
水道メーターは計量法第72条第2項の規定により、検定証印の有効期間が8年と定められています。これは計量法施行令別表第三で明確に規定されており、口径350mm以下の水道メーターすべてが対象となります。有効期間は検定検査合格後から起算され、満了の年月が検定証印に表示されます。
水道メーターが特定計量器として指定されている理由は、取引や証明に使用される計量器として正確性が求められるためです。建築業従事者の方は、現場で使用する水道メーターが検定合格品であることを必ず確認する必要があります。メーター本体または蓋の裏側に貼付された銀色のシールに、検定証印と有効期限の年月が記載されています。
東京都水道局の水道メーター有効期限に関する公式情報
計量法の歴史を見ると、昭和3年に水道メーターの検定が開始された当初は有効期間6年でしたが、昭和19年に8年へ延長されました。その後、昭和41年に金属製のみ6年に短縮されましたが、平成5年の現行計量法施行により、すべての水道メーターが再び8年に統一されました。平成9~13年には政府の規制緩和推進計画を踏まえた検討が行われましたが、水道メーターの有効期間は8年で変更なしと結論付けられています。
計量法第172条では、有効期限切れの水道メーターを使用した場合、「6月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と明確に規定されています。この罰則は、取引・証明に使用する計量器の正確性を担保するための重要な規定です。
実際の違反事例として、福島県柳津町では2017年に1200基分の水道メーター更新を計画していましたが、2018年8月の県計量検定所の立入検査で有効期限切れのメーターが発見されました。同町は改善計画書と改善報告書を提出し、2018年12月までに交換を完了しましたが、当初は町民への公表を行わず問題となりました。
計量法抵触事例の詳細報告
山口県下関市でも、委託業者による取り換え業務が遅れ、1294戸分の水道メーターが有効期限切れとなった事例があります。これらの事例から分かるように、全国的に水道メーター管理の課題が存在しています。建築業従事者の方は、建設現場で使用する水道メーターの有効期限を定期的に確認し、期限切れのメーターを使用しないよう注意が必要です。
有効期限切れのメーターは計測機構の劣化により回りにくくなり、ゴム部品などが劣化するため、正確な水道料金が算出されない可能性があります。建築現場では工事用水の適正な計量が求められるため、この点は特に重要です。
水道メーターは表示方式により「直読式」と「円読式」の2種類に大別されます。直読式は、立方メートル桁の数字が印字されたカウンターを直接読み取る方式で、黒地のカウンターが立方メートルを表示します。カウンターの桁数は口径により異なり、口径25mmまでは4桁、30mmと40mmは5桁、それ以上は6桁が一般的です。
円読式は、立方メートルからリットルまですべての単位が円形の目盛りと針で構成されています。黒い針が立方メートル単位、赤い針がリットル単位を表示します。検針時には左下から時計回りに数字を読み上げます。近年では、メーター表示部分がより鮮明な水道メーターや、集中計測器に信号を送る電子式・パルス式など、検針しやすいよう工夫された製品も登場しています。
計測方式による分類では、流速式と容積式に分けられます。流速式には羽根車式、電磁式、超音波式があり、電磁式と超音波式は機械的可動部がないため耐久性に優れ、小流量から大流量まで広範囲な計測に適しています。
計量法施行令では、水道メーターの使用方法が明確に規定されています。取付姿勢が表記されているものはその表記どおりの取付姿勢で使用する必要があり、一般家庭で使われている羽根車式水道メーターは「表示部が上向きの水平」という取付姿勢で型式承認を取得しています。
メーターに表示された矢印に従い、逆向きにならないよう、指示部を上にして水平に取り付けることが必須です。下向きや横向きなど他の姿勢では取付けできません。羽根車式水道メーターは縦配管への設置ができませんが、一部を除いた電磁式水道メーターは、ほぼすべての方向に取り付けられるため縦配管でも設置可能です。
設置位置については、原則として道路境界線に最も近接した敷地部分(屋外)で、メーターの検針及び取替作業が容易であり、かつメーターの損傷や凍結等のおそれがない場所を選定します。泥水・土砂等の侵入がなく、乾燥した場所に設置することが重要です。駐車場等で車両の下になる場所は避ける必要があります。
建築現場では、メーター取り付け前に給水管に通水し、ネジ切りくず・接着剤・砂等の異物を十分に排除した後に取り付けることが求められます。メーターは給水栓より低位かつ水平に設置し、空気が入ると調整器の作用を阻害し過進するおそれがあります。
水道メーターには「公設メーター」と「私設メーター」の2種類があります。公設メーターは水道局が設置・管理するメーターで、交換費用は水道局が負担します。一方、私設メーターは建物所有者が設置・管理するメーターで、マンションやビルなどの共同住宅で各戸の使用量を計測するために使用されます。
計量法では、私設メーターであっても料金取引や証明用として使用する場合、検定有効期限内のメーターを使用することが義務付けられています。大阪市の私設メーター設置基準では、計量法及び計量器検定検査令に適合していることが求められ、住居等の外から容易に計量、取り替えができる場所に設置する必要があります。
建築業従事者の方が関わる建設プロジェクトで私設メーターを設置する場合、建物所有者・管理者が8年ごとの交換責任を負うことを明確にしておく必要があります。私設メーターの管理責任を怠ると、計量法違反として罰則の対象となります。
集合住宅や貸ビル、大型店舗等では、供給事業者が設置したメーター(親メーター)の使用量により支払った料金を、各室・テナントの使用量に応じて配分するために子メーターを使用する場合があります。これらの子メーターについても計量法の検定有効期間が適用され、所有者は期限満了前に検定済メーターに取り替える義務があります。
建築現場での工事用水道についても、取引・証明に使用する場合は計量法の規定が適用されます。現場責任者は、使用している水道メーターの有効期限を台帳で管理し、期限前の交換計画を立てることが重要です。特に長期にわたる建設プロジェクトでは、工事期間中に有効期限を迎える可能性があるため、事前の確認と交換手配が必要です。
水道メーターの計量精度は、水道料金の算定基礎となるだけでなく、建築現場での水の浪費防止や適正な工事原価管理にも直結します。定期的なメーター点検とパイロットマーク(回転指標)の確認により、漏水の早期発見も可能となります。全ての蛇口を閉めているにも関わらずパイロットマークが回っている場合は、漏水の可能性があるため、速やかに調査が必要です。