バンドギャップ一覧と材料特性

バンドギャップ一覧と材料特性

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この記事で分かること
📊
バンドギャップの基礎知識

半導体材料における電子構造とエネルギーの関係を理解できます

各材料の一覧と特性

30種以上の半導体材料のバンドギャップ値と用途を把握できます

🏢
建築・不動産への応用

最新のパワー半導体がスマートビルにもたらす変革を学べます

バンドギャップ一覧と材料特性

バンドギャップとは何か:禁制帯の基本概念

 

バンドギャップは、半導体材料における価電子帯と伝導帯の間に存在する電子が占有できないエネルギー領域を指します。この領域は禁制帯や禁止帯とも呼ばれ、材料の電気特性を決定する重要な要素です。バンドギャップの大きさは電子ボルト(eV)という単位で表され、この数値が大きいほど材料の絶縁性が高くなります。原子核の周りを回る電子が外側のエネルギー帯へ移動するために必要なエネルギーの差が、このバンドギャップに相当するのです。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%97

建築・不動産業界では、空調制御システムや照明設備、電力管理システムなどに半導体デバイスが広く採用されており、これらの性能を理解する上でバンドギャップの概念が役立ちます。特に省エネルギー化が求められる現代建築において、半導体の電気特性は設備設計の重要な要素となっています。
参考)https://www.fact-cam.co.jp/document/semiconductor-column/archives/000657.html

バンドギャップ一覧:主要半導体材料の比較表

以下の表は、建築設備や電子機器に使用される主要な半導体材料のバンドギャップ値をまとめたものです。
参考)https://semi-journal.jp/basics/beginner/band.html

材料名 化学式 バンドギャップ(eV) 主な特徴
ゲルマニウム Ge 0.67 低バンドギャップ
ケイ素 Si 1.11 最も普及した材料
ヒ化ガリウム GaAs 1.43 高速デバイス向け
炭化ケイ素 SiC 2.86 ワイドギャップ
窒化ガリウム GaN 3.4 LED・パワー素子
酸化ガリウム β-Ga₂O₃ 4.5~4.9 次世代材料
ダイアモンド C 5.5 超ワイドギャップ
窒化アルミニウム AlN 6.3 高温動作可能

この一覧からわかるように、材料によってバンドギャップの値は0.67eVから10.6eVまで大きく異なります。建築設備の設計者は、使用環境や要求性能に応じて適切な半導体材料を選定する必要があります。​

バンドギャップによる材料分類:導体・半導体・絶縁体

バンドギャップの大きさによって、材料は導体、半導体、絶縁体の三つに分類されます。導体はバンドギャップが存在せず、価電子帯と伝導帯が接触しているため、電子が自由に移動できます。半導体は1eV程度のバンドギャップを持ち、外部からエネルギーを与えることで電気を通すようになります。​
💡 バンドギャップと電気抵抗率の関係

  • 導体:10⁻⁸~10⁻⁴Ωcm(バンドギャップなし)​
  • 半導体:10⁻⁴~10⁸Ωcm(1~3eV程度)​
  • 絶縁体:10⁸~10¹⁸Ωcm(3eV以上)​

絶縁体は半導体よりもバンドギャップが大きく、光エネルギーでは電子を励起できないため、どのような状態でも電気を流しにくい材料です。建築材料としては、配線の被覆材や絶縁体として、バンドギャップの大きい材料が活用されています。​

バンドギャップ一覧から見るワイドギャップ半導体の特徴

ワイドギャップ半導体とは、シリコン(1.11eV)よりも大きなバンドギャップを持つ材料の総称です。代表的な材料には炭化ケイ素(SiC:2.86eV)、窒化ガリウム(GaN:3.4eV)、酸化ガリウム(Ga₂O₃:4.5~4.9eV)、ダイアモンド(5.5eV)などがあります。
参考)https://qps-lab-naist.labby.jp/blog/detail/2945

これらの材料は、広いバンドギャップを持つことで絶縁破壊電界強度が高くなり、高温環境下でも電子が励起せず半導体としての特性を保つことができます。例えば、シリコンの絶縁破壊電界強度が0.3 MV/cmであるのに対し、窒化ガリウムは3.3 MV/cmと10倍以上の耐久性を持ちます。​
建築・不動産業界では、大型商業施設やデータセンターにおける電力変換装置、空調システムのインバーター制御などに、これらのワイドギャップ半導体が活用され始めています。高効率なパワー変換が可能となり、建物全体のエネルギー消費削減に貢献しています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu/82/10/82_836/_pdf/-char/ja

ワイドギャップ半導体の詳細な技術比較と応用事例(英語)

バンドギャップ一覧を活用した省エネ建築への応用

バンドギャップの知識は、省エネルギー建築の実現において重要な役割を果たします。従来のシリコン系半導体と比較して、ワイドギャップ半導体を用いたパワーデバイスは電力損失が少なく、高周波動作が可能なため、空調設備や照明制御システムの小型化・高効率化が実現できます。
参考)https://journal.ntt.co.jp/article/3282

🏢 建築設備への具体的な応用例

バンドギャップ一覧を参照することで、各用途に最適な材料を選択でき、建物のライフサイクルコスト削減につながります。特に大規模オフィスビルや商業施設では、電力使用量の削減が運営コストに直結するため、高性能半導体デバイスの導入が進んでいます。
参考)https://tonarism.co.jp/media/media_detail.php?b_id=201

不動産業界においても、省エネ性能の高い建物は資産価値の向上につながるため、バンドギャップ特性を理解した設備選定が重要視されています。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実現に向けて、ワイドギャップ半導体技術は不可欠な要素となっているのです。
参考)https://www.tson.co.jp/media/rei/rei-basic/956/

日本物理学会によるワイドギャップ半導体材料の詳細解説(PDF)