アミン化粧品と役割|乳化剤pH調整剤の効果と使用上の注意

アミン化粧品と役割|乳化剤pH調整剤の効果と使用上の注意

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アミン化粧品の役割と種類

アミン化粧品の主要な3つの機能
⚗️
pH調整機能

弱アルカリ性を保ち、肌に適した酸性度に製品を調整します

💧
乳化剤としての機能

水と油を混ぜ合わせ、クリームやローションの質感を安定させます

🛡️
製品安定化機能

化粧品の分離や劣化を防ぎ、長期保存を可能にします

アミン化粧品における主要成分の分類

化粧品に使用されるアミンは、主にエタノールアミンと呼ばれる化合物群です。エタノールアミンは、アミノ基とヒドロキシ基を持つ有機化合物で、アンモニア臭のあるアルカリ性の液体として知られています。代表的なものとして、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)の3種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。
参考)https://www.recolor.jp/seibun/2-aminoethanol.html

これらのアミンは界面活性剤や乳化剤、防サビ剤、緩衝剤、中和剤などとして、医薬品や化粧品に幅広く使用されています。特にトリエタノールアミン(TEA)は、香料やpH調整剤、乳化剤として配合されることが多く、化粧品業界では非常に重要な成分となっています。工業的には、エチレンオキサイドとアンモニア水溶液を反応させることによって合成されます。
参考)https://beauty-notebook.com/post/670

アミン化粧品のpH調整剤としての役割

アミンの最も重要な機能の一つが、pH調整剤としての役割です。化粧品は製品の種類や目的に応じて、一般的にpH4.5から7の範囲で調整されており、セラムやローション、フェイスクリームはpH4.5に近い値に設定されることが多くあります。トリエタノールアミン水溶液は弱アルカリ性を示しますが、緩衝剤としてpHを一定に保つ作用に優れており、アルカリ性領域で効果を発揮する成分を変性させないために使用されます。
参考)https://www.typology.jp/library/what-is-the-purpose-of-a-ph-regulator-in-cosmetics

健康な肌はpH4.5~6の間の弱酸性を保っており、この数値が肌のバリア機能を維持するために重要です。洗顔料や石鹸は皮脂汚れを落とすためにpH10程度のアルカリ性のものが多く、洗顔後は肌がアルカリ性に傾き、自然な状態の弱酸性に戻るまでに数時間を要します。そこでpH調整剤が使われ、洗顔料や化粧水などのpHを弱酸性に調整することで、皮膚膜を正常な状態に近づけ、製品そのものの分離や劣化を防ぐ目的も果たしています。
参考)https://www.mrso.jp/colorda/lab/3888/

アミン化粧品の乳化剤としての機能

アミンは乳化剤としても重要な役割を担っています。トリエタノールアミンには、その分子に疎水性側と親水性側があり、疎水性部分は通常油に結合し、親水性部分は通常水に結合します。この両親媒性の性質により、物質を油と水のベースと組み合わせて、不均一な質感や製品の破損を防ぐことができます。
参考)https://www.researchnester.jp/industry-analysis/triethanolamine-market/3039

化粧乳液と化粧クリームは、皮膚の角質層に水分と油分を補い、保湿および柔軟性を付与する役割があります。水に油分を乳化させたエマルションは、水分と油分を一度に、かつ比較的自由な割合で皮膚に与えることができるため、乳化機能が重要な役割を果たしています。トリエタノールアミンは、医薬品、化粧品、パーソナルケア用品における乳化剤としての使用が増加しており、今後数年間で需要が増加すると予想されています。
参考)https://solutions.sanyo-chemical.co.jp/technology/2023/07/102496/

アミン化粧品の界面活性剤としての特性

アミンは界面活性剤としても機能し、カチオン(陽イオン)界面活性剤の原料となります。高級アルキルアミン類は酸で中和するだけで簡単にカチオン界面活性剤にすることができ、塩酸のような強酸性の無機酸でなくても、ぎ酸や酢酸のような比較的弱酸性の低級脂肪酸を用いて中和してもアミン塩型のカチオン界面活性剤をつくることができます。
参考)https://solutions.sanyo-chemical.co.jp/technology/2024/04/102512/

ステアラミドプロピルジメチルアミンは、ステアリン酸とジメチルアミノプロピルアミンによって作られるカチオン界面活性剤で、一般的な陽イオン界面活性剤よりも肌刺激がソフトであり、サラサラ仕上げやボリューム感を付与する効果があります。また、アミノ酸系界面活性剤の多くは、肌のpH5~6と同じ弱酸性で刺激が少なく、アミノ酸・脂肪酸・アルカリ剤を合成することで作られています。
参考)https://www.ishampoo.jp/kaiseki/ingredients/1236

建築業従事者が知るべきアミン化粧品の安全性管理

建築業従事者は、作業環境での化学物質への曝露リスクが高いため、化粧品選びにも注意が必要です。トリエタノールアミンは建設業界でセメント添加剤として使用されており、セメント粉砕プロセス中の粉砕を助ける役割を果たしています。日本の建築建設への投資額は2023年度に約2,941億米ドルに達し、国内の建設活動の増加により、セメントの粉砕助剤および添加剤としてのトリエタノールアミンの使用がさらに増加しています。
参考)https://www.sdki.jp/reports/triethanolamine-market/590641387

建設現場で使用される化学物質と同じ成分が化粧品にも含まれているため、相乗的な曝露リスクを考慮する必要があります。一部のアミンは高温下で腐食性を示すことがあり、設備材質の選定や防食対策が必要なだけでなく、吸入や皮膚接触による健康リスクもあるため、適切な安全管理が求められます。作業後のスキンケアでは、これらの成分への追加的な曝露を避けるため、成分表示を確認することが重要です。
参考)https://chem.hanwa.co.jp/topics/?id=1754008181-755034

アミン化粧品使用時の注意点と副作用リスク

アミンを含む化粧品の使用には、いくつかの注意点があります。MEA、DEA、TEAが特定の物質と反応すると、ニトロソアミンという発がん性物質が形成される可能性があります。例えば、DEAは化粧品の他の成分と混ざった際、NDEAというニトロソアミンを形成する可能性があり、NDEAは皮膚から吸収される発がん性物質です。これらの懸念から、EUの欧州委員会はDEAの化粧品への使用を禁止しましたが、日本では禁止されていないため、今でも化粧品に配合されています。
参考)https://concio.jp/blogs/blog/cosmetic-ingredients-to-avoid

エタノールアミンは、パーマ剤や二剤式ヘアカラー・白髪染めに配合されており、髪のタンパク質を変質させて薬剤を浸透させやすくする役割があります。しかし、日本医薬品添加剤協会によると、この成分を吸入させる動物実験では、脱毛や肝臓、肺の異常が見られたという結果が出ており、濃度によっては嘔吐や攻撃性、死亡例なども散見されます。理美容師はパッチテストでこの成分に対し陽性反応を示すことが多いことがわかっており、パーマや二剤式ヘアカラーの際に吸入しやすく、また頭皮・顔などにつきやすいため、注意が必要です。​

アミン化粧品の選び方と乾燥肌・敏感肌への配慮

乾燥肌や敏感肌の方は、アミン含有化粧品を選ぶ際に特に注意が必要です。敏感肌のための化粧品開発では、3級アミンを含めてできるだけ使用しないようにしているケースもあります。3級アミンは比較的刺激が弱いとされていますが、脂肪酸アミドアミンやステアラミドプロピルジメチルアミンなどの成分も、肌質によっては刺激となる可能性があります。
参考)https://dsr-skincare.jp/blog/archives/10351

保湿ケアを行う際は、成分にも注目することが重要です。アミノ酸系の保湿成分は、肌の天然保湿因子(NMF)を補う効果があり、バリア機能が整っているうるおいのある肌を目指すために有効です。アミノ酸やセラミドなど、肌の天然保湿成分や細胞間脂質などを補う保湿効果の高い成分が配合されたケア製品を選ぶことが重要です。また、化粧品の安全性を高めるためには、刺激や不快な反応を避けるため、pH調整剤が適切に配合されているかを確認することも大切です。
参考)https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_minon-aminomoist/skin-column/moisturizing-care/

アミン化粧品の効果的な使用方法

アミン配合化粧品を効果的に使用するためには、適切な使用方法を理解することが重要です。ナイアシンアミドなど肌トラブルが起こる可能性が低いアミン系成分は、スキンケアのどのタイミングに取り入れてもよく、1日の使用回数に制限もありません。ただし、単独で使用するよりも、レチノールやセラミドなど、ほかの成分と併用して使うのがおすすめです。
参考)https://www.harpersbazaar.com/jp/beauty/makeup-skincare/a45528015/niacinamide-cosmetics-231116-hb/

保湿アイテムをつける時は、浸透させようと思うあまり、肌をこすって傷つけてしまいがちなので注意が必要です。手のひらでやさしく押さえるようになじませ、必要に応じてクリームなどをプラスして油分を補いましょう。また、自分の肌悩みに合わせて、アミン以外に配合されている成分にも注目してください。乾燥による小じわや肌にハリを与えたい人はレチノール、肌のくすみが気になる人はビタミンCが配合されているもの、保湿効果が高いセラミドを含む製品は乾燥肌におすすめです。​

アミン化粧品の製品選択と成分表示の確認方法

化粧品を選ぶ際には、成分表示を確認することが非常に重要です。医薬部外品の有効成分としてナイアシンアミドなどのアミン系成分が記載されている製品は、厚生労働省が定めた一定の分量が配合されていて、美白効果が期待できます。特に肌が不調と感じる人は、医薬部外品のものをチョイスするといいでしょう。​
成分表示では、以下のような表記に注意してください。医薬部外品原料では「モノエタノールアミン」「MEA」と表示されることもあります。また、コカミドDEA、ミリスタミドDEA、セチルリン酸DEA、オレス-3リン酸DEA、ラウラミドDEA、オレアミドDEA、ラウリル硫酸TEA、ラウロイルグルタミン酸TEA、コカミドMEA、PEG-3ヤシ脂肪酸アミドMEA、ステアラミドMEAなど、エタノールアミンを含む様々な化合物が存在します。これらの成分が含まれている場合は、自分の肌質や使用目的に合っているか慎重に判断する必要があります。​
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