
ファストン端子は、平形接続子として日本工業規格(JIS C 2809)および国際規格(IEC 60760)で統一的に規格化されている電気接続部品です。この規格は、メールタブ(オス端子)の公称幅と厚さによって明確に分類されており、建築電気工事において信頼性の高い接続を実現します。
規格における基本分類は以下の通りです。
これらの数値は、1インチ(25.4mm)に対する比率で決められており、例えば110シリーズは25.4×0.110=2.794mmとなります。この統一された規格により、異なるメーカー間でも互換性が保たれています。
各シリーズのサイズ詳細と電流容量は、建築電気工事における適切な端子選択の重要な指標となります。
110シリーズの特徴
187シリーズの特徴
250シリーズの特徴
375シリーズの特徴
建築現場では特に250シリーズが多用され、コンセント回路や照明回路での接続に重宝されています。
ファストン端子の材料選択と表面処理は、長期間の信頼性を確保する上で極めて重要な要素です。
基本材料の構成
主材料として黄銅(真鍮)とりん青銅が使用されており、それぞれ異なる特性を持ちます:
表面処理の種類と効果
表面処理により耐食性と導電性が大幅に向上します。
建築電気工事では、コスト効率と性能のバランスから、スズめっき黄銅製が最も一般的に採用されています。この組み合わせにより、UL規格やVDE規格などの国際安全基準をクリアした信頼性の高い接続が実現されます。
建築電気工事における安全性確保のため、ファストン端子には様々な絶縁仕様が設けられています。
絶縁タイプの分類
絶縁材料の特性
使用される絶縁材料には以下があります。
安全性機能の実装
Ultra-Fast シリーズなどの高機能品では、以下の安全機能が実装されています:
これらの機能により、建築電気工事における作業安全性と完成後の信頼性が大幅に向上します。
建築電気工事の現場では、標準規格を超えた独自の適用方法や工夫が数多く見られます。
配電盤内での色分け管理システム
多くの建築現場では、回路識別のためにファストン端子の絶縁カバー色を活用した独自の管理システムを構築しています。
連鎖型接続による工期短縮技術
大規模建築現場では、連鎖型ファストン端子を活用した独自の配線技術が発達しています。この手法により、従来の個別配線と比較して約30%の工期短縮が可能になります。
環境対応型端子の選択基準
近年の建築現場では、RoHS指令対応や環境負荷軽減を考慮した端子選択が重要になっています。特に以下の観点から独自の選択基準を設けている現場が増加しています:
スマートビル対応の高周波対策
IoT機器の普及に伴い、高周波ノイズ対策を施したファストン端子の需要が増加しています。銀めっき処理や特殊合金を使用した端子により、通信品質の向上を図る事例が注目されています。
これらの独自適用により、建築電気工事の品質向上と効率化が同時に実現されており、今後の標準化にも影響を与える可能性があります。
建築電気工事におけるファストン端子の技術解説資料
https://www.te.com/content/dam/te-com/documents/about-te/marketing/jpn/faston-posivite-lok.pdf
JIS規格に準拠したタブ端子の詳細仕様について
https://www.kyoshin-k.co.jp/products/daien.html