外壁塗装の1液と2液の違いと塗料の種類とメリット、デメリットを解説

外壁塗装の1液と2液の違いと塗料の種類とメリット、デメリットを解説

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外壁塗装の1液と2液の違いと塗料の種類とメリット、デメリット

外壁塗装の1液型と2液型の基本
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1液型塗料

塗料と硬化剤が1つの缶に既に混合されており、そのまま使用できる手軽さが特徴です。

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2液型塗料

主剤と硬化剤が別々の缶に入っており、使用直前に混合して使う塗料です。

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選び方のポイント

耐久性、価格、施工性、塗装箇所の素材などを考慮して最適な塗料を選びましょう。

外壁塗装の1液型塗料とは?特徴と適用範囲

1液型塗料は、その名の通り1つの缶に塗料と硬化剤があらかじめ混合されている塗料です。開缶後、希釈剤(水または溶剤)を加えて撹拌するだけで使用できるため、取り扱いが簡単という大きな特徴があります。

 

1液型塗料の主な特徴は以下の通りです。

  • 構造: 塗料缶を開けて希釈・撹拌するだけで使用可能
  • 硬化方法: 水やシンナーなどの溶剤が自然乾燥により蒸発することで硬化
  • 適用下地: コンクリート、セメントモルタル、サイディングボード、各種旧塗膜など

1液型塗料は、かつては2液型に比べて性能が劣るとされていましたが、近年の技術革新により性能が大幅に向上しています。特に日本ペイントのパーフェクトトップなどは、下塗りにサビ止めを使用すれば金属部にも問題なく塗装できるようになりました。

 

塗膜形成の仕組みとしては、1液型塗料は樹脂同士がくっついたり絡まったりして塗膜を形成します。このため、溶剤が蒸発して乾燥することで塗膜が形成される仕組みとなっています。

 

外壁塗装の2液型塗料の特徴と化学反応のメカニズム

2液型塗料は、主剤(A液)と硬化剤(B液)が別々の缶に入っており、使用する直前に両者を混合して使用する塗料です。この混合によって化学反応が起こり、強固な塗膜を形成するのが特徴です。

 

2液型塗料の主な特徴は以下の通りです。

  • 構造: 主剤(A液)と硬化剤(B液)が別々の缶に入っている
  • 硬化方法: 主剤と硬化剤の化学反応による架橋構造の形成
  • 適用下地: 金属部を含む多様な素材に対応可能

2液型塗料の最大の特徴は、主剤と硬化剤が架橋という化学反応を起こし、3次元の網目のような塗膜を形成することです。この化学反応によって生まれる塗膜は非常に強固で、高い耐久性を持ちます。

 

混合比率は塗料によって異なりますが、正確な配合比率を守ることが重要です。配合比率が正確でないと、塗膜の性能が十分に発揮されない可能性があります。また、混合後は化学反応が始まるため、一定時間内(通常は数時間以内)に使い切る必要があります。

 

2液型塗料は特に金属部分や特殊な素材への塗装に適しており、ALCパネルやスレート板などにも使用できます。

 

外壁塗装の1液型と2液型のメリットとデメリットを比較

外壁塗装を検討する際、1液型と2液型それぞれのメリットとデメリットを理解することが重要です。以下に両者を比較した表を示します。

 

項目 1液型 2液型
価格 比較的安価 比較的高価
耐久性 2液型より2〜3年短い 1液型より2〜3年長い
作業性 混合不要で簡単 混合作業が必要
保存性 開封後の保存期間が短い 混合前なら長期保存可能
使い切り 余った塗料は翌日も使用可能 混合後は当日中に使い切る必要あり
適用範囲 一部の素材に限定 多様な素材に対応可能

1液型のメリット

  • 硬化剤を混ぜる手間がなく、誰でも一定の品質で施工可能
  • 価格が比較的安い(2液型より1割程度安価)
  • 硬化速度が遅いため、余った塗料を翌日に使用可能
  • 作業時間に余裕があり、塗りムラになりにくい

1液型のデメリット

  • 2液型に比べて密着性が弱く、塗膜が固くなりにくい
  • 耐久性が2液型より2〜3年程度短い
  • 使用可能な下地が限られる場合がある
  • 長期保管には向かない(硬化剤が既に配合されているため)

2液型のメリット

  • 強固な塗膜を形成し、高い耐久性を持つ
  • 紫外線や雨風に対する耐性が高い
  • 多様な素材(金属部分を含む)に塗装可能
  • 混合前であれば長期保存が可能

2液型のデメリット

  • 主剤と硬化剤の混合作業が必要
  • 混合比率の正確さが求められる
  • 混合後は化学反応が始まるため、当日中に使い切る必要がある
  • 価格が1液型より高い

耐久性の観点では、同じグレードの塗料であれば2液型の方が1液型より2〜3年程度長持ちする傾向にあります。ただし、近年の技術革新により1液型の性能も向上しており、その差は以前ほど大きくなくなってきています。

 

外壁塗装の塗料種類別の特徴と選び方のポイント

外壁塗装に使用される塗料は、樹脂の種類によっても分類されます。主な塗料の種類とその特徴を理解することで、より適切な塗料選びができます。

 

主な塗料の種類と特徴

塗料の種類 耐用年数 価格 特徴
アクリル塗料 3〜5年 安価 光沢があるが耐久性が低い
ウレタン塗料 5〜7年 やや安価 伸びが良く、独特の光沢がある
シリコン塗料 7〜10年 中程度 価格と耐久性のバランスが良い
フッ素塗料 15〜20年 高価 優れた耐候性と耐久性を持つ
無機塗料 15〜20年 非常に高価 最高レベルの耐久性を持つ

外壁材との相性
外壁材によって相性の良い塗料の性質が異なります。以下は外壁材別の相性の良い塗料の特徴です。

  • モルタル: 弾性の高い塗料が適している
  • 窯業系サイディング: 透湿性の高い塗料が適している
  • 金属サイディング: 防錆効果のある下塗り材・断熱塗料が適している
  • ALC: 透湿性の高い塗料が適している
  • 難付着サイディング: 専用の下塗り塗料が必要

塗料選びのポイントとしては、建物の立地環境や予算、期待する耐用年数などを総合的に考慮することが重要です。例えば、海岸沿いなど塩害の影響を受ける環境では、耐候性の高いフッ素塗料や無機塗料が適しています。

 

また、最近では遮熱性や断熱性、防カビ・防藻性能など、様々な機能を持った塗料も開発されています。生活環境や住まいの状況に合わせて、これらの機能性も選択基準に入れると良いでしょう。

 

外壁塗装の1液と2液に関する誤解と最新の技術動向

外壁塗装の1液型と2液型に関しては、古い情報がそのまま広まり、誤解を招いているケースが少なくありません。ここでは、よくある誤解と最新の技術動向について解説します。

 

よくある誤解

  1. 「2液型の方が常に優れている」という誤解

    かつては2液型の方が性能面で優れていましたが、現在では塗料メーカーの研究開発により1液型の性能も大幅に向上しています。単純に「2液型の方が良い」とは言えなくなっています。

     

  2. 「1液型は金属部に塗装できない」という誤解

    1液型は下地への密着性が2液型より劣るため、金属部には適さないと言われることがありますが、これは全ての1液型に当てはまるわけではありません。サビ止め塗料を下塗りとして使用すれば、多くの1液型塗料は金属部にも問題なく塗装できます。

     

  3. 「1液型は耐候性が低い」という誤解

    耐候性(紫外線や雨風による劣化のしにくさ)については、同じグレードの塗料であれば1液型と2液型で大きな差はないというのが最新の見解です。塗膜の強度(耐熱性や耐溶剤性)には差がありますが、一般的な住宅の外壁塗装においてはそれほど問題になることはありません。

     

最新の技術動向

  1. 1液型の性能向上

    メーカー各社の研究開発により、1液型塗料の性能は格段に向上しています。特に日本ペイントやエスケー化研などの1液型塗料は、以前の2液型に匹敵する性能を持つようになっています。

     

  2. ラジカル制御技術

    最新の1液型塗料の多くは「ラジカル制御技術」を採用しています。ラジカルとは塗料の顔料が紫外線などと反応し、樹脂の結合を破壊する現象ですが、これを制御することで塗膜の耐久性を大幅に向上させています。

     

  3. 環境配慮型塗料の普及

    VOC(揮発性有機化合物)の排出量が少ない水性塗料や弱溶剤塗料の開発が進んでいます。これらは臭いが少なく、環境にも優しいという特徴があります。

     

  4. 1液型での架橋構造の実現

    一部の1液弱溶剤塗料では、従来2液型の特徴だった架橋構造を実現しているものもあります。これにより、1液型でありながら高い耐久性を持つ塗料が登場しています。

     

塗料選びにおいては、古い情報や一般論に惑わされず、最新の技術動向を踏まえた上で、建物の状態や環境、予算などを総合的に考慮することが重要です。また、信頼できる塗装業者に相談し、適切なアドバイスを受けることも大切です。

 

外壁塗装の1液と2液の選び方と実際の施工ポイント

外壁塗装において1液型と2液型のどちらを選ぶべきか、また実際の施工における重要なポイントについて解説します。

 

選び方のポイント

  1. 建物の状態と環境を考慮する
    • 海岸沿いや工業地帯など過酷な環境では、耐候性の高い塗料を選ぶ
    • 築年数や外壁の劣化状態に応じて適切な塗料を選定する
  2. 塗装箇所の素材を確認する
    • 金属部分が多い場合は、2液型または金属対応の1液型を選ぶ
    • モルタルやサイディングなど、素材に適した塗料を選ぶ
  3. 予算と耐用年数のバランスを考える
    • 初期コストだけでなく、耐用年数を考慮したトータルコストで判断する
    • 長期的に見れば、耐久性の高い塗料の方がコスト効率が良い場合も
  4. 塗料のグレードを優先する
    • 1液型か2液型かよりも、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などの塗料グレードの選択が重要
    • 同じグレードであれば、用途や状況に応じて1液型と2液型を選ぶ

施工時のポイント

  1. 1液型塗料の施工ポイント
    • 開缶後はなるべく早く使用する(長期保存には向かない)
    • 適切な希釈率を守り、均一に撹拌する
    • 気温や湿度に応じて乾燥時間を調整する
  2. 2液型塗料の施工ポイント
    • 主剤と硬化剤の正確な配合比率を守る
    • 混合後は可使時間内(通常数時間以内)に使い切る
    • 夏場は気温が高いため、硬化が早まることに注意
  3. 共通の施工ポイント
    • 適切な下地処理(洗浄、補修、下塗り)を行う
    • 気象条件(気温、湿度、風速)に注意して施工する
    • 塗り重ね間隔を守る

実際の選択例

  • 一般的な住宅の外壁全体: コストパフォーマンスを重視するならシリコン系の1液型、耐久性を重視するならシリコン系の2液型
  • 海岸沿いの住宅: 塩害対策としてフッ素系の2液型が適している
  • 金属部分が多い建物: 2液型または金属対応の1液型と専用の下塗り材を使用
  • 築浅の住宅のメンテナンス: 状態が良ければシリコン系の1液型でも十分