
車止めブロックの標準タイプは、最も汎用性が高く多くの駐車場で採用されている規格です。主要メーカーの標準寸法は以下の通りです。
NSP-120シリーズ(標準高タイプ)
NSP-100シリーズ(やや低めタイプ)
これらの寸法は、一般的な車両のタイヤ径とホイールベースを考慮して設計されており、幅600mmは大型トラック以外の車両タイヤに対応できる最適な長さとなっています。
高さ120mmの標準タイプは、車高の低いスポーツカーでも底部接触のリスクが少なく、かつ十分な停止効果を発揮する設計となっています。重量25kgという仕様は、軽量すぎて衝撃で移動することなく、施工時の取り扱いも困難でない適正な重量バランスを実現しています。
製造時の品質管理では、JIS A 5402(プレキャストコンクリート製品)に準拠した強度試験が実施され、圧縮強度21N/mm²以上の基準をクリアしています。
低車高車両の増加に対応するため、標準タイプより低い設計の車止めブロックが各メーカーから展開されています。
NSP-85シリーズ(超低車高対応)
NSP-100低車高タイプ
低車高タイプの特徴として、標準タイプと比較して20-35mm低く設計されているため、フロントスポイラーやサイドステップの接触リスクを大幅に軽減できます。
近年のスポーツカーや欧州車の多くは、空力性能向上のため車高が低く設計されており、特に最低地上高が100mm以下の車両では標準高120mmのブロックでは接触の可能性があります。
施工現場では、駐車場利用者の車種構成を事前調査し、スポーツカーや改造車の利用頻度が高い場合は低車高タイプの採用を検討することが重要です。ただし、高さが低いため停止効果は標準タイプより劣る傾向があり、設置位置の精密な計算が必要になります。
接着剤による固定では、標準タイプと同様にエポキシ系接着剤を使用しますが、接触面積が小さいため接着強度に注意が必要です。
大型車両専用の車止めブロックは、バスやトラックの重量と衝撃に耐える特別な設計が施されています。
NSP-180シリーズ(大型車専用)
Hブロック大型車用
大型車用ブロックの設計では、普通車用と比較して高さが1.5倍、重量が約2倍に設定されています。これは大型車のタイヤ径が大きく、停止に必要な高さと、車両重量による衝撃に耐える質量が必要なためです。
タイヤ接触面には、衝撃吸収を考慮した適正角度(約15度)が設けられており、急停止時の衝撃を分散させる構造となっています。
施工時の注意点として、大型車用ブロックは重量が重いため、設置作業にはクレーンや重機が必要になる場合があります。また、アンカー固定では、標準タイプより深く(150mm以上)、太径(φ16mm以上)のアンカーボルトが推奨されます。
コンクリート基礎は、標準の150mm厚に対し200mm以上の厚さが必要で、配筋も D10@200の格子配筋が基本仕様となります。
車止めブロックの設置間隔は、対象車両のホイールベースと駐車場の用途によって決定されます。
軽自動車専用駐車場
普通自動車用駐車場
大型車用駐車場
設置位置の計算では、車両のオーバーハング(後軸より後方部分)を考慮することが重要です。特に最近のミニバンやSUVでは、スペアタイヤや荷物室の関係でオーバーハングが長い車種が増えており、従来の基準より後方距離を多めに確保する必要があります。
ハッチバック車では、リアゲート開放時の干渉も考慮し、駐車場の用途によっては後方距離を20-30cm追加することが推奨されます。
商業施設の駐車場では、利用者の多様性を考慮し、軽自動車基準と普通車基準の中間値である65cm間隔で設置するケースも増えています。
施工図面では、車両軌跡図を作成し、最小回転半径の大きい車種でも駐車可能な配置を検証することが標準的な手順となっています。
車止めブロックの固定方法は、設置場所の舗装材質と要求される耐久性によって選定されます。
接着剤固定方式
アンカー固定方式
埋込型固定方式
近年の施工現場では、ライフサイクルコストを重視した固定方法の選定が重要視されています。初期費用は埋込型が最も高額ですが、長期的な維持管理費を含めると最も経済的な選択肢となる場合が多いです。
気象条件による影響では、寒冷地での凍害対策として、接着剤に防凍剤添加型を使用することが一般的です。また、塩害地域では、アンカー材質をSUS316Lステンレスに変更し、防錆性能を向上させる対策が取られています。
施工品質の管理では、接着剤の混合比率(主剤:硬化剤=4:1)の厳密な管理と、養生期間中の荷重制限(48時間は車両進入禁止)が品質確保の重要なポイントとなっています。
定期点検では、年1回の目視点検でクラックや浮き上がりの有無を確認し、5年ごとの詳細点検で接着強度の測定を実施することが推奨されています。