
m6六角ボルトの寸法は、JIS B 1180:2014で厳格に規定されています27。建築現場で使用される標準的なm6六角ボルトの基本寸法は以下の通りです。
基本寸法表(単位:mm)
詳細寸法と許容差
これらの寸法は部品等級Aに基づく精密な規格値であり、建築用途では特に重要な基準となります。対辺距離10mmは10mmスパナやボックスレンチに対応しており、現場での作業効率を考慮した設計となっています。
許容差についても厳密に定められており、対辺距離Sの場合「0〜-0.6mm」、頭部厚みkの場合「±0.25mm」となっています。この精度管理により、異なるメーカー間でも互換性が保たれています。
m6六角ボルトのねじ部長さは、首下長さ(ℓ)によって全ねじか半ねじかが決定されます。JIS規格では以下のように規定されています。
全ねじ・半ねじの判定基準
半ねじの場合のねじ部長さ(b)
首下長さ(ℓ) | ねじ部長さ(b) |
---|---|
35mm | 22mm |
40mm | 22mm |
45mm | 22mm |
50mm | 22mm |
55mm | 22mm |
60mm | 22mm |
65mm | 22mm |
70mm | 22mm |
80mm | 22mm |
90mm | 22mm |
100mm | 22mm |
130mm以上の長尺ボルトの場合
130mm以上の長さでは、ねじ部長さが「dx2+12」の計算式で決定されます。m6の場合、6×2+12=24mmとなります。
実際の施工現場では、ねじ部の長さが不足すると適切な締結力が得られないため、事前の寸法確認が重要です。特に厚い部材を締結する際は、十分なねじ込み代を確保する必要があります。
参考情報:有効ねじ長さの目安
一般的に、有効ねじ長さは呼び径の約2.5倍程度とされています。m6の場合、約15mm程度が目安となりますが、実際の施工では安全率を考慮してより長いねじ部を選択することが推奨されます。
建築現場では、通常の六角ボルトと六角穴付きボルト(キャップスクリュー)の使い分けが重要です。m6サイズでの両者の寸法比較を行います。
頭部寸法の比較
項目 | 六角ボルト | 六角穴付きボルト |
---|---|---|
対辺距離/外径 | 10.0mm | 10.0mm |
頭部厚み/高さ | 4.0mm | 6.0mm |
工具 | 10mmスパナ | 5mm六角レンチ |
六角穴径 | なし | 5.0mm |
六角穴深さ | なし | 3.0mm(最小) |
使用場面での選択基準
六角穴付きボルトの場合、頭部高さがねじ径と同じ6mmとなるため、沈め加工を行う際の基準として覚えやすい設計となっています。設計時に6mm以上の深さで沈め加工を行えば、頭部が平面から飛び出すことがありません。
締結トルクへの影響
同じm6サイズでも、工具の違いにより締結トルクの管理方法が異なります。六角ボルトはトルクレンチでの管理が一般的ですが、六角穴付きボルトは六角レンチでの感覚的な締結が多く、過締結による破損リスクに注意が必要です。
m6六角ボルトの強度区分は、建築構造物の安全性に直結する重要な要素です。JIS規格では材質により以下の強度区分が設定されています。
鋼・合金鋼の強度区分
ステンレス鋼の強度区分
用途別選定指針
🏗️ 構造用途
🌧️ 環境条件による選定
コスト vs 性能のバランス
建築現場では、過剰品質によるコスト増加と、品質不足による安全性リスクのバランスが重要です。m6サイズの場合、8.8級が最も汎用性が高く、コストパフォーマンスに優れています。
特に重要な点として、強度区分の表示方法があります。ボルト頭部に刻印された数字により強度区分を判別できるため、現場での品質管理に活用できます。
建築現場でのm6六角ボルト施工において、一般的なマニュアルには記載されていない実践的なチェックポイントを紹介します。
ねじ山の目視検査法
m6ボルトのピッチ1.0mmは、1円硬貨の厚み(1.5mm)よりも細かいため、目視での確認が困難です。しかし、簡易的な検査方法として以下が有効です。
📋 現場での簡易チェック
締結トルク管理の実践的アプローチ
JIS規格では具体的な締結トルク値は規定されていませんが、現場での実践値として以下が参考になります。
⚙️ 材質別推奨締結トルク(参考値)
温度変化による影響対策
建築現場特有の問題として、日中と夜間の温度差による熱膨張・収縮があります。m6ボルトの場合、この影響は微小ですが、精密な施工が要求される箇所では以下の対策が有効です。
🌡️ 温度管理のポイント
品質記録の独自管理法
建築現場では、使用したボルトの品質履歴管理が重要です。特にm6サイズは使用頻度が高いため、以下の記録方法が推奨されます。
これらの独自チェックポイントを活用することで、標準的な施工手順では見落としがちな品質リスクを事前に回避できます。特に責任施工が求められる構造部材への適用では、これらの追加確認が品質向上に大きく寄与します。