

検図は、出図前に図面の不備や整合性を確認する工程で、一般に2人以上で実施されることが多いとされています。
ここをペーパーレス化する際に最初に決めるべきなのは、紙でやっていた「順番」をデジタルに移植することです。
代表的な検図の基本手順は、(1)安全性、(2)仕様書の要求事項、(3)組立図(干渉など)、(4)部品図面の確認という流れで整理できます。
参考)製造業で図面をペーパーレス化する4つのメリットとポイント、導…
建築の図面チェックでも本質は同じで、最終的に「現場が誤読しない」「他図面と矛盾しない」「変更が漏れない」を担保することが目的になります。
チェックリストは、検図の抜け漏れを減らす実務の要で、運用上は「項目を固定」しつつ、案件ごとの追加項目は別枠にするのが崩れにくいです。
チェック項目の例として、寸法漏れ・二重記載、寸法チェーンの成立、公差の妥当性、注記の矛盾、最新版・改訂反映などが挙げられています。
参考)検図とは?目的やチェックリスト、効率化のポイントなどを紹介 …
ペーパーレス運用でありがちな失敗は、「PDFに赤入れしたのに、どれが最終か分からない」状態です。
これを避けるため、最低限次のルールを決めてください。
ペーパーレス化の分かりやすい効果は、検索・参照が速くなることと、印刷や保管のコストを減らせることです。
さらに見落とされがちですが、「参照履歴・版管理・共有」が整うと、検図の責任境界が明確になり、炎上案件ほど効いてきます。
一方で、ペーパーレス検図には特有のリスクがあります。
つまり、成功するペーパーレス化は「紙をスキャンして置き換える」より、最初から電子で生まれ、電子で回り、電子で確定する流れを作ることです。
対策はシンプルで、設備投資よりも“見方の設計”が効きます。
ペーパーレス検図の“時短の芯”は、実は赤入れ機能よりも「差分比較」と「検索」です。
例えば図面比較ソフトは、新旧図面の差異(変更点)を検出して可視化し、目視での見落としを減らす目的で使われます。
また、図面管理の文脈では、図面内テキストや属性、キーワードで検索できる仕組みが、探す時間を減らします。
参考)図面管理システム 図脳TeCA(ティーカ)
「検図で確認すべき関連図面が見つからない」こと自体が不具合の温床なので、検索性は品質対策でもあります。
AIの活用も現実的になってきており、仕様書や部品表と図面の整合性チェック、寸法抜け、公差確認など“単純だが数が多いチェック”をAIに寄せるサービスが登場しています。
参考)検図AI「KENZ」|検図時間を大幅短縮する新しいAIサービ…
ただしAI検図は万能ではなく、過検知(誤検知)を抑えるチューニングや、社内ルールに合わせた学習が前提になるケースがある点は押さえるべきです。
参考)AIで図面の検図を自動化 Drawing-AI
ツール選定のコツは、次の順で「詰まりどころ」を潰すことです。
公共工事の世界では、電子納品は「最終成果を電子成果品として納品すること」と定義され、運用ガイドラインで対象範囲や留意事項が整理されています。
また、電子成果品はフォルダ構成や管理ファイル(XML)などの決まりがあり、チェックシステムでエラーがないことを確認する流れが示されています。
ここが意外に重要で、ペーパーレス検図をうまく回す会社ほど「納品要件に合う図面の作り方」を検図前に潰しています。
理由は単純で、納品直前にレイヤ名・表題欄・ファイル名でハマると、検図で潰したはずの“手戻り地獄”が復活するからです。
CADデータはSXF(P21)で納品する前提があり、共通ビューア(SXFブラウザ)での目視確認や、電子納品チェックシステムでのチェックが必要だとされています。
さらに、チェックシステムはレイヤ名の適合などは見られても、「適切なレイヤに作図されているか」は判断できない旨も指摘されています。
参考)https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0403pdf/ks0403014.pdf
つまり、電子チェックで機械的に通っても、内容として正しいとは限りません。
ここに検図の価値が残り続ける理由があり、ペーパーレス化でも「人が見るべき観点(妥当性・読みやすさ・誤解の余地)」を捨てない設計が必要です。
参考:電子納品の要領・基準やQ&A(電子納品チェックシステム等)の一次情報
https://www.nilim-ed.jp/
参考:電子納品運用ガイドライン(案)【土木工事編】(電子納品の流れ、チェック、SXF確認の位置づけ)
https://www.mlit.go.jp/tec/it/cals/050831/img/03.pdf
検索上位の記事はツールやメリット紹介が中心になりがちですが、現場で差が出るのは「人間の注意力の限界」を前提に工程を組めているかです。
ペーパーレス検図は便利な反面、画面スクロールと拡大縮小が増え、疲労で見落としが増えるパターンが起きます(紙の“俯瞰”が消えるため)。
そこで、意外と効くのが“検図の作業単位”を変えることです。
さらに責任設計として、検図担当者を守る仕組みも重要です。
検図は重要な工程であり、不備が残った場合に検図者の信用問題になり得るため、担当者選定や体制が大切だとされています。
この前提がある以上、「個人の頑張り」ではなく、二重チェックや承認条件、証跡(ログ)で品質を担保するのが、組織として一番強いペーパーレス化です。
参考)検図方法とは? 重要性や手順、検図のポイント、チェックリスト…