荷崩れトラックの原因と防止対策

荷崩れトラックの原因と防止対策

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荷崩れトラックの発生原因と対策

トラック荷崩れの主要ポイント
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発生原因

過積載・偏荷重による重心の不安定化と急ブレーキや急カーブでの衝撃が主な原因

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防止対策

レンガ積みなどの安定した積み方、ラッシングベルトによる確実な固定、急操作を避けた運転

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損害リスク

労働災害では2億5000万円の賠償事例もあり、荷物損傷では1億円超の請求も発生

トラック荷崩れとは何か

 

トラック荷崩れとは、輸送中の振動や遠心力によって積載された荷物が不安定になり、バランスを崩して崩れてしまう現象を指します。荷崩れが発生すると、積み荷の破損だけでなく、後続車や対向車との衝突事故につながる重大なリスクが生じます。物流業界では荷崩れによる労働災害が約7割を占め、そのうち約7割が荷主企業の事業場内で発生しているという深刻な状況があります。
参考)https://ai-market.jp/industry/cargo-collapse/

トラックは走行中に常に震度4以上に相当する揺れや衝撃を受けており、道路の凹凸やカーブ、ブレーキなどの影響で積まれた荷物が揺れ動きます。この揺れが積み重なると荷物が崩れてしまい、運送業務に深刻な影響を及ぼします。特に高速道路やカーブでの荷崩れは、後続車への衝突事故につながる可能性が高く、ドライバーは十分な注意が必要です。
参考)https://shifton.kpp-gr.com/media/packaging/a213

トラック荷崩れの主な原因

荷崩れの主な原因は、積み方・固定の不備と走行時の衝撃に大別されます。積載時の問題としては、過積載(トラックの許容量を超える荷物の積載)と偏荷重(荷重が一部に偏ること)が代表的です。過積載によりトラックの荷重バランスが崩れると、走行中に車体が左右どちらかに傾きやすくなり、特にカーブや交差点では遠心力が加わるため不安定になります。
参考)https://shima-corp.com/labo/truck/truck-cargo-collapse

荷物の固定不足も重大な原因となります。ロープやバーで適切に固縛していない場合、ブレーキやカーブ時の遠心力で荷物全体が移動し積み崩れを起こします。また、荷物同士の間に隙間が空いた状態で積むと、走行中の揺れで荷物同士が動き、衝撃で崩れてしまうリスクが高まります。梱包の不備も見逃せない要因で、緩衝材不足により荷物同士がぶつかると損傷だけでなく積荷全体が崩れることもあります。​

トラック荷崩れ防止の積み方

荷崩れを防ぐための積み方として、最も推奨されるのが「レンガ積み」です。レンガ積みは、一段ごとにダンボールの向きを縦横交互に変えて積む方法で、各段で180度向きを変えるため荷重のバランスが取れて荷崩れしにくいのが特徴です。あらゆる角度から荷物が見えるため検品作業もしやすく、特に長方形のパレットやカゴ車の場合に効果的です。
参考)https://dx.j-scube.com/blog/36

積み方の基本原則として、重い荷物はトラックの底部に積み、軽い荷物を上に積むことで重心を低く保ちます。荷物の前後左右に空間ができる場合は止め木を使って空間を埋め、一段ずつ段の高さをそろえると上の段が滑りにくく崩れにくくなります。過積載と偏荷重を避けることも重要で、どちらも荷台のバランスが崩れやすくなり荷崩れを起こすリスクを高めます。
参考)https://www.sanwalogi.com/4022/

トラック荷崩れ防止の固定方法

確実な固定には、ラッシングベルトや荷崩れ防止ベルトの適切な使用が不可欠です。ラチェット式ラッシングベルトは、ハンドルを往復させることでベルトを巻き取り、少ない力で強力に固定できる仕組みになっています。使用時は、まずベルトをバックルに通してトラック荷台のラッシングポイントに引っかけ、ハンドルを数回往復させて適度な張力を持たせます。締めすぎると荷物やベルトが損傷する可能性があるため、手の力で締めた後にハンドルを3回程度動かすのが目安です。
参考)https://www.yoro-store.com/blogs/useful/prevent-trucks-from-collapsing

滑り止めシートやマットの活用も効果的な防止策です。グリップシートなどの荷崩れ防止シートは、100%再生紙に独自の滑り止め効果のあるポリエチレンの表面加工を施しており、荷物の下に敷くだけで高い滑り止め効果を発揮します。紙製品、プラスチック製品、ガラス製品、金属製品など様々な素材に対応し、ストレッチフィルムやバンドでの結束と組み合わせることでより荷物を安定させられます。
参考)https://tape-omakase-navi.com/column/post-762/

トラック運転時の荷崩れ防止策

運転方法の改善による衝撃低減が荷崩れ防止に重要です。ポイントは「急」の付く操作をしないことで、急発進・急ブレーキ・急ハンドルなど唐突な操作は荷崩れの大きな原因となるため厳禁です。カーブではスピードを落として丁寧に走行し、前の車との車間距離に十分余裕を持って走ることで急ブレーキの発生自体を防ぎます。
参考)https://www.udtrucks.com/japan/news-and-stories/insights/cargo-shifting

ドライブレコーダや衝撃計測器を活用して急ブレーキを可視化する取り組みも効果的です。運行管理者や荷主も協力して安全運転教育や衝撃データの活用を行えば、現場全体で荷崩れ防止意識を高める効果が期待できます。日頃から過積載や偏荷重を避ける積み方を徹底し、荷物に過度な負荷がかからない運行計画と安全運転を心掛けることが、長距離輸送における荷崩れ防止の基本となります。​

トラック荷崩れによる損害賠償事例

荷崩れによる労働災害では、極めて高額な損害賠償が発生するケースがあります。建設現場でクレーン付きトラックの荷重オーバーにより荷が崩れて作業員が下敷きになった事例では、2億5000万円もの損害賠償請求を受けました。この事例では自社の従業員が被災したため、自動車保険の対人賠償保険は同僚災害免責により適用されず、労災訴訟となり10回以上の弁論を重ねて解決までに5年近くの月日を要しました。
参考)https://hokenpoint.jp/news/employee/p2060/

積荷の損傷による損害賠償も高額になる場合があります。おむつ製造機械2台を積載したトレーラーが追突され機械が全損となった事例では、1億円を超える損害賠償が認められました(大阪地裁判決平成23年12月7日)。裁判では「トレーラーやトラックの積載物が1億円を超えるような超高額品であることもあり得る」「損害が一般人の社会通念から通常予見できないものではない」と判断され、高額請求が認められました。これらの事例は、適切な荷崩れ防止対策の重要性を示しています。
参考)https://ps-jiko.jp/faq/property/property-3

参考リンク(国土交通省の安全輸送に関する積付け・固縛方法の詳細)
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/houkoku/truck_201610.pdf
参考リンク(厚生労働省による荷役作業時の労働災害防止ガイドライン)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/0909-1a.pdf