対…
パチンコ遊技機ができるまで - SANKYO
役物の設計から品質検査までの詳細な開発プロセスが解説されており、耐久性や安全性を考慮した設計の参考になります。
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