
三菱エコキュートの角型タイプは、最も一般的な形状として販売量が多く、同容量の薄型と比較して価格も抑えられています。角型の外形寸法は容量によって主に高さが変化し、幅と奥行きは比較的統一されています。
370Lタイプ角型寸法
460Lタイプ角型寸法
550Lタイプ角型寸法
角型の特徴として、正方形に近い形状であるため設置面積は比較的コンパクトですが、高さが容量に比例して増加する点に注意が必要です。特に460L以上の大容量タイプでは、高さが2メートルを超えるため、設置場所の天井高や配管スペースを十分確認する必要があります。
三菱の角型エコキュートは、Pシリーズ(プレミアム)、Sシリーズ(充実機能のハイグレード)、Vシリーズ(シンプルベーシック)の全シリーズで展開されており、機能の違いはあるものの外形寸法は基本的に統一されています。
薄型エコキュートは、狭小スペースや隣地境界線からの距離に制限がある場合に選択される形状です。三菱の薄型は奥行きを大幅に削減し、その分幅を広げることで同容量を実現しています。
370Lタイプ薄型寸法(SRT-S376UZ)
430Lタイプ薄型寸法(SRT-S436UZ)
薄型の最大の特徴は、奥行きが430mmと角型の約半分に抑えられている点です。これにより、家の外壁から隣地境界までの距離が狭い場合でも設置可能となります。ただし、幅が1,120mmと角型の約1.8倍となるため、横方向のスペース確保が必要です。
三菱の薄型エコキュートは、主にSシリーズ(高機能)とVシリーズ(ベーシック)で展開されており、角型と同等の機能を省スペースで実現できます。薄型特有のメリットとして、施工性とメンテナンス性の向上も挙げられ、狭いスペースでも作業しやすい設計となっています。
年間給湯保温効率については、薄型は角型と比較してやや低い傾向にありますが、設置制約がある場合の有効な選択肢となります。
エコキュートの設置スペースは、本体寸法だけでなく、メンテナンススペースや配管スペースも考慮する必要があります。容量別の設置要件を詳しく解説します。
180Lコンパクトタイプ
設置面積:約0.5㎡
推奨設置スペース:約1.0㎡
対象世帯:1〜2人用
180Lタイプは省スペース設計のコンパクトエコキュートとして、マンションや狭小住宅に適しています。本体が小型のため、ベランダ設置も可能なケースが多く、都市部の住宅事情に適応した製品です。
370Lスタンダードタイプ
設置面積:約0.8㎡(角型)/ 約1.2㎡(薄型)
推奨設置スペース:約1.5㎡
対象世帯:3〜4人用
370Lは最も人気の高い容量で、一般的な核家族世帯に適しています。角型と薄型の選択肢があり、設置環境に応じて最適な形状を選択できます。
460Lファミリータイプ
設置面積:約0.9㎡(角型)/ 約1.3㎡(薄型)
推奨設置スペース:約1.8㎡
対象世帯:4〜5人用
550L大容量タイプ
設置面積:約1.0㎡
推奨設置スペース:約2.0㎡
対象世帯:5人以上
大容量タイプは二世帯住宅や大家族に適していますが、高さが2.2mを超えるため、設置場所の制約を十分確認する必要があります。
設置時の重要な考慮事項として、基礎工事が必要な点があります。三菱エコキュートの基礎は、架台外形寸法(1025×455mm)以上の寸法が必要で、十分な基礎重量を確保する必要があります。
三菱エコキュートは機能と価格帯によって3つの主要シリーズに分かれており、それぞれ異なる特徴と寸法仕様があります。
シリーズ | 特徴 | 容量ラインアップ | 主な機能 | 価格帯 |
---|---|---|---|---|
Pシリーズ | プレミアム最上位 | 460L、370L | 全機能搭載 | 高価格 |
Sシリーズ | 充実機能ハイグレード | 550L、460L、430L、370L、180L | キラリユキープPLUS、バブルおそうじ | 中高価格 |
Vシリーズ | シンプルベーシック | 460L、370L、300L、180L | 基本機能重視 | 低価格 |
Pシリーズの特徴
三菱エコキュートの最高峰シリーズで、全ての機能が搭載されています。外形寸法は角型のみの展開で、460Lと370Lの2容量をラインアップ。高圧290kPaのパワフル給湯機能により、2階の浴室でも十分な水圧を確保できます。
Sシリーズの特徴
充実機能のハイグレードシリーズとして、角型と薄型の両方で展開。キラリユキープPLUSによる除菌機能やマイクロバブルを利用したバブルおそうじ機能が特徴です。容量ラインアップが最も豊富で、180Lから550Lまで幅広いニーズに対応しています。
Vシリーズの特徴
シンプルベーシックシリーズとして、基本機能に特化したコストパフォーマンス重視の製品群。外形寸法はSシリーズと共通で、機能を絞ることで価格を抑えています。新築住宅での標準仕様として採用されることが多いシリーズです。
薄型タイプについては、SシリーズとVシリーズで展開されており、Pシリーズには薄型の設定がありません。これは、最高峰のPシリーズでは機能性を重視し、設置制約よりも性能を優先しているためです。
シリーズ選択の際は、必要な機能と設置スペース、予算のバランスを考慮することが重要です。特に不動産業においては、物件の特性と入居者層に適したシリーズ選択が資産価値向上につながります。
エコキュート設置において、単純な本体寸法だけでなく、総合的な設置環境の寸法確認が成功の鍵となります。不動産業務において見落としがちな重要ポイントを解説します。
搬入経路の寸法確認
エコキュートの搬入には、本体寸法に加えて搬入経路の確認が必須です。特に薄型タイプは幅が1,120mmあるため、門扉や通路幅が1,200mm以上必要になります。戸建住宅の場合、敷地への進入路、門扉幅、建物周りの通路すべてで搬入可能か事前確認が重要です。
基礎工事スペースの詳細寸法
三菱エコキュートの基礎工事では、架台外形寸法(1025×455mm)以上の基礎が必要ですが、実際の工事では周囲に作業スペースが必要です。
配管接続部の寸法要件
給湯配管、追いだき配管、給水配管の接続には、本体背面や側面にアクセススペースが必要です。特に薄型タイプでは、幅が広いため配管ルートの計画が重要になります。
メンテナンススペースの確保
エコキュートは定期的なメンテナンスが必要で、以下のスペース確保が推奨されます。
ヒートポンプユニットとの関係
貯湯ユニットとヒートポンプユニット間の配置も寸法計画に影響します。冷媒配管の長さ制限(一般的に15m以内)や、ヒートポンプユニットの設置スペース(周囲300mm以上)も考慮が必要です。
電気設備との寸法調整
電気配線や分電盤からの距離、アース設置位置なども設置寸法に影響します。特に既存住宅では、電気設備の配置によって最適な設置位置が制限される場合があります。
不動産取引において、これらの詳細寸法確認を怠ると、契約後に設置不可能が判明するリスクがあります。事前の現地調査では、本体寸法だけでなく、工事全体に必要な寸法要件を総合的に確認することが重要です。
また、将来の機器更新も考慮し、現在より大容量への変更可能性も検討しておくことで、物件の長期的な価値維持につながります。特に新築分譲住宅では、エコキュート設置エリアに余裕を持った設計をすることで、入居者の将来ニーズにも対応できる住宅として差別化が図れます。