金網ステンレス規格の選び方と種類

金網ステンレス規格の選び方と種類

記事内に広告を含む場合があります。

金網ステンレス規格の基本

ステンレス金網規格の概要
🔧
規格の分類

平織・綾織・溶接金網の3種類が主流で、用途により選択

📏
メッシュ表示

線径・目開き・空間率で規格を表現

材質記号

SUS304・SUS316・SUS316Lが代表的

ステンレス金網の規格は、建築・工業分野で重要な役割を果たしています。規格は主に線径メッシュ数目開きサイズ空間率によって定められており、用途に応じた適切な選択が求められます。
日本工業規格(JIS)に基づき、ステンレス金網は厳格な品質基準で製造されています。一般的にSUS304を基本材質として使用し、耐食性や強度が要求される用途ではSUS316やSUS316Lが採用されます。
規格表記では、以下の要素が重要な指標となります。

  • メッシュ数: 1インチあたりの目の数
  • 線径: 金網を構成する線の太さ(mm)
  • 目開き: 網目の開口部の大きさ(mm)
  • 空間率: 全体に占める開口部の割合(%)
  • 質量: 1㎡あたりの重量(kg/㎡)

これらの数値は相互に関連しており、一つの値が変わると他の値も変動します。

金網ステンレス規格における平織の特徴

平織金網は最も基本的な織り方で、縦線と横線が1本ずつ交互に交差する構造です。この織り方により、均一な網目安定した強度を実現しています。
平織金網の主な特徴。

  • 製造コストが安価: 織り方がシンプルなため大量生産に適している
  • 開口率が高い: 通気性・透水性に優れている
  • メンテナンスが容易: 汚れやゴミの除去が簡単
  • 加工性が良好: カットや曲げ加工に適している

規格表では、2メッシュから200メッシュまでの幅広い仕様が用意されており、線径は0.47mm~2.0mmの範囲で選択可能です。空間率は27.8%~79.5%と用途に応じて選択できます。
建築分野では、防虫網濾過用途補強材として多く使用されています。特に厨房設備や食品工場では、衛生面でのメリットから平織ステンレス金網が重宝されています。

金網ステンレス規格における綾織の優位性

綾織金網は、縦線と横線が2本以上ずつ乗り越し交差する織り方で、平織よりも高い強度細かい網目を実現できる特殊な構造です。
綾織金網の技術的優位性。

  • 高強度設計: 同じメッシュ数でも平織より強度が20-30%向上
  • 微細メッシュ対応: 250メッシュ~795メッシュまで製造可能
  • 耐久性向上: 線材の交差点が多く、局所的な負荷を分散
  • 精密濾過: 極小粒子の分離・捕集に最適

規格では線径0.02mm~0.04mmの極細線を使用し、目開きは0.020mm~0.062mmという微細な仕様を実現しています。これにより空間率16.76%~36.76%という高精度な濾過性能を発揮します。
意外な特徴として、綾織金網は振動吸収効果も持ちます。複雑な織り構造が微細な振動を減衰させるため、精密機器の保護材として採用されるケースもあります。

 

産業用途では、半導体製造化学プラント医薬品製造における高精度濾過に不可欠な存在となっています。

 

金網ステンレス規格の材質による性能差異

ステンレス金網で使用される材質には、それぞれ独特の性能特性があります。規格上も材質記号により明確に区分されており、用途に応じた選択が重要です。
SUS304(標準材質)

  • 一般環境での耐食性に優れる
  • 加工性・溶接性が良好
  • コストパフォーマンスが最も優秀
  • 建築用途の約80%で採用

SUS316(耐食強化材質)

  • 塩化物環境での耐食性が向上
  • モリブデン添加により耐孔食性を強化
  • 海岸地域や化学工場で使用
  • SUS304比で約1.5倍のコスト

SUS316L(低炭素材質)

  • 溶接部の耐粒界腐食性が優秀
  • 医薬品・食品分野で採用
  • 高温環境での耐久性が向上
  • 最高級グレードでコストも最大

特殊用途向けにはSUS310SSUS317なども使用されます。SUS310Sは1000℃までの耐熱性を持ち、工業炉の保護材として採用されています。
材質選択の判断基準。

  • 一般建築: SUS304で十分
  • 沿岸部: SUS316を推奨
  • 食品関連: SUS316L指定
  • 高温環境: SUS310S必須

金網ステンレス規格におけるメッシュ数の実用的選定法

メッシュ数の選定は、用途と要求性能のバランスを考慮した技術的判断が必要です。規格表から最適な仕様を選択するための実践的なアプローチを解説します。
用途別推奨メッシュ範囲

  • 防虫用: 16-20メッシュ(虫の侵入防止)
  • 濾過用: 50-100メッシュ(粒子サイズに依存)
  • 補強用: 4-10メッシュ(構造強度重視)
  • 装飾用: 10-30メッシュ(視覚的効果と強度のバランス)

計算による選定方法。
通過させたい最小粒径を d(mm) とした場合、
必要メッシュ数 ≒ 25.4 / (d × 1.2)
この1.2の係数は安全率で、実際の目開きと理論値の差を考慮しています。

 

コスト効率を考慮した選定では、必要最小限のメッシュ数を選択することが重要です。過度に細かいメッシュは製造コストが指数関数的に増加するため、要求仕様ぎりぎりの選択が経済的です。

 

意外な落とし穴として、空間率の見落としがあります。同じメッシュ数でも線径により空間率が大きく変わるため、通気性や透水性が重要な用途では空間率も確認が必要です。

金網ステンレス規格の品質管理と検査基準

ステンレス金網の品質管理は、JIS規格に基づく厳格な検査体系で実施されています。製造段階から出荷まで、複数の検査項目で品質を保証しています。

 

必須検査項目

  • 寸法精度: メッシュ数・線径・目開きの測定
  • 材質証明: 化学成分分析による材質確認
  • 外観検査: 織り欠陥・表面キズの目視確認
  • 強度試験: 引張強度・破断荷重の測定

品質保証書類

  • ミルシート: 材質成分表と機械的性質
  • 検査成績書: 寸法・外観検査結果
  • トレーサビリティ記録: 製造ロット管理情報

高精度用途では、**統計的品質管理(SQC)**による工程管理も実施されます。特に医薬品・食品分野では、HACCP対応の衛生管理体制も要求されます。

 

検査基準の意外な盲点として、経年変化があります。ステンレスでも長期使用により微細な腐食や変形が発生するため、定期的な交換・点検が推奨されています。特に屋外使用では年1回、屋内でも3年に1回の点検が望ましいとされています。

 

受入検査時のチェックポイント。

  • 梱包状態での変形・損傷確認
  • 寸法測定(抜き取り5%以上)
  • 証明書類との照合
  • 表面状態の目視確認

この品質管理体制により、日本のステンレス金網は国際的にも高い評価を得ており、輸出実績も年々増加しています。