

液状セルフレベリング材は「どこでも流しておけば平らになる材料」ではなく、仕上げ材の仕様に応じて不陸の許容値を決めてから使用範囲を設計する必要があります。 例えば長尺シートやフロアタイルは、2mスパンで3mm程度の不陸でも仕上がりに影が出るため、局所パテだけで済ませるか、全面レベリングに切り替えるかの判断が重要になります。
実務では、次のような目安で不陸調整の方法を切り分けることが多くあります。abc-t+1
液状セルフレベリング材を厚く打ち過ぎると、材料費の増加だけでなく、乾燥遅延や収縮クラックのリスクが高くなるため、厚みの上限と下限をカタログ値で必ず確認しておきたいところです。 特に改修工事では、既存スラブの局所的な高低差を先に削正しておかないと、必要以上の厚みを打設してしまい、工程全体が押してしまう原因になります。mu-cc+3
床の用途がフォークリフト走行や高荷重ラインであれば、単に「見た目が平ら」ではなく、圧縮強度・耐摩耗性・たわみ量なども加味して材料選定を行わなければなりません。 高強度・速硬タイプの液状セルフレベリング材は、工期短縮に寄与する一方で、打ち継ぎ部のレイタンス除去やプライマー選定を疎かにすると、境目で段差や白華が出ることもあるため注意が必要です。nihonkasei+1
「不陸をどこまで拾うか」「どこから他工種や構造側の仕事にするか」を現場で曖昧にしたまま工事に入ると、面出しが終わった後に追加調整が発生し、二度手間になることも珍しくありません。 事前段階で監督・仕上げ業者・左官業者が不陸許容値を共有し、セルフレベリング材を使う範囲と厚みを決めておくことが、仕上げトラブルを抑える近道になります。machiken-pro+1
液状セルフレベリング材の品質は、練り混ぜ時の水量と撹拌時間で大きく変わり、同じ製品でも現場によって仕上がりに差が出ます。 規定より水を多く入れれば流動性は上がりますが、余剰水分が抜ける際にクラックや表面強度低下が起こりやすくなるため、仕様書の水量範囲を守ることが基本になります。
練り混ぜの実務ポイントとして、次のような工夫が有効です。nihonkasei+2
流し込み時には、トンボやスキージーで「ならす」のではなく、「流動を補助する」イメージで扱うと、セルフレベリング本来のレベル出し性能を活かしやすくなります。 粘度が高めの製品では、流動が追いつかずに波打ちが残ることがあるため、作業者の動線と打設ブロックを事前にシミュレーションし、打ち継ぎ位置を最小限に抑える計画が重要です。mu-cc+2
また、液状セルフレベリング材は周囲にわずかな隙間があるだけでも流出してしまうため、配管周りや壁際、開口部の止水処理を徹底しておく必要があります。 隙間からの漏れによって局所的に厚みが薄くなると、その部分の強度不足やへこみの原因となり、後工程で補修に追われることになります。higashionna+2
施工面積が広い場合は、ポンプ圧送工法を採用することで作業負荷を大きく低減できますが、ホース内での分離や凝結を防ぐため、停止時間を短くし、定期的にフラッシングを行う運用が望まれます。 ポンプ施工では、排出口付近での材料温度上昇にも注意が必要で、夏場は特に可使時間の短縮を見越した人員配置と打設分割計画が求められます。haradasakan+2
液状セルフレベリング材は気温5℃以下の環境で施工すると、規定の強度が出ず、本来の性能を発揮できない場合があるとされ、メーカーも低温施工を避けるよう注意喚起しています。 一方で、夏場の高温環境では可使時間が極端に短くなり、打ち継ぎ目にレベル差や色ムラが出やすくなるため、温度条件に応じて施工計画を変える必要があります。
冬季の現場で見落とされやすいのが、「室内は暖かいが、スラブ自体は冷えたまま」というケースです。 スラブ温度が低い状態で材料を打設すると、表面だけが先に凝結し、内部が硬化不良を起こして後からひび割れや表面粉化が発生することがあります。 採暖するときは、空気だけでなくスラブ温度も5℃以上になるよう、施工前日から連続して暖めておくのが望ましいとされています。higashionna+2
乾燥時間については、通常のモルタルが半日程度で歩行可能になるのに対し、セルフレベリング材は24時間以上の養生を必要とする製品が多く、厚みや温湿度によってはさらに長くかかります。 速硬タイプ・速乾タイプの液状セルフレベリング材であっても、仕上げ材を貼れるまでの時間と「人が乗れるまでの時間」は別に規定されている場合があるため、カタログの記載を読み違えないことが重要です。mu-cc+2
さらに、下地コンクリートの含水率管理も見逃せないポイントで、日本の改修現場では含水率測定を行わずに施工してしまうケースが少なくありません。 高含水状態のスラブに液状セルフレベリング材を打設すると、下からの水分が仕上げ材に抜けることで、接着不良や変色、エフロレッセンスを引き起こすことがあります。 含水率計が用意できない場合でも、ポリシート試験など簡易な方法で下地の状態を確認しておくとリスクを減らせます。mirix+2
液状セルフレベリング材は多くの床仕上げと組み合わせ可能ですが、塩ビシート、フロアタイル、塗り床など、それぞれ要求される表面性状が異なるため、下地処理のレベル感を事前に決めておくことが重要です。 特に塩ビ系仕上げでは、微細な波打ちやピンホールでも光の当たり方によって目立ちやすく、仕上げ前に全面サンディングや再パテなどの一手間が仕上がり品質を左右します。
下地処理でよくある問題が、「既存接着剤やノロの除去不足」と「プライマーの選定ミス」です。abc-t+2
仕上げ材との相性という点では、重荷重のラインにエポキシ系塗り床を計画している場合、液状セルフレベリング材の圧縮強度と弾性のバランスを確認しておく必要があります。 高強度タイプのセルフレベリング材は荷重には強い一方、下地との剛性差が大きいと、目地やクラック誘発目地の取り方によっては境界部に応力が集中し、ひび割れを誘発する場合があります。machiken-pro+1
意外と見落とされるのが、「床暖房との組み合わせ」です。 床暖房パイプの上に液状セルフレベリング材を打設する場合、パイプまわりの下地処理や厚み管理、初期の昇温速度を慎重に設定しないと、表面の微細クラックや反りの原因になり得ます。 初期養生期に床暖房を急激に立ち上げず、メーカーが推奨する昇温ステップを守ることが、長期的な仕上げ耐久性につながります。haradasakan+1
液状セルフレベリング材の施工品質は、カタログや施工要領書に書かれている内容だけでは吸収しきれない細かな現場ノウハウに左右されることが少なくありません。 例えば、打設前に2mスケールやレーザーレベルで不陸を「見える化」しておくと、厚みのイメージが共有されやすく、職人同士の認識ズレを減らすことができます。
現場での独自工夫として、次のようなポイントが挙げられます。abc-t+2
また、液状セルフレベリング材は「下地の傷を隠す材料」ではないため、クラック・ジャンカ・欠けなどの構造的な不良をそのまま埋めてしまうと、後から同じ箇所に割れが再発するリスクがあります。 構造クラックが疑われる場合は、Uカット・ピンニング・エポキシ注入などの補修を先行し、その上でセルフレベリング材を薄くかぶせるような設計が望ましいとされています。mirix+2
さらに、改修現場で意外に効果を発揮するのが、「試験打設」と「引張接着試験」です。 小面積で実際に液状セルフレベリング材を打設し、数日後に塗膜を切り出して引張試験を行うことで、下地処理やプライマー条件が適切かどうかを数値で判断できます。 手間はかかりますが、長期的なクレームリスクを考えると、重要な現場ほど事前検証にコストを割く価値があります。nihonkasei+2
液状セルフレベリング材を使いこなすうえで大切なのは、「材料の流動性に仕事を任せつつ、下地と環境条件は人がコントロールする」という意識です。 不陸調整・温度管理・乾燥時間・仕上げとの相性といった要素を総合的に設計することで、同じ材料でも仕上がりのレベルを一段引き上げることができます。higashionna+4
不陸調整の基本とセルフレベリング材の使い分けが整理されているページです。
参考)不陸調整とは?初心者でもわかる意味・施工手順・費用のポイント…
不陸調整とは?初心者でもわかる意味・施工手順・費用
セルフレベリング材の性質や硬化・乾燥に関する解説が詳しい参考記事です。
参考)マイスターの国 ドイツの材料の魅力 セルフレベリング材につい…
セルフレベリング材について|原田左官工業所
代表的なセルフレベリング床下地材の性能や特徴を確認できるメーカーサイトです。
参考)NSニューハイレベラー
NSニューハイレベラー|日本化成株式会社
セルフレベリング工法と温度条件・注意点を解説した施工会社のコラムです。yamashiro-kogyo+1
セルフレベリング工法の注意点をご紹介!
セルフレベリング材とは何か、施工方法や注意点を総合的にまとめた解説ページです。
参考)https://machiken-pro.jp/shop/pages/column042.aspx
セルフレベリング材とは?施工方法や注意点を紹介!