
ステンレス金網の規格は、建築・工業分野で重要な役割を果たしています。規格は主に線径、メッシュ数、目開きサイズ、空間率によって定められており、用途に応じた適切な選択が求められます。
日本工業規格(JIS)に基づき、ステンレス金網は厳格な品質基準で製造されています。一般的にSUS304を基本材質として使用し、耐食性や強度が要求される用途ではSUS316やSUS316Lが採用されます。
規格表記では、以下の要素が重要な指標となります。
これらの数値は相互に関連しており、一つの値が変わると他の値も変動します。
平織金網は最も基本的な織り方で、縦線と横線が1本ずつ交互に交差する構造です。この織り方により、均一な網目と安定した強度を実現しています。
平織金網の主な特徴。
規格表では、2メッシュから200メッシュまでの幅広い仕様が用意されており、線径は0.47mm~2.0mmの範囲で選択可能です。空間率は27.8%~79.5%と用途に応じて選択できます。
建築分野では、防虫網、濾過用途、補強材として多く使用されています。特に厨房設備や食品工場では、衛生面でのメリットから平織ステンレス金網が重宝されています。
綾織金網は、縦線と横線が2本以上ずつ乗り越し交差する織り方で、平織よりも高い強度と細かい網目を実現できる特殊な構造です。
綾織金網の技術的優位性。
規格では線径0.02mm~0.04mmの極細線を使用し、目開きは0.020mm~0.062mmという微細な仕様を実現しています。これにより空間率16.76%~36.76%という高精度な濾過性能を発揮します。
意外な特徴として、綾織金網は振動吸収効果も持ちます。複雑な織り構造が微細な振動を減衰させるため、精密機器の保護材として採用されるケースもあります。
産業用途では、半導体製造、化学プラント、医薬品製造における高精度濾過に不可欠な存在となっています。
ステンレス金網で使用される材質には、それぞれ独特の性能特性があります。規格上も材質記号により明確に区分されており、用途に応じた選択が重要です。
SUS304(標準材質)。
SUS316(耐食強化材質)。
SUS316L(低炭素材質)。
特殊用途向けにはSUS310S、SUS317なども使用されます。SUS310Sは1000℃までの耐熱性を持ち、工業炉の保護材として採用されています。
材質選択の判断基準。
メッシュ数の選定は、用途と要求性能のバランスを考慮した技術的判断が必要です。規格表から最適な仕様を選択するための実践的なアプローチを解説します。
用途別推奨メッシュ範囲。
計算による選定方法。
通過させたい最小粒径を d(mm) とした場合、
必要メッシュ数 ≒ 25.4 / (d × 1.2)
この1.2の係数は安全率で、実際の目開きと理論値の差を考慮しています。
コスト効率を考慮した選定では、必要最小限のメッシュ数を選択することが重要です。過度に細かいメッシュは製造コストが指数関数的に増加するため、要求仕様ぎりぎりの選択が経済的です。
意外な落とし穴として、空間率の見落としがあります。同じメッシュ数でも線径により空間率が大きく変わるため、通気性や透水性が重要な用途では空間率も確認が必要です。
ステンレス金網の品質管理は、JIS規格に基づく厳格な検査体系で実施されています。製造段階から出荷まで、複数の検査項目で品質を保証しています。
必須検査項目。
品質保証書類。
高精度用途では、**統計的品質管理(SQC)**による工程管理も実施されます。特に医薬品・食品分野では、HACCP対応の衛生管理体制も要求されます。
検査基準の意外な盲点として、経年変化があります。ステンレスでも長期使用により微細な腐食や変形が発生するため、定期的な交換・点検が推奨されています。特に屋外使用では年1回、屋内でも3年に1回の点検が望ましいとされています。
受入検査時のチェックポイント。
この品質管理体制により、日本のステンレス金網は国際的にも高い評価を得ており、輸出実績も年々増加しています。