
くい丸は建設現場で広く使用される鋼製杭で、その寸法規格は非常に体系的に整備されています。最も一般的な規格である直径48.6mm(40A)は、肉厚2.4mmの鋼管を使用し、長さは500mmから4000mmまで幅広くラインアップされています。
主要な直径規格は以下の7サイズです。
材質はSTK-500の国産溶融亜鉛メッキ鋼管で、JIS G 3444規格に準拠しています。尖端部にはS45C(ハガネ材)を使用し、頭部はSWRCH/S45Cを採用することで、打ち込み時の耐久性を確保しています。
表面処理は標準めっきと厚めっき(ドブめっき)の2種類があり、使用環境に応じて選択可能です。厚めっきは腐食環境下での長期使用に適しており、標準めっきより約100円程度高価になります。
くい丸の重量は直径と長さの組み合わせで決まり、施工計画や運搬効率に直接影響します。以下は主要サイズの重量一覧です。
直径48.6mm(最も一般的)の重量表。
直径42.7mmの重量表。
直径27.2mm(最軽量)の重量表。
重量計算の基本式は、鋼管の体積×鋼の密度(約7.85g/cm³)で求められますが、実際の製品では尖端部や頭部の加工により若干の重量増加があります。厚めっき仕様は亜鉛の重量分だけ重くなり、通常0.1〜0.2kg程度の増加となります。
一人作業での適正重量は5kg以下とされており、長尺品の場合は2人以上での作業が推奨されます。運搬効率を考慮すると、トラック積載時の重量配分も重要な検討要素となります。
くい丸の長さ選定は地盤条件と用途に応じて決定されます。スタンダードサイズ(500mm〜2000mm)は10cm刻みで提供され、ほとんどの一般工事に対応可能です。
用途別推奨サイズ。
🏗️ 仮囲い・フェンス設置
🚧 足場仮設工事
📏 測量杭・境界杭
🏞️ 軟弱地盤対策
地盤条件別選定指針。
ロングサイズ(2100mm〜2900mm)とスーパーロングサイズ(3000mm〜4000mm)は特注対応となる場合が多く、納期に余裕を持った発注が必要です。
くい丸の価格は材料費、加工費、表面処理費の要素で構成されます。2025年6月現在の税別価格相場は以下の通りです。
直径48.6mm標準めっきの価格例。
直径48.6mm厚めっき(ドブめっき)の価格例。
価格に影響する要因。
💰 材料費変動
鋼材価格は市況により変動し、特に鉄鉱石価格の影響を受けます。長期工事では価格変動リスクを考慮した調達計画が重要です。
🏭 表面処理コスト
標準めっきから厚めっきへの変更で10〜15%の価格上昇となります。使用環境の腐食性を評価し、ライフサイクルコストを検討して選択します。
📦 発注ロット
まとめ発注により単価削減が可能です。同一現場で使用するサイズを整理し、効率的な発注を行います。
⚠️ 購入時の注意点。
価格比較時は単価だけでなく、運搬費、保管コスト、施工効率も含めた総合評価が重要です。
くい丸の最適な選定には、構造計算と施工性の両面からのアプローチが必要です17。設計段階での適切な計算により、安全性と経済性を両立できます。
許容引抜き荷重の計算方法。
くい丸の許容引抜き荷重は以下の式で算出されます。
Pa = φ × D × L × fs / SF
ここで。
地盤種別による周面摩擦力度の目安。
💡 施工効率化のコツ。
1. 事前の地盤調査
地質ボーリングデータを基に、硬質層の深度を把握し、適切な長さを選定します。現場での延長や追加打ちを避けられます。
2. 打ち込み角度の管理
垂直度±2度以内を維持することで、設計通りの支持力を確保できます。レーザーレベルの活用が効果的です。
3. 打ち込み深度の管理
根入れ長は設計値の±50mm以内で管理します。深すぎると材料のムダ、浅すぎると安全性の問題となります。
4. 作業効率向上のテクニック
5. 品質管理のポイント
打ち込み完了後の頭部レベル測定により、沈下や浮き上がりの有無を確認します。不具合発見時の早期対応で大きなトラブルを防げます。
経済性向上の工夫。
同一現場内でのサイズ統一により、在庫管理コストと施工効率の向上を図れます。また、余剰材の他現場での活用計画により、材料ロスを最小化できます。
これらの計算方法と施工のコツを活用することで、くい丸の性能を最大限に引き出し、安全で経済的な施工が実現できます。