電気工事士法と自家用電気工作物の関係と資格要件

電気工事士法と自家用電気工作物の関係と資格要件

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電気工事士法における自家用電気工作物の規制範囲

この記事でわかること
自家用電気工作物の定義と範囲

電気工事士法で規制される最大電力500kW未満の需要設備について理解できます

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必要な資格の種類と要件

第一種電気工事士や認定電気工事従事者など、工事に必要な資格がわかります

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不動産管理における注意点

ビルや工場の電気工事を発注する際の法的要件と罰則について学べます

電気工事士法における自家用電気工作物の定義

 

 

 

電気工事士法第2条第2項では、自家用電気工作物について明確な定義が設けられています。この法律における自家用電気工作物とは、電気事業法第38条第4項に規定される自家用電気工作物のうち、特定の施設を除外したものを指します。
参考)https://hourei.net/law/335AC0000000139

具体的には、発電所、変電所、最大電力500キロワット以上の需要設備、送電線路、保安通信設備などが除外されており、主に中小規模のビルや工場等の需要設備が規制対象となっています。 この範囲設定には、設置者が電気保安に関する十分な知見を有しており、工事に関して的確に保安を確保できる体制にあるという考え方が背景にあります。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/koujisichikujyou.pdf

電気工事士法の規制対象となる自家用電気工作物は、実質的に最大電力500kW未満の需要設備に限定されています。需要設備とは、電気を使用するために、その使用の場所と同一の構内に設置する電気工作物の総合体を指しており、高圧受電が約94%を占めているのが実態です。
参考)https://www.eei.or.jp/column/glossary

自家用電気工作物に必要な電気工事士資格の種類

自家用電気工作物の電気工事に従事するためには、適切な資格が必要です。最も基本となるのが第一種電気工事士で、この資格保有者は一般用電気工作物等に加えて、最大電力500kW未満の需要設備に係る電気工事の作業に従事できます。
参考)https://www.shiken.or.jp/construction/about/

第二種電気工事士の資格では、一般用電気工作物(600V以下で受電する電気設備)に関する工事のみに従事可能で、自家用電気工作物の工事には従事できません。 ただし、例外として「簡易電気工事」と呼ばれる電圧600V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事については、認定電気工事従事者の資格を取得することで従事が可能になります。
参考)https://www.eei.or.jp/column/archives/207

  • 第一種電気工事士:一般用電気工作物等および自家用電気工作物(最大電力500kW未満)の電気工事全般
  • 認定電気工事従事者:電圧600V以下の自家用電気工作物に係る簡易電気工事(電線路を除く)
  • 特種電気工事資格者:ネオン工事や非常用予備発電装置工事などの特殊電気工事

認定電気工事従事者は、第一種電気工事士試験合格者または第二種電気工事士免状取得後3年以上の実務経験を有する者が、所定の講習を受けることで取得できる資格です。
参考)https://www.eei.or.jp/approval/

自家用電気工作物における500kW基準の実務的意味

最大電力500kWという基準は、電気工事士法の規制範囲を決定する重要な境界線となっています。この基準値未満の需要設備については電気工事士の資格が必須ですが、500kW以上の自家用電気工作物については電気主任技術者の専任監督下であれば、電気工事士の資格が不要となるケースがあります。
参考)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11163803471

この基準は契約電力ではなく、最大電力(電力会社との契約電力)で判断されます。不動産従事者としては、管理するビルや工場の契約電力を正確に把握し、どの資格者に工事を依頼すべきかを判断する必要があります。
参考)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10115345295

500kW以上の大規模施設では、電気主任技術者の選任が義務付けられており、この技術者の監督下であれば電気工事の作業従事者の資格要件が異なってきます。 一方、500kW未満の中小規模施設では、電気工事士法に基づく厳格な資格要件が適用されるため、無資格者による工事は法律違反となります。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/detail/koji.html

興味深い点として、高圧受電の事業場であれば、たとえ600V以下で使用する設備であっても自家用電気工作物に該当するため、第一種電気工事士または認定電気工事従事者の資格が必要になります。 これは受電電圧が低圧であっても、施設全体の電気工作物の区分によって必要資格が変わることを意味しており、実務上の注意点となります。
参考)https://www.safety-naha.meti.go.jp/denkihoan/jikayo_koji.html

電気工事士法違反の罰則と不動産管理者の責任

電気工事士法に違反して無資格者が電気工事を行った場合、または適切な資格を持たない業者に工事を発注した場合、厳しい罰則が科される可能性があります。電気工事業の無登録営業に対しては、1年以下の懲役または10万円以下の罰金、あるいはその両方が科されることになります。
参考)https://office-matsuba.com/gyoseishosi/column/denkikoji/1638

不動産管理者や建物所有者としては、工事発注時に業者が適切な電気工事業者登録を行っているか確認することが重要です。電気工事業を営むためには、都道府県知事または経済産業大臣への登録が必要であり、この登録を受けずに営業することは法律違反となります。
参考)https://office-soleil.jp/pages/26/

違反行為 罰則内容 対象者
無登録での電気工事業営業 1年以下の懲役または10万円以下の罰金(併科あり) 業者、法人代表者
無資格者による電気工事 電気工事士法に基づく処罰 作業従事者、雇用者
電気工事業法違反 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 業者、法人代表者

建設業許可を取得していても、電気工事業法に基づく登録手続きは別途必要となる点に注意が必要です。 500万円未満の小規模工事であっても、電気工事業者登録がなければ違反となり、行政指導や罰則の対象となる可能性があります。
参考)https://www.pluscad.jp/howto/721/

電気工事士法は、電気工事の欠陥による災害の発生防止を目的としており、公共の安全確保という重要な役割を担っています。 不動産従事者としては、適切な資格を持つ業者への発注を徹底することで、法令遵守と建物利用者の安全確保の両立を図る必要があります。
参考)https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000139

不動産管理における電気工事発注時の実務チェックポイント

不動産従事者が電気工事を発注する際には、いくつかの重要な確認事項があります。まず、管理する物件の電気工作物の区分を正確に把握することが第一歩となります。一般用電気工作物か自家用電気工作物か、自家用の場合は最大電力が500kW未満か以上かによって、必要な資格や手続きが大きく異なります。
参考)https://www.tokoso.jp/files/libs/927/202104111436026027.pdf

発注先の電気工事業者が適切な登録を行っているか確認することも重要です。一般用電気工作物のみを扱う業者と、自家用電気工作物にも対応できる業者では、登録内容や必要な主任電気工事士の設置要件が異なります。 一つの都道府県内のみで営業する場合は都道府県知事の登録、複数の都道府県にまたがる場合は経済産業大臣の登録が必要となります。
参考)https://www.safety-kanto.meti.go.jp/electric/kojigyo/e_touroku01.html

工事の内容が「軽微な工事」に該当するかどうかの判断も実務上重要です。電気工事士法施行令第1条では、電圧600V以下で使用する差込み接続器へのコード接続や、電気機器の端子への電線のねじ止めなど、特定の作業を「軽微な工事」として定義しており、これらは電気工事士の資格がなくても実施可能です。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/1-3keibi.pdf

自家用電気工作物を持つ物件では、電気主任技術者の選任も必須となります。電気主任技術者は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督を行う有資格者であり、設置者は設備または事業場ごとに選任する必要があります。 この選任を怠ると、電気事業法違反として処罰の対象となる可能性があります。
参考)https://www.safety-chubu.meti.go.jp/denryoku/jikayou/tetsuzuki.html

経済産業省の電気工事の安全に関するページ
電気工事士法の規制内容や、一般用電気工作物と自家用電気工作物の違いについて、経済産業省が公式に解説している資料です。電気工事の安全確保に関する基本的な情報が網羅されています。

 

一般財団法人電気技術者試験センター - 電気工事士の資格概要
第一種電気工事士と第二種電気工事士の資格区分、それぞれが従事できる工事の範囲について詳しく説明されています。認定電気工事従事者や特種電気工事資格者についての情報も含まれています。

 

工事発注時には、作業に従事する電気工事士の免状の確認や、工事業者の登録証明書の提示を求めることが推奨されます。特に大規模な改修工事や新規設備の導入時には、事前に所轄の産業保安監督部へ相談することで、法令遵守を確実にすることができます。​
不動産管理の実務では、テナントからの小規模な電気工事の要望も頻繁にあります。このような場合でも、工事の内容が電気工事士法の規制対象に該当するかを慎重に判断し、必要に応じて有資格者による施工を求める必要があります。 特にエアコン設置工事など、電気工事と設備工事が混在する案件では、どの部分に電気工事士の資格が必要かを明確にすることが重要です。
参考)https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/74039.pdf

近年では、太陽光発電設備や蓄電池システムなど、新しいタイプの電気設備の導入が増えています。これらの設備も電気工作物の区分に応じた適切な工事資格が必要となるため、導入前に設備の仕様と必要な資格要件を確認することが不可欠です。​

 

 

 

 


ホーザン(HOZAN) 布尺 電気工事士試験に 長さを測る時に SB-67