
角鋼規格は、形状によって等辺角鋼と不等辺角鋼の2つに大別されます。等辺角鋼は両辺の長さが等しいL字型の鋼材で、不等辺角鋼は両辺の長さが異なる形状です。
規格の表示方法は、以下の形式で統一されています。
例えば「30×30×3」と表示される場合、辺長30mm、板厚3mmの等辺角鋼を意味します。この表示方法は日本工業規格(JIS)やCNS規格で統一されており、設計図面や発注書類で広く使用されています。
興味深いことに、角鋼の歴史は1930年代のオーストラリアに遡ります。エンジニアのデミトリ・コミノ(Demetrius Comino)がロンドンで発明した角鋼は、当初「Dexion」という商品名で知られ、現在でもその名前が角鋼の代名詞として使われることがあります。
国内では長らく「万能角鋼」と呼ばれる多孔型が主流でしたが、現在では免螺絲角鋼(組み立て式角鋼)が主流となっています。
角鋼の材質選択は、使用環境と要求性能によって決定されます。主要な材質は以下の通りです。
炭素鋼角鋼(SPHC)
ステンレス角鋼(SUS304)
亜鉛メッキ角鋼
アルミ合金角鋼
材質選択の判断基準として、コストパフォーマンスを重視する場合は炭素鋼、腐食環境での使用にはステンレスまたは亜鉛メッキ品を選択するのが一般的です。
角鋼の寸法規格は、JIS G 3192で詳細に定められています。一般的な等辺角鋼の規格は以下の通りです。
小型角鋼(辺長50mm以下)
中型角鋼(辺長50-125mm)
大型角鋼(辺長125mm以上)
重量計算式は以下の通りです。
重量(kg/m)= 断面積(cm²)× 7.85(鋼の比重)
不等辺角鋼の場合、代表的な規格には75×100×7mm(重量9.32kg/m)や90×150×9mm(重量16.4kg/m)があります。
長さ規格は通常6m、8m、9m、10m、12mが標準で、特注により異なる長さも対応可能です。
角鋼の用途別選定では、荷重条件と使用環境を考慮した規格選択が重要です。
建築構造用途
工業設備・機械フレーム
収納・棚システム
橋梁・インフラ
選定時の重要なポイントは、安全率を考慮した荷重計算です。一般的に設計荷重の2-3倍の安全率を設定し、疲労限度や座屈荷重も検討する必要があります。
角鋼の品質管理は、製造工程から最終検査まで厳格な基準が設けられています。JIS規格では、化学成分、機械的性質、寸法許容差について詳細に規定されています。
化学成分の管理
機械的性質の検査
寸法精度の管理
近年の品質向上の取り組みとして、レーザー計測による全数検査や、AIを活用した表面欠陥検出システムの導入が進んでいます。これにより、従来の抜き取り検査では発見困難だった微細な欠陥も検出可能となり、品質の向上と安定供給が実現されています。
また、環境負荷軽減の観点から、リサイクル材の使用率向上や省エネルギー製造プロセスの導入も進んでおり、2030年までにCO2排出量30%削減を目標とする製鉄会社が増加しています。
これらの技術革新により、角鋼規格の信頼性はさらに向上し、設計者はより安心して材料選定を行えるようになっています。適切な規格選択により、安全で経済的な構造物の実現が可能となります。