ベイマツ価格と建築業従事者が知るべき選び方

ベイマツ価格と建築業従事者が知るべき選び方

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ベイマツ価格と選び方

この記事でわかること
💰
現在のベイマツ価格相場

立米単価10.5〜11.5万円で推移。ウッドショック前より1〜2万円高い水準が継続中

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ベイマツの特徴と用途

強度が高く梁・桁など構造材に最適。大径材で長尺物が入手可能な点が魅力

品質選定のポイント

乾燥材とグリーン材の違い、節の有無によるグレード分類を理解して適切に選択

ベイマツ価格の最新相場と推移

2024年現在、ベイマツの立米単価は10.5〜11.5万円で推移しています。これは2021年前のウッドショック以前と比較すると、1〜2万円ほど高い水準です。
参考)米松材の価格,梁の立米単価,木造住宅の構造材 href="https://ki-no-ie.net/2024/08/15/%E6%9C%A8%E6%9D%90%E3%81%AE%E4%BE%A1%E6%A0%BC/" target="_blank">https://ki-no-ie.net/2024/08/15/%E6%9C%A8%E6%9D%90%E3%81%AE%E4%BE%A1%E6%A0%BC/amp;#8211;…

ウッドショックが始まった2021年3月頃から価格は急騰し、2021年9月には立米単価が14.5〜15.5万円まで上昇しました。この時期には材料が入手困難となり、着工できない現場が続出する事態となりました。​
具体的な価格例として、3.0M×0.105M×0.180Mの米松材で計算すると、ウッドショック前の立米単価9.5万円では5,386円/本でしたが、現在の立米単価11.5万円では6,520円/本となり、約1,134円/本の値上がりとなっています。​
2023年に入ってからは立米単価が毎月1万円ずつ減少し、2023年4月頃に12万円ほどで落ち着きました。その後2024年7月までこの水準が続き、現在はさらに下落して10.5〜11.5万円となっています。​
2階建て程度の木造住宅で使用される柱梁などの構造材は約10立米と推測されるため、ウッドショック前と比較すると構造材だけで約20万円のコスト増となっています。​

ベイマツの特徴と建築現場での用途

ベイマツは北米産の針葉樹で、マツ科トガサワラ属に分類されます。日本では得られにくくなった大径材の代替として、梁や桁などの構造材に広く使用されています。
参考)LIXIL|リフォーム|リフォーム用語集|施工|木材|米松・…

強度面での特徴として、やや重厚な木材でありながら加工性が非常に良好です。加工後の狂いも少なく、重構造用材として信頼性が高い点が評価されています。
参考)【建築用材】加工性がとても良い“米松(ベイマツ)”丸太を製材…

主な用途には以下のようなものがあります。
参考)ベイマツの特徴を木工業者が解説ー色合いや加工性・耐久性は?ど…

  • 建築構造材(梁、桁など)
  • 合板製造(北米での代表的な材料)
  • 建具・家具製作
  • 造船用材
  • 杭・枕木
  • 桶・タンク

大径木で長尺材が入手可能なため、埠頭やドック、港湾などの重構造用材としても使用されています。特に年輪が密な大径木は家具や建具用として重宝されており、「ピーラー」という名称で流通しています。
参考)米松の特徴とは|木製サッシ特集

北米産針葉樹の中でも適度な硬さがあるため、床材、ドア枠、窓枠など内装材としても幅広く活用されています。​

ベイマツのサイズ規格と価格帯

ベイマツは様々なサイズ規格で販売されており、用途に応じて選択できます。一般的な規格サイズと価格帯を把握しておくことで、適切な材料調達が可能になります。

 

垂木材の規格例
参考)https://search.kakaku.com/%E7%B1%B3%E6%9D%BE/

  • 4000×45×45mm:2本セットで2,500円(税込2,750円)
  • 4000×45×45mm:6本セットで3,696円
  • 1900×45×45mm:4本セットで2,500円(税込2,750円)

角材の規格例
参考)https://www.chugokumokuzai.co.jp/products/products2/products2-1.html

  • 3M×45×45mm:180本入
  • 3M×45×60mm:120本入
  • 3M×45×75mm:80本入
  • 3M×45×90mm:50本入

平板材の価格
参考)米マツ 平板セット(ベイマツ)24mm

米マツ24mm建築グレードの例では、7枚セットで材積0.0498M³、立米単価396,000円/M³で21,693円(税込)という販売事例があります。これは無節の高品質材で、天然乾燥材として提供されています。

 

節ありの材料であれば価格は手頃になります。ほとんどのベイマツは乾燥材として販売されており、表面処理も施されています。
参考)木材DIY通販サイト

小売価格では最低360円(税込)からフリーカット材として購入可能ですが、出荷には13営業日程度かかる場合があります。
参考)ピーラー(米松) 無垢板フリーカット木材通販(無垢材・集成材…

ベイマツの品質グレードと選定基準

ベイマツの品質は主に乾燥状態と節の有無で判断されます。建築現場で適切な材料を選定するには、これらの違いを理解することが重要です。

 

乾燥材とグリーン材の違い
KD材(Kiln-Dried Lumber)は人工乾燥させた木材で、含水率が管理されています。寸法精度が高く、施工後の狂いや割れが少ないため、構造材として推奨されます。
参考)KD材とは?AD材やG材との違いとメリット・デメリット

グリーン材は未乾燥材で、含水率が25%以上のものを指します。乾燥の工程を挟まないため建築費用を抑えられますが、時間経過とともに歪みや割れが生じる可能性があるため、構造材への使用は適していません。​
AD材(Air-Dried Lumber)は自然乾燥させた木材で、数ヶ月から1年以上かけて無理なく乾燥させます。調湿性に優れていますが、室内で使用すると乾燥が進み、歪みや割れが生じる可能性があります。​
節による等級分類
参考)https://okitamanoki.jp/pdf/2.pdf

  • 無節:節がまったくない最高級品
  • 上小節:小さな節のみが存在
  • 小節:比較的小さな節が許容される

これらの等級はJASの造作用製材の材面品質基準として定められており、見た目の良さを表します。構造材では強度等級が別に設定されています。​
品質の良いJ-Grade相当品を選ぶことで、安定した性能が期待できます。米松ならではの高いめり込み強度に加え、防腐防蟻処理を施した保存処理材も流通しています。
参考)https://www.xyence.co.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/%E4%BF%9D%E5%AD%98%E5%87%A6%E7%90%86%E6%9C%A8%E6%9D%90%E7%B7%8F%E5%90%88%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%95.pdf

ベイマツ購入時の実務的注意点

建築現場でベイマツを調達する際には、品質確保とコスト管理の両面から注意が必要です。

 

含水率管理の重要性
6〜8月の高温多湿時期に購入した木材は、輸送中や保管中に含水率が上昇しやすくなります。出荷時は含水率10%前後に調整されていても、梅雨から真夏にかけては数日で14〜15%程度まで上昇する可能性があります。
参考)木材を反りを防ぐため、購入時に気を付けたい注意点 - 木材通…

この時期に購入した材料は、最初の半年から1年間は温度と湿度の管理に特に注意が必要です。適切な保管環境を確保しないと、施工後に大きな反りや動きが発生するリスクが高まります。​
木目方向の確認
木材の基本として「幅≦長さ」となるよう、木目に沿って長さが定義されています。この関係が逆転すると反りのリスクが高まるため、購入時に木目の方向を確認することが重要です。​
仕入れルートの選択
材木店、ホームセンター、ネット通販など様々な購入ルートがあります。節ありのものであれば価格も手頃ですが、品質のばらつきに注意が必要です。​
大量仕入れの場合は、製材メーカー直営の通販を利用することで卸価格での購入が可能になります。ただし出荷までに13営業日程度かかる場合があるため、工期に余裕を持った発注が必要です。​
防腐防蟻処理の検討
土台など耐朽性能が求められる部位には、保存処理を施したベイマツの使用を検討しましょう。専用装置を用いた吹付け・含浸処理により、寸法変化なく加圧注入と同等の保存性能が得られます。
参考)ザイエンスの木材保存処理(防腐・防蟻処理) - 株式会社ザイ…

集成材にサンプレザーOPエースを深浸潤処理したJAS集成材も流通しており、高い寸法精度と防腐防蟻性能を併せ持つ製品として選択肢になります。
参考)https://www.xyence.co.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AE%E4%BF%9D%E5%AD%98%E5%87%A6%E7%90%86%E6%9C%A8%E6%9D%90%E7%B7%8F%E5%90%88%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%952.pdf

ベイマツ価格変動への対応戦略

建築業従事者として、ベイマツの価格変動に効果的に対応するための戦略を持つことが重要です。

 

価格推移の監視
中部納材協同組合の月次市場価格など、業界団体が公表する価格情報を定期的に確認しましょう。立米単価の動向を把握することで、適切な見積もりと発注タイミングの判断が可能になります。​
現在は10.5〜11.5万円の水準で推移していますが、国際的な木材需給や為替相場の影響を受けやすいため、中長期的な視点での監視が必要です。
参考)材木屋が暴露!ウッドショックの今の木材価格の推移と流通状況!…

代替材料の検討
ウッドショック以降、輸入材から国産材への移行が進んでいます。用途によっては国産のスギやヒノキも選択肢として検討する価値があります。
参考)【2023年最新情報】ウッドショックは終了した?木材価格の推…

ただし、大径材や長尺材が必要な場合はベイマツの優位性が高いため、部位ごとに最適な材料を使い分ける戦略が有効です。
参考)木材の種類と特性 - 日本の木材・海外の木材 一覧と検索

在庫管理の最適化
価格が安定している時期に必要量を確保する一方で、過剰在庫は保管コストや品質劣化のリスクを伴います。適切な在庫水準を維持しながら、信頼できる仕入れルートを複数確保しておくことが重要です。​
施主への説明責任
ウッドショック前と比較して、2階建て住宅で構造材だけでも約20万円のコスト増となっている現状を、施主に対して丁寧に説明する必要があります。​
価格上昇の背景には国際的な木材需給の逼迫があり、一時的な現象ではないことを理解してもらうことで、適正な見積もりへの納得を得やすくなります。

 

米国やカナダからの安定的な供給体制を確立している仕入れ先を選ぶことで、品質の良いJ-Grade相当品を継続的に調達できます。​
木材の価格推移と立米単価の詳細な計算例について(木の家設計室)
ベイマツの価格推移をウッドショック前後で詳細に比較し、具体的な計算例とともに解説しています。

 

ベイマツの特徴と用途(日本木材輸入協会)
ベイマツの植物学的分類、強度特性、建築材としての用途について権威ある情報源からの解説です。