
フリーパネル型枠は、株式会社フリーパネルが製造する鋼製型枠で、基礎工事において高い信頼性と効率性を実現する製品です。基本的な寸法規格は以下の4つのシリーズに分類されています。
6尺シリーズ(長尺タイプ)
3尺シリーズ(標準タイプ)
1尺5寸シリーズ(短尺タイプ)
4尺5寸シリーズ(中間タイプ)
これらの基本寸法に加えて、中間寸法シリーズとして102(180mm〜300mm)、200-②(600mm〜850mm)、500-②(1,500mm〜1,750mm)も用意されており、様々な基礎形状に対応可能です。
型枠の厚みは通常45mm、50mm、55mm、60mmに対応しており、セパレーターとの組み合わせで基礎幅を正確に決定できます。
フリーパネル型枠の高さ寸法は、住宅基礎から商業建築まで幅広い用途に対応するため、豊富なバリエーションが用意されています。
標準高さラインナップ
さらに特注対応として、H1000mmまでの製作も可能であり、特殊な建築要件にも対応できます。高さの選定は、建築物の構造、地盤条件、法的要件を考慮して決定する必要があります。
高さ選定の実務的なポイントとして、地域の凍結深度を考慮することが重要です。寒冷地では凍結線以下まで基礎を設ける必要があり、適切な高さ選定が構造安全性に直結します。
パネル収納時の効率も考慮すべき要素で、例えばH450用パネルの場合、標準的なパネルラックで23枚まで収納可能です。現場の保管スペースと必要枚数のバランスを考慮した高さ選定が、工程管理の効率化につながります。
フリーパネル型枠の大きな特徴の一つが、現場での寸法調整を可能にする伸縮機能です。この機能により、設計寸法とのわずかな誤差や、施工中の微調整に柔軟に対応できます。
伸縮パネルの構造と機能
伸縮用パネルは、パネル本体と引き出し部分で構成されており、引き出しの入替により内枠用・直線用どちらの用途にも対応可能です。メーターサイズや芯ずれが発生した場合でも、引き出しの伸縮で簡単に寸法調整ができる画期的なシステムです。
伸縮止め金具(FS)の役割
パネル本体と引き出しの重ね部分には伸縮止め金具(FS)をセットします。FSのレバーを90度に起こすことで、ガタつきや生コンクリートの侵入を確実に防止できます。この機構により、調整後の寸法精度と施工品質を保持します。
調整可能範囲の詳細
各シリーズの調整可能範囲は以下の通りです。
この調整範囲により、設計変更や現場での微調整に迅速に対応でき、工期短縮と品質向上を同時に実現できます。
フリーパネル型枠システムでは、本体パネル以外にも多様な金具類とセパレーターが重要な役割を果たしています。これらの正確な寸法把握は、効率的な施工計画立案に不可欠です。
セパレーター寸法詳細
フリーパネル専用のセパレーターは、基礎幅決めの定番として広く使用されています。主要な仕様は以下の通りです。
セパレーターには脱枠後に折り取り可能なスリットが設けられており、仕上げ面の美観を損なわない設計となっています。
主要金具類の寸法
サポート製品寸法
新製品のサポート15φシリーズは、以下の4サイズで展開されています。
これらのサポートにより、パネルの安定性と施工精度が向上し、特に段積み施工時の品質管理が効率化されます。
実際の建築現場では、図面通りの寸法で施工することが困難な場合が多々あります。フリーパネル型枠の真価は、こうした現場での寸法調整場面で発揮されます。
段差対応の実務テクニック
ベタ基礎一体打工法では、段違調整金具の活用が重要です。段差51mm以上の場合に使用する段違調整金具は、基礎幅(W)、段差(H)、使用パネルの厚みを指定することで最適な製品を選定できます。これにより、ベース部と立ち上り部の同時施工が可能となり、工期短縮とコスト削減を実現します。
メーター寸法への対応戦略
日本の建築では尺貫法とメートル法が混在することが多く、現場での寸法調整が必要になります。フリーパネルの伸縮機能は、この問題を効果的に解決します。例えば、3,000mmの基礎に対して、300Lパネル(910mm)3枚と伸縮パネル302(664mm〜914mm)1枚を組み合わせることで、正確な寸法調整が可能です。
芯ずれ補正の実践方法
基礎の芯ずれは施工品質に直結する重要な問題です。フリーパネルシステムでは、内枠用パネルと直線用パネルの使い分けにより、芯ずれを効率的に補正できます。内枠用パネルはアングル構造となっており、内コーナーとして使用することで専用の内コーナー金具が不要となり、部材点数の削減と施工の簡素化を同時に実現します。
収納効率を考慮した寸法選定
現場での保管効率も寸法選定の重要な要素です。30坪用セットで1坪の保管スペースがあれば収納可能で、コンパクトに重ねることで2t車への積込みも可能です。この特性を活かし、現場の制約条件に応じた最適な寸法組み合わせを計画することで、工程管理の効率化が図れます。
パネルラックの活用により、パネル高さに関係なく20枚まで収納可能ですが、高さによっては収納枚数が変動することも考慮すべき点です。効率的な資材管理のためには、使用頻度と保管効率のバランスを考慮した寸法選定が重要となります。