
c鋼の規格寸法は、JIS G3350(一般構造用軽量形鋼)によって厳格に定められています。標準的な寸法体系として、高さ(H)、幅(A)、リップ部(C)、厚さ(t)の4つの主要パラメータで構成されています。
主要規格寸法一覧。
高さ×幅×リップ | 厚さ(mm) | 断面積(cm²) | 単位質量(kg/m) |
---|---|---|---|
150×75×20 | 3.2 | 10.21 | 8.01 |
150×65×20 | 3.2 | 9.567 | 7.51 |
125×50×20 | 3.2 | 7.807 | 6.13 |
100×50×20 | 3.2 | 7.007 | 5.50 |
寸法許容差についても明確に規定されており、高さ150mm未満では±1.5mm、150mm以上300mm未満では±2.0mm、300mm以上では±3.0mmとなっています。これらの厳密な基準により、建築物の構造安全性が確保されています。
📏 意外な事実:c鋼の断面二次モーメントは、同じ重量のI形鋼と比較して約15%高い効率を示すケースがあります。これは、リップ部分が座屈に対する抵抗力を向上させるためです。
c鋼の強度特性は、SSC400材質規格によって定められています。この規格では、降伏点245N/mm²以上、引張強さ400~540N/mm²という高い機械的性質を保証しています。
強度特性詳細。
🔬 知られていない特性:c鋼の溶接性は、炭素当量(Ceq)が0.38以下に制御されているため、一般的な軟鋼と同等の作業性を実現しています。これにより、現場での加工性が大幅に向上し、工期短縮に貢献しています。
耐荷重性能については、断面係数と断面二次モーメントの組み合わせにより、同重量の他形状鋼材と比較して優れた構造効率を発揮します。特に曲げモーメントに対する抵抗力が高く評価されています。
参考:日本鋼構造協会の構造用鋼材性能データ
https://www.jssc.or.jp/
c鋼は建築分野において多様な用途で活用されており、その規格に応じた適切な使用が重要です。主要な建築用途として、軽量鉄骨構造の壁下地材、屋根垂木、間柱材などが挙げられます。
建築用途別規格選定基準。
🏢 構造用途
🔌 設備用途
特筆すべき用途として、幹線更新工事における既存ケーブルの一時固定があります。この場合、c鋼をブラケットで壁面に固定し、既存幹線を結束することで安全な作業スペースを確保します。
⚡ 現場の裏技:電気工事では、c鋼の溝部分を利用してケーブル保護管を効率的に配線する手法が使われています。この方法により、従来の固定方法と比較して約30%の工期短縮が可能です。
c鋼の品質管理は、製造段階から現場施工まで一貫した基準が設けられています。JIS G3350規格では、質量許容差も厳密に規定されており、計算質量600kg未満で±10%、600kg以上2t未満で±7.5%、2t以上で±5%となっています。
品質管理項目と基準値。
📊 寸法精度管理
🎨 表面処理品質
カラーc形鋼では、防錆塗装の膜厚管理が重要です。標準塗装厚は40~60μmで、塩水噴霧試験で240時間以上の耐食性を保証しています。
🔍 非破壊検査基準:大型建築物用c鋼では、超音波探傷検査により内部欠陥の有無を確認します。検査基準はJIS Z2344に準拠し、エコー高さ80%以下の欠陥は許容範囲とされています。これは一般にはあまり知られていない品質保証項目です。
製品検査では、機械的性質試験として引張試験、曲げ試験が実施され、ロット管理により品質の均一性が確保されています。
c鋼の設計計算では、従来の許容応力度設計法に加えて、限界状態設計法の適用が注目されています。この設計法では、c鋼の真の構造性能をより正確に評価できるため、経済的な設計が可能となります。
設計計算における独自の考慮事項。
🧮 座屈長さ係数の最適化
c鋼のリップ部分は、局部座屈に対する抵抗力を向上させますが、従来の設計では十分に評価されていませんでした。最新の研究では、リップ効果を考慮した座屈長さ係数0.85の適用により、約12%の断面効率向上が確認されています。
📐 ねじりモーメントへの対応
c鋼断面の重心軸とせん断中心の偏心により発生するねじりモーメントは、設計時に慎重な検討が必要です。偏心距離は断面寸法により3~6cm程度となり、横座屈耐力に直接影響します。
🔬 温度応力の影響評価:季節による温度変化(-20℃~+40℃)を考慮した場合、c鋼の線膨張係数12×10⁻⁶/℃により、10m材で最大7.2mmの伸縮が発生します。この値は設計時の余裕代設定で重要な要素となりますが、実務では見落とされがちです。
耐震設計においては、c鋼の塑性変形性能を活用した設計手法も開発されており、従来の弾性設計と比較して約20%の断面低減が可能となっています。
参考:建築研究所の最新設計指針
https://www.kenken.go.jp/