
水下(みずしも)は、建築用語として建物の部分や側溝などで、水が流れ終わる部分を指します 。水勾配を設けた際の最も低い部分であり、床面、屋上面、といなどに勾配をつける際、排水を促すために水が流れ終わる最も低い箇所となります 。
参考)水上(みずかみ)、水下(みずしも)って何? 屋根の用語・Qhref="https://kamisei.co.jp/news/32671" target="_blank">https://kamisei.co.jp/news/32671amp;…
建築図面では、水下と対となる「水上(みずかみ)」とともに記載され、水の流れ方向を明確に示す重要な指標となっています 。これらの用語は、防水工事や屋根工事において、雨水の適切な排水を実現するために不可欠な概念です 。
参考)建築図面に記載されている「水上」・「水下」とはどういう意味で…
水下の役割は単純に水を集めることだけではありません。建物全体の防水性能を左右する重要な要素として、以下のような機能を担っています。
水勾配(みずこうばい)とは、雨水や生活排水などの水をスムーズに流すために設けられる勾配(傾斜)のことを指し、水下はこの水勾配システムの終着点として機能します 。一般的な建築基準としては、「1mあたり1~3%(10~30mm)の勾配」が理想とされ、この勾配によって水が自然に水下へと流れるよう設計されています 。
参考)https://www.kyushu-paint.com/blog/4477
排水溝がある側が「水下」、排水口から離れている所が「水上」となり、床タイルを施工する時には水上と水下の位置を考慮する必要があります 。この関係性を正しく理解することで、効果的な排水システムを構築できます。
参考)「水勾配」の意味とは?水勾配の基礎知識と種類について
水勾配と水下の関係における重要なポイント。
屋根における水下は軒(のき)部分に位置し、特に金属屋根で水勾配が低い場合、水下での雨漏りに注意が必要です 。隅角部や縦はぜ周辺部の水切り板金との取り合い部では、毛細管現象により、わずかな板金同士の隙間から水が水上側へ上昇する現象が発生するため、特別な工夫が必要とされています 。
水下における施工では、特に防水工事において「水下から水上に」シートを貼ることが基本中の基本となります 。これは、水下のシートを水上のシートに重ねてしまうと、勾配により流された水がシートの隙間に入り込んでしまうためです 。
参考)水上?水下?
屋根工事においても同様の原則が適用され、アスファルトルーフィングの張り進めは「水下側から水上側へ」行うことが重要です 。これにより、雨水の浸入を効果的に防ぐことができます。
参考)ルーフィングを貼る順番
施工時の主要な注意点。
また、水下部分では漏水への特別な注意が必要であり、防水材料の選択や施工方法において、より厳格な品質管理が求められます 。特に陸屋根や大型建物では、水下部分に高排水システムを導入し、防水高さを300mm以上確保することが推奨されています 。
参考)水上(みずかみ) href="http://kenchikuyogo.com/?page_id=9429" target="_blank">http://kenchikuyogo.com/?page_id=9429amp;#8211; 建築用語集
現代建築では、水下の概念を活用した様々な排水システムが開発されています。陸屋根高排水システムでは、水下部分にサイフォン式の高排水マスを設置し、従来の排水能力を大幅に向上させています 。このシステムでは、ルーフドレンが150サイズでも、75サイズのたてといを使用することが可能になり、材料費削減と施工性向上を実現しています 。
参考)積水化学|大型建物用高排水雨とい「陸屋根高排水システム」製品…
建築設計図書では、屋上階基準床面において構造体天端とし、水上及び水下を明記することが基準として定められています 。これにより、設計段階から施工、維持管理まで一貫した品質管理が可能となります。
参考)https://www.mlit.go.jp/common/001157951.pdf
設計における水下活用の具体例。
特に物流倉庫や工場、店舗、教育・医療施設など幅広い建物で、水下を中心とした排水システムの最適化が図られており、たてといのサイズダウンを可能にする技術革新が進んでいます 。
水下部分は建物の排水システムの要であるため、定期的なメンテナンスが不可欠です。特に排水溝や雨樋の清掃、防水シートの点検、排水口の詰まり除去などは、建物の長寿命化に直結する重要な管理項目となります。
陸屋根やバルコニーでは、水下部分に水が滞留することで、コンクリートや木材の劣化、カビ・苔の発生、さらには構造体への悪影響が生じる可能性があります 。そのため、適切な水勾配の維持と水下機能の正常性確保が重要となります。
長期管理における重要ポイント。
また、寒冷地では水下部分での凍結による配管破損リスクがあるため、断熱対策や凍結防止措置が必要です 。適切な設計と施工により、これらのリスクを最小限に抑え、建物の安全性と耐久性を長期間維持することができます。