
住宅用フロアコンセントの開口寸法は、設置する製品タイプによって明確に規定されています。パナソニックのF型アップコン住宅用では、丸型がΦ83~87mm、角型が□87~90mm(角部Φ16mm)となっており、これが業界標準として広く採用されています。
住宅用フロアコンセントの主要開口寸法
取付可能床材厚みは12~45mmと幅広く対応しており、フローリングからタイルまで様々な床材に施工可能です。ただし、床暖房が施されている場合は熱源から50mm以上離して施工する必要があり、これは製品の耐熱性能と安全性を確保するための重要な規定です。
住宅用では使用周囲温度が-10℃~+40℃に設定されており、一般的な住環境での使用に最適化されています。プレート仕上がり高さは丸型3.7mm、角型1.5mmと薄型設計により、床面からの突出を最小限に抑えています。
業務用フロアコンセントは主にOAフロア環境での使用を想定しており、支柱タイプと置敷きタイプで異なる開口寸法が規定されています。インナーコンセントスクエアでは□85~93mmの開口寸法で、フロアパネルの強度低下を防ぐため補強の検討が必要な場合があります。
業務用フロアコンセントの開口寸法一覧
支柱タイプOAフロアでは、パネル開口部の精度が施工品質に直結するため、±2mm以内の精度での開口が求められます。特にフロアパネルをカットする際は、パネル強度の低下を避けるため、各フロアメーカーとの適合確認が不可欠です。
業務用では電力2個+弱電用モジュラ最大3個の取り出しが可能で、オフィス環境での多様な電源・通信ニーズに対応しています。タイルカーペット厚み6.5mmを含む床仕上げ高さの計算も重要な設計要素となります。
フロアコンセントの取付工事では、開口寸法の精度確保が最も重要な作業となります。開口寸法の誤差は製品の固定強度に直接影響し、ぐらつきや脱落の原因となるため、図面通りの正確な施工が求められます。
施工時の重要チェックポイント
取付ねじの締付トルクも重要な管理項目で、締めすぎると床材の破損、緩すぎると固定不良を招きます。特に石膏ボードなどネジの効かない箇所への直付施工は製品脱落の危険があるため、適切な下地補強が必要です。
フリーアクセスフロアでは、パネル裏面の形状がディンプル形状またはリブ形状の場合、取付プレート(NE64988)の使用が指定されており、これを省略すると十分な取付強度を確保できません。
床用コンセントは専用仕様のため交換ができない製品も多く、初期選定と施工精度が長期的な使用性能を左右します。施工後のぐらつき発見時は、即座にドライバーで取付ねじを締め直す必要があります。
主要メーカーのフロアコンセント開口寸法には微細な差異があり、異なるメーカー製品の互換性は基本的にありません。パナソニック、神保電器、その他メーカーの規格を正確に把握することで、設計変更や製品変更時のトラブルを回避できます。
メーカー別開口寸法比較表
メーカー | 製品タイプ | 開口寸法 | 特徴 |
---|---|---|---|
パナソニック | F型アップコン丸型 | Φ83~87mm | 住宅用標準規格 |
パナソニック | F型アップコン角型 | □87~90mm | 角部Φ16mm仕様 |
パナソニック | OAフロア用 | Φ80~90mm | 業務用対応 |
神保電器 | HTLコンセント | 45+1/-0mm | ホテル仕様 |
神保電器 | HTLコンセント | 50+3/-0mm | 厚壁対応 |
パナソニック製品は住宅用から業務用まで幅広いラインアップを持ち、開口寸法の許容範囲も比較的広く設定されています。一方、神保電器のHTLコンセントは厳格な公差管理により、より精密な施工が要求されます。
メーカー純正の取付プレートや専用金具の使用も重要で、他社製品との組み合わせは保証対象外となる場合があります。特にOAフロア環境では、フロアメーカーとコンセントメーカーの適合表確認が必須です。
製品選定時は将来のメンテナンス性も考慮し、交換可能な部品構成を持つ製品を選択することで、ライフサイクルコストの削減につながります。
設計段階でのフロアコンセント開口寸法検討は、建物全体の電気設備計画と密接に関連します。単純に製品仕様を満たすだけでなく、建物用途、使用者のニーズ、将来の変更可能性を総合的に判断する必要があります。
設計時の重要検討項目
住宅では生活スタイルの変化に対応できる配置計画が重要で、ダイニングテーブルやソファ配置の変更可能性を考慮した位置選定が求められます。業務用では組織変更によるレイアウト変更頻度が高いため、フレキシブルな電源供給システムとしての役割も期待されます。
意外に見落とされがちなのが、清掃・メンテナンス時のアクセス性です。床用コンセントは塵埃の侵入や水拭き清掃時の水分侵入リスクがあり、IP規格や防塵性能も選定基準に含める必要があります。
構造設計との連携では、床開口による構造性能への影響評価も重要です。特に木造住宅では床梁の欠損扱いとなる場合があり、構造計算への反映が必要になることもあります。
設計図書への明記事項として、開口寸法だけでなく取付高さ、床仕上げ材との取り合い詳細、電気配線経路も併記することで、施工時のトラブル防止につながります。BIM環境では3Dモデルでの干渉チェックにより、設計段階での問題発見が可能になっています。