

みぞ形鋼は、JIS G 3192「熱間圧延形鋼の形状、寸法、質量及びその許容差」に基づいて規格化された構造用鋼材です。断面形状が「C」または「コ」の字に似ていることから、建築現場では「チャンネル」の通称で呼ばれています。
この規格は、熱間圧延によって製造された形鋼の外観、形状及びその寸法、質量について規定しており、溝形鋼の記号は「[」で表示されます。材質は一般構造用炭素鋼鋼材SS400やSS490が標準的に使用され、降伏強度は245〜325 MPaの性能を持ちます。
🔧 断面各部の名称と寸法表示
建築工事で使用される一般流通サイズの溝形鋼寸法表を以下に示します:
| 断面寸法 t1×B×H (mm) | 単位重量 (kg/m) | 断面積 (cm²) | 断面二次モーメントIx (cm⁴) | 断面係数Zx (cm³) |
|---|---|---|---|---|
| 5×40×75 | 6.92 | 8.818 | 75.9 | 20.2 |
| 5×50×100 | 9.36 | 11.92 | 189 | 37.8 |
| 6×65×125 | 13.4 | 17.11 | 424 | 67.8 |
| 6.5×75×150 | 18.6 | 23.71 | 861 | 115 |
| 9×75×150 | 24.0 | 30.59 | 1,050 | 140 |
| 7×75×180 | 21.4 | 27.20 | 1,380 | 153 |
| 7.5×80×200 | 24.6 | 31.33 | 1,950 | 195 |
断面性能の計算式:
溝形鋼は曲げに対する強度に優れており、施工性が高いことから建築構造の様々な部位に活用されています。主な建築用途は以下の通りです:
🏢 建築構造での主要用途
溝形鋼はメインの柱や梁にはあまり使われず、補助的な構造材として重要な役割を果たします。断面の開口部が一方向にあることで、配管や配線の取り回しが容易になるという施工上のメリットがあります。
選定時は荷重条件と支間に応じて適切なサイズを選択し、断面二次モーメントと断面係数から曲げ耐力を確認することが重要です。
建築材料として使用される溝形鋼には、熱間圧延による重量形鋼と冷間成形による軽量形鋼があります。それぞれ異なる規格と特性を持ちます:
重量溝形鋼(JIS G 3192)
軽量溝形鋼(JIS G 3350)
軽量溝形鋼の多くは表面処理が施されており、赤い錆止め塗料や溶融亜鉛メッキによる白色仕上げが一般的です。用途に応じて適切な規格の溝形鋼を選定することが、建築品質と経済性の両立につながります。
JIS G 3192における溝形鋼の寸法許容差は、製品の品質管理において重要な基準となります:
📏 寸法許容差の規定
| 寸法区分 | 寸法範囲 | 許容差 |
|---|---|---|
| 辺(B) | 50mm未満 | ±1.5mm |
| 50mm以上100mm未満 | ±2.0mm | |
| 100mm以上200mm未満 | ±3.0mm | |
| 高さ(H) | 100mm未満 | ±1.5mm |
| 100mm以上200mm未満 | ±2.0mm | |
| 200mm以上400mm未満 | ±3.0mm | |
| 厚さ(t1,t2) | 6.3mm未満 | ±0.6mm |
| 6.3mm以上10mm未満 | ±0.7mm |
実際の建築現場では、これらの許容差を踏まえた施工計画が必要です。特に接合部の設計や加工精度に影響するため、発注時に許容差の確認を怠らないことが重要です。
🔍 意外に知られていない品質管理のポイント
建築事業者としては、単純な寸法確認だけでなく、用途に応じた品質要求事項を明確にして調達することが、工事品質の確保につながります。
JIS G 3192溝形鋼規格の詳細な寸法表と断面性能データ
日本鉄鋼連盟による形鋼規格の公式解説資料