abs樹脂 レーザー加工の特徴と用途

abs樹脂 レーザー加工の特徴と用途

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abs樹脂 レーザー加工の特徴と活用

abs樹脂 レーザー加工の主な特徴
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多様な加工方法

切断・彫刻・マーキングの3つの加工方法に対応し、用途に応じた選択が可能

高精度な加工

非接触加工により、ミクロンレベルの高精度な仕上がりを実現

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耐久性の高いマーキング

レーザー刻印は摩耗や紫外線、化学腐食に強く、永久的なマーキングが可能

abs樹脂 レーザー加工の基本原理と仕組み

 

 

 

abs樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)のレーザー加工は、高エネルギーのレーザー光を照射することで、樹脂の化学結合を切断したり、表面を溶融・蒸発させたりする非接触型の加工技術です。レーザー光が照射されると、abs樹脂は瞬時に熱エネルギーを吸収し、加工部分が除去または変色します。
参考)https://www.comnet-network.co.jp/blog/laser-materials-leather-resin-stone/

レーザー加工の最大の特徴は、切断・彫刻・マーキングの3つの加工方法を一台の装置で実現できる点です。従来の機械加工とは異なり、刃物や工具が材料に接触しないため、abs樹脂の表面を傷つけずに精密な加工が可能となります。
参考)https://otlaser.com/ja/abs-laser-marking/

  • レーザー光の波長や出力によって加工の深さや精度を自在にコントロール可能
  • 非接触加工のため、材料の歪みや変形が最小限に抑えられる
  • 複雑なデザインや微細なパターンも高精度で再現可能

abs樹脂はアクリル板よりも溶けやすい性質を持っていますが、柔軟性に優れているため、幅広い製品への応用が可能です。特に二層板と呼ばれるabs樹脂製品は、レーザー加工に最適化された商材として広く使用されています。
参考)https://www.comnet-network.co.jp/blog/laser-case-two-layer-plate/

abs樹脂 レーザー加工に適したレーザーの種類と選び方

abs樹脂のレーザー加工には、主にCO2レーザー、UVレーザー、ファイバーレーザーの3種類が使用されます。それぞれのレーザーは波長や加工特性が異なるため、目的に応じた選択が重要です。
参考)https://tokins-stainless.com/knowledge/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E5%8A%A0%E5%B7%A5%E3%81%A8co2%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E5%8A%A0%E5%B7%A5%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%81%95/

CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)は、波長が約10.6μmの赤外線レーザーで、abs樹脂の切断と彫刻の両方に対応できる最も一般的な選択肢です。熱を利用して樹脂を溶かしながら加工するため、切断面がやや盛り上がる特徴があります。価格が手頃で、多様な非金属材料に対応できる汎用性の高さが魅力です。
参考)https://www.laserprocessing-pro.com/possible-materials/plastic.html

UVレーザー(紫外線レーザー)は、波長が355nmの短波長レーザーで、abs樹脂のマーキングに最も適しています。「コールドマーキング」と呼ばれる光化学反応により、材料を加熱せずに加工できるため、熱による損傷がほとんどありません。高品質で鮮明なマーキングが求められる電子部品や精密部品の製造に最適です。
参考)https://www.smartdiys.com/blog/laser-marker/

ファイバーレーザーは、金属加工で主に使用されますが、abs樹脂のマーキングにも対応可能です。樹脂の顔料に反応して発色印字ができる特徴があり、高速加工が可能です。​

レーザー種類 波長 得意な加工 abs樹脂への適性
CO2レーザー 10.6μm 切断・彫刻 ◎ 汎用性が高い
UVレーザー 355nm マーキング・精密彫刻 ◎ 高品質マーキング
ファイバーレーザー 約1μm マーキング ○ 発色印字が可能

レーザー加工機を選定する際は、加工したい製品の用途、必要な精度、生産量、予算などを総合的に考慮することが重要です。
参考)https://www.seishin-syoji.co.jp/column/what-is-laser-processing/

キーエンスのレーザー種類比較ページでは、各レーザーの樹脂加工における違いが動画でわかりやすく解説されています
参考)https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/basics/fiber-co2-uv-laser.jsp

abs樹脂 レーザー加工の切断と彫刻技術

abs樹脂のレーザー切断は、高出力のレーザー光を連続照射することで材料を完全に貫通させる加工方法です。CO2レーザーが最も一般的に使用され、レーザーの出力によって加工できる厚みが変化します。あらかじめ専用ソフトでデザインデータを作成しておけば、レーザー加工機が自動的に複雑な形状も正確に切断します。
参考)https://www.troteclaser.com/ja/laserable-materials/laser-cutting-plastics

abs樹脂は熱に弱く溶けやすい性質があるため、切断時には注意が必要です。特に5mm厚以上になると溶け幅が大きくなり、切断面の品質が低下する傾向があります。この課題を解決するために、弱めの出力で複数回(2〜3回)に分けて切断する方法が推奨されています。
参考)https://www.comnet-network.co.jp/blog/laser-dojo-faq-material/

レーザー彫刻は、表面の一部を除去して凹凸のあるデザインを作り出す加工技術です。abs樹脂の彫刻では、エッチング、深彫りレーザー彫刻、レーザーアブレーションの3つの方法が一般的に使用されます。
参考)https://coromoza.jp/laser-cutter

  • エッチング:表面を浅く削り、微細なパターンや文字を表現
  • 深彫りレーザー彫刻:複数回のレーザー照射により深い凹部を作成
  • レーザーアブレーション:材料表面を層ごとに除去して立体的な造形を実現

二層板と呼ばれるabs樹脂製品は、レーザー彫刻に特に適した商材です。異なる2色のカラーが重なった構造で、表面を彫刻すると下地の色が現れるため、色入れ不要でネームプレートや表札を簡単に製作できます。二層板の彫刻では、エアーアシストを停止したり、彫刻方向を「手前から奥」に変更したりすることで、より綺麗な仕上がりが得られます。
参考)https://laser-style.net/?mode=f9

切断と彫刻を組み合わせることで、位置合わせ不要で効率的に製品を製作できるのがレーザー加工の大きな利点です。​

abs樹脂 レーザー加工によるマーキングの耐久性と精度

abs樹脂へのレーザーマーキングは、高エネルギーレーザー光を材料表面に照射して永久的なマークを残す非接触加工方法です。従来のインクジェット印刷や機械彫刻とは異なり、レーザーマーキングはミクロンレベルの精度を実現し、にじみや位置ズレのリスクがありません。
参考)https://www.lybylaser.com/ja/why-use-laser-marking-for-abs-plastic

レーザーマーキングされたabs樹脂は、極めて高い耐久性を持ちます。試験では、レーザー刻印されたマークが1,000時間以上の塩水噴霧試験や極端な温度変化にも耐えることが確認されています。摩耗、紫外線曝露、化学的腐食に強いため、屋外環境や過酷な使用条件下でも長期間品質を維持します。
参考)https://www.comnet-network.co.jp/blog/laser-material-plastic/

マーキングの色は、一般的に黒い素材の場合は白色のマーク、その他の色のプラスチックの場合はグレーから黒色のマークが現れます。UVレーザーを使用した場合、特に鮮明で高コントラストなマーキングが可能で、小さな部品にナノメートル単位の精密マーキングを施せます。​

  • 永久的な識別情報の付与により、製品のトレーサビリティが向上
  • QRコード、シリアル番号、ロゴなど複雑なデザインも高精度で再現可能
  • インクやラベルのようなランニングコストが不要で経済的

自動車産業や電子産業では、小さな部品に完璧な識別が必要なため、レーザーマーキングの精密さが重要な役割を果たしています。樹脂を彫り込まずに発色させることで、ワークへのダメージを最小限にした印字が可能となり、最大で330×330mmの大エリアを一括で印字できる機種も存在します。
参考)https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/selection/resin_marking.jsp

OTレーザーのABS樹脂レーザーマーキング解説ページでは、具体的な技術詳細と活用事例が紹介されています

abs樹脂 レーザー加工の建設・不動産業界での活用事例

abs樹脂のレーザー加工技術は、建設・不動産業界においても幅広く活用されています。その優れた加工性と耐久性から、建物の設備機器や案内表示、装飾部材など多岐にわたる用途で採用されています。
参考)https://i-maker.jp/blog/abs-5282.html

建物案内サインとネームプレート
レーザー加工されたabs樹脂製の二層板は、オフィスビルやマンションの室名札、フロア案内板、避難経路表示として広く使用されています。二層板をレーザー彫刻とカットすることで、位置合わせ不要で効率的に高品質なサインを製作できます。表面の光沢性に優れたabs樹脂は、塗装なしでも高品質な質感を出せるため、建物の美観維持にも貢献します。​
住宅設備機器へのレーザー加飾
abs樹脂成形品からなる住宅用スイッチやコンセントカバーには、YAGレーザーを使用した加飾技術が採用されています。従来のレーザーマーキングとは異なる鮮明な着色と平滑性、光沢のある加飾が可能で、住宅設備の高級感を演出します。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikeikakou1989/17/3/17_156/_pdf

建設現場での識別表示
建設現場で使用される工具や資材管理には、abs樹脂部品へのレーザーマーキングが効果的です。摩耗や屋外環境に強い永久マーキングにより、資材のトレーサビリティが向上し、管理効率が大幅に改善されます。​

  • 表札やドアプレートの製作:自由な形状とデザインで個性的な表札を短時間で製作
  • メッキ処理ABS切り文字:レーザー加工後にメッキ処理を施し、装飾性の高い切り文字サインを作成
  • 設備機器の銘板・操作パネル:耐久性の高いマーキングで長期使用に対応

abs樹脂は、耐薬品性、耐衝撃性、耐熱性(70〜100℃)に優れており、建設・不動産業界の多様な環境条件に対応できます。射出成形押出成形など様々な加工方法に対応しているため、レーザー加工と組み合わせることで、複雑な形状の建築部材も効率的に製造可能です。​
建設・不動産業界では、レーザー加工によるabs樹脂製品の活用が今後さらに拡大すると予想されます。特に透明素材の加工が難しいとされてきたレーザー加工技術も、ステルスダイシングなどの新技術により進化を続けており、将来的には建築用ガラスやサファイアなどの透明材料への応用も期待されています。​

 

 

 

 


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