

建築・解体でセーバーソーを評価するとき、最初に見るべきは「ストローク長」と「無負荷ストローク数(spm)」です。たとえばミルウォーキーのM18系スーパーレシプロソーでは、ストローク長32mm・0〜3000spmが仕様として示されており、長ストロークで材料除去量を稼ぐ設計が読み取れます。長ストロークは、同じ回転数(spm)でも刃先が往復で“掻き出す距離”が伸びるため、木材解体や釘入り材で切断スピードの差として出やすいのが実務感覚です。
一方で「速ければ良い」だけではなく、切断姿勢が不安定な現場(脚立上・梁間・狭所)ほど、刃が暴れない速度制御が効いてきます。M18 FSX-0C0 JPでは無段変速トリガーに加えて5速ダイヤルで速度制御を作れるとされ、材料ごとに“最初の食い込み”と“貫通後の暴れ”を抑える運用がしやすいタイプです。速度を落とせる機種は、塩ビや薄板で「終端で割れる」「噛んで跳ねる」を減らし、結果的にやり直しが減ります。
現場でのコツとしては、木材解体(釘入り)と金工(薄板)を同一機でやる場合、速さより「失速しにくい」「刃が熱だれしにくい」領域を探すことです。長時間連続切断では、刃の発熱→切粉詰まり→抵抗増→握り込み増という悪循環が起きやすく、ここで機種の性格差が出ます。数字は入口で、最終的には“材料別に最適回転域を作れるか”が評価点になります。
・参考:M18 FSX-0C0 JPのストローク長32mm、無段変速+5速などの仕様がまとまっています。
https://www.bildy.jp/power/reciprocating_saw/97503
充電式の評価は「切れるか」だけでなく、「何時間、同じ品質で回せるか」に移っています。ミルウォーキーのM18プラットフォームは、18Vで共通バッテリー運用が前提にあり、現場では“バッテリーの持ち替え”が工程に組み込めるのが強みです。仕様上、M18 FSX-0C0 JPは12.0Ah装着時で5.6kgとされ、軽量ではないものの、その分フルサイズ機として安定性と押し当ての作り込みが想定されます。
ここで重要なのが、重量=悪ではない点です。セーバーソーはブレードが往復運動するため、軽すぎる機体は反力でブレやすく、特に金属パイプやアングルで刃先が逃げて“擦るだけ”になりがちです。重い機体は、シュー(靴)を材料に当てて姿勢を作れば、刃の直進性が上がり、結果として刃持ちが良くなることがあります。つまり「取り回しの軽さ」と「切断の安定」はトレードオフになりやすい。
実務では、フルサイズを“据えの一本”として置き、取り回し重視のコンパクト機を“上物・天井・狭所”に回すと無駄が減ります。ミルウォーキーのコンパクトレシプロソー(M18 FHZ系)ではストローク量22mm・0〜3000の仕様が示されており、フルサイズ32mmと使い分けの理由が作れます。解体の主戦場が床・土間・壁なら32mm側、電気・設備の天井内なら22mm側、という具合に“現場の姿勢”で評価が変わります。
・参考:M18 FSX-0C0 JPの重量やストローク等の仕様、M18プラットフォームの記載が確認できます。
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223304098810/
セーバーソーは本体の評価より先に、ブレードで勝負が決まります。理由は単純で、刃が材料に触れている時間が長いほど、刃先形状・厚み・TPI(山数)が切断抵抗と熱に直結するからです。ミルウォーキーのTHIN KERF金工用レシプロソーブレードは“薄刃(例:厚み0.9mm)”として整理され、薄鋼板やダクトなど薄物に向く仕様が明記されています。薄刃は切断抵抗が小さく、食い込みが軽い反面、強くこじると逃げたり曲がりやすいので、シューを当てて真っ直ぐ引く運用が前提になります。
建築現場でよくある失敗が「薄板に荒目を当てる」「厚物に薄刃を当てて焼く」パターンです。薄板に荒目(低TPI)だと噛みが強すぎてビビり、切り口が暴れます。逆に、厚肉金属に高TPI薄刃を当てると切粉の逃げ場が減り、摩擦熱が増えて刃先が鈍ります。つまり“材料の厚み”と“切粉の逃げ”でTPIを決めるのが評価の基本です。
また、替刃コストをケチるほど作業時間が伸び、最終的に人件費で負けます。特に解体で釘入り木材を切るなら、釘対応(NAIL系)や耐摩耗系を最初から入れる方が、刃交換の手間と事故リスクが減ります。結果として「ミルウォーキー本体は切れるのに評価が割れる」原因の多くは、刃のミスマッチにあります。
・参考:THIN KERF(薄刃)金工用ブレードの厚みや対象が具体的に書かれています。
https://www.bildy.jp/power/reciprocating_saw_blade/117392
建築従事者にとって、低振動は“快適装備”ではなく安全と品質の要素です。セーバーソーは振動が強いと、刃先が狙いから外れるだけでなく、切断ラインが蛇行して「後工程(バリ取り・やり直し)」が増えます。さらに、握力を上げて抑え込む癖がつき、手首や肘への負担が蓄積します。
評価の観点では、低振動=高級機という単純な話でもありません。軽い機体は反力で暴れ、重い機体は握り続ける筋疲労が出ます。ここは現場の作業姿勢で答えが変わるため、“一日で一番長くやる切断”に合わせて評価するのが現実的です。たとえば、床解体・壁解体が中心なら、重量があってもシューで支えられるため疲労は相対的に小さくなります。逆に、天井内の吊り材や配管周りを切るなら、軽さと片手性が勝つ。
意外と見落とされがちなのが「刃が切れていない状態」が振動を増やす点です。切れない刃は、材料を切るのではなく擦り、往復運動のエネルギーが振動として手に返ってきます。低振動機を買っても、刃が合っていなければ振動は増える。だから“本体+刃”で評価し、刃交換の基準(何カットで交換、どの材料で鈍るか)を作業標準に落とすのが、現場の上位者がやっている実務です。
・参考:M18のスーパーレシプロソー(ストローク32mm等)仕様が確認でき、機種選定の土台になります。
https://www.bildy.jp/power/reciprocating_saw/97503
検索上位のレビューで意外と深掘りされにくいのが、「シュー(靴)の調整」と「刃の寿命」の関係です。セーバーソーの刃は、同じ位置で切り続けると、刃先の一部分だけが先に摩耗します。そこでシューを前後に調整して“刃の使う位置”をずらすと、刃先の摩耗が分散され、結果として刃が長持ちします。ミルウォーキーのM18 FSX系では調節可能なシューベースが仕様として示されており、ここは単なる便利機能ではなく替刃コストと作業停止時間に効きます。
さらに言うと、シュー調整は寿命だけでなく「曲がりにくさ」にも効きます。刃が短く露出している状態(シューを詰めている状態)は、刃の逃げが減り直進性が上がります。薄刃(THIN KERF)で薄板を切るときほど、シューを詰めて刃の暴れを抑えた方が、切断線が素直になりやすい。逆に、奥まった位置を切るために刃を長く出すと、刃はしなりやすく、食い込みで曲がりやすい。ここを理解していると「本体の評価が悪い」のではなく「セットアップが悪い」だけのケースを切り分けできます。
現場の運用としておすすめなのは、作業前に“切る対象の厚み”を3分類し、シュー位置と速度を固定ルール化することです。例:①薄板(ダクト等)=シュー詰め+中速、②釘入り木材=シュー中間+高め、③厚肉金属(アングル等)=シュー詰め+低速寄りで発熱管理。こうしたルールがあると、誰が握っても評価が安定し、工具の「当たり外れ」の議論が減ります。
・参考:調節可能なシュー、ストローク、速度設定などM18 FSXの仕様がまとまっています。
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223304098810/
| 評価項目 | 現場での見方 | 失敗例 |
|---|---|---|
| ストローク長 | 32mm級は解体・木材で効率が出やすい(材料除去量が稼げる) | 薄板でも高速で押し切り、ビビり・変形が出る |
| 速度制御 | 無段変速+段階設定があると材料ごとに安定しやすい | 一定速度のみで、食い込み時に跳ねて危険 |
| ブレード | THIN KERFのような薄刃は薄板に強いが、こじりに弱い | 厚物に薄刃で発熱→焼け→切れない→振動増 |
| シュー調整 | 刃の摩耗を分散し、直進性も上げられる | 刃を長く出しっぱなしで曲がり・摩耗が早い |