

現場でよく混乱するのが、「ハンドリフトは押すのが正しいのか、引くのが正しいのか」という点です。一般的な解説では、ハンドリフトは前へ押すとハンドルが取られて真っ直ぐ進みにくく、基本は手前に引いて運搬する、とされることが多いです。
一方で、「押す」が常に悪いわけではありません。たとえば通路の見通しが悪い、交差動線がある、荷で前が見えにくい、といった状況では“前方を見ながら操作できる向き”を優先し、結果として押し操作が安全側になる場面が出ます(少なくとも台車系では「前が見えるよう後方から押す」考え方が安全マニュアルに明記されます)。
結論としては、押す/引くを二択で覚えるより、次の判断軸で決めるのが実務的です。
「最後に押して位置決めする」という整理も有効で、引いて運搬→止める→押して寄せる、という流れは複数の手順解説で採用されています。
押す・引く以前に、レバー(コントロールレバー)の位置が運搬に適していないと、操作感が重くなったり、意図せず上昇・下降が起きたりします。取扱説明書では、ハンドルレバーを中間位置(中立)にして車体を押引し、上昇はハンドル上下操作、下降はレバー操作(握り加減で速度調整)という基本が示されています。
また、説明書の「故障対策」には「中立がない=ポンプ調整不良」などの記載があり、ニュートラルが不安定だと運搬そのものが危険側に寄ります。
現場でありがちな“押すとガクッと沈む/勝手に下がる”の原因は、操作手順より前に「レバーが運搬(中立)になっていない」「中立調整が狂っている」可能性があります。
押し操作をするなら、次のチェックを習慣にすると事故率が下がります。
ハンドリフトは免許不要で扱いやすい反面、油断すると「手指挟み」「逸走(勝手に動く)」「床損傷」「荷崩れ」などにつながる、という注意喚起があります。
また、荷役作業全体では、パレットや台車に関連した転倒・転落の災害事例が公的サイトで公開されており、「傾斜」「渡り板」「荷台端」など条件が重なると、支えるつもりで巻き込まれるリスクが上がります。
押す操作は、体の前に機材が来るため「視界は確保しやすい」一方で、加速が乗ると止めにくく、つま先・すね・壁際に挟まれる危険が増えます(特に傾斜や段差の入口)。
現場での再発防止は、道具の安全装置だけでなく、運用のルール化が効きます。
「押すとまっすぐ進まない」は、経験者ほど一度は悩むポイントで、複数の解説で“押すとハンドルが左右に取られる”と説明されています。
対処はテクニックだけでなく、条件整理が近道です。押して蛇行する場合、原因はだいたい「床の抵抗差」「旋回輪の向き」「荷重の偏り」「フォークの差し込み不足」に寄っています。
すぐ効く実務的なコツは次の通りです。
意外と見落とされるのが「中立がない=調整不良」という点で、押し引きの違和感が続くなら、技量より機体の調整・整備の問題として扱うのが安全です。
検索上位の多くは操作手順(差し込む→上げる→移動→下ろす)に集中しがちですが、実際に事故を減らすのは「合図」と「通路条件」の整備です。
特に建築・改修現場だと、床が荒れている、仮設材が飛び出す、養生ベニヤの段差があるなど、“押すほど危険が増える路面条件”が混在します。こうした環境では、押す/引く以前に「止まれる距離を確保できる通路か」「逃げ場があるか」を先に確認し、無理なら二人作業(先行誘導)に切り替える方が合理的です(重量物は二人で押す、など人数配分の考え方は荷役ガイドラインにも見られます)。
また、台車系の安全マニュアルでは「前が見えるよう後方から押す」「手順を作って徹底」といった“運用ルール化”が対策として明記されています。
現場でそのまま使えるルール例を置きます。
公的ガイドライン(ロールボックスパレットの安全対策だが、「押して前方視界を確保する」「手順徹底」など考え方が参考になる)
https://jashcon.or.jp/oshirase/h30rbpmanual.pdf
取扱説明書(運搬はレバー中間で押引、下降速度は握り加減で調整、ニュートラル不良の調整など機体側の重要ポイントが載っている)
https://www.kolec.co.jp/html/template/kolec/img/pdf/torisetsu_hanpare.pdf