

モノコック構造とフレーム構造は、建築業界で使用される2つの主要な構造形式です。モノコックは「mono(単一)」と「coque(貝殻)」を組み合わせたフランス語由来の言葉で、貝殻のように外皮が構造を支える仕組みを指します。一方、フレーム構造は柱や梁といった骨組みで建物を支え、そこに壁や床を取り付ける伝統的な工法です。
参考)https://sekokan-navi.jp/magazine/62479
構造の最大の違いは、力の受け止め方にあります。木造軸組工法などのフレーム構造では、地震や風などの外部からの力を柱が交差する点で受け止めるため、接合部分に大きな力が集中します。これに対してモノコック構造は、各階を六面体の箱型パネルで構成しているため、外部の力を面で受け止めて分散させます。
建築におけるモノコック構造は、主に壁式工法を指し、2×4工法(ツーバイフォー工法)や2×6工法、木質パネル工法などがこれに該当します。北米では9割の住宅で2×4工法が採用されており、主要な枠組み木材が2インチ×4インチであることからこの名称が付けられました。
モノコック構造は、柱や梁などの骨組みを使用せず、壁そのものが強度を担う構造です。天井・床・壁の6面すべてに構造用耐力面材を使用することで、剛性の高い6面体構造を実現します。この構造により、地震や台風といった外部の力を建物全体で受け止め、吸収することができます。
参考)https://kunimatsu-k.com/column/4009/
建築における壁式工法では、2インチ×4インチの木材に合板を貼り合わせて壁構造体を作ります。この建築技法はマニュアル化されており、品質にばらつきが少なく、耐震性にも優れ、施工も短期間で行われます。さらに気密性や断熱性に優れたメリットもあります。
参考)https://media.suke-dachi.jp/glossary/design/monocoque-structure/
モノコック構造の特徴として、構造用合板(パネル)を使用することで、従来の構造と比べて軽量化が可能である点が挙げられます。航空機や自動車、鉄道車両、船舶など、様々な分野で採用されている実績があり、建築分野でも近年、地震や台風などの自然災害に強い住宅として注目を集めています。
フレーム構造は、車体や機体の骨格となるフレーム(骨組み)に、外板を取り付けて構成されます。このフレームが、建物全体の強度を支える役割を果たします。日本の在来の木造建築物では、木の柱や梁で組んだ軸組構造が伝統的に使用されてきました。
参考)https://www.hanamaru870.net/column/what-is-monocoque-structure/
木造軸組工法では、柱と梁の間に筋交い(すじかい)を入れることで、地震の揺れに対する強度を高めます。筋交いを適切に配置することで、揺れに耐える強い骨組みができあがり、耐力壁と組み合わせることで、より強固な構造を実現できます。
参考)https://www.living-motif-kiki.jp/co_diary/212a4977eff5157eaa8de10e1b933874.html
フレーム構造のメリットは、高い強度と耐久性です。外部からの衝撃をフレーム全体で受け止めるため、高い安全性を確保できます。また、修理が比較的容易であることも特徴で、損傷した部分だけを交換できるため、修理費用を抑えることが可能です。木材は鉄やコンクリートに比べて軽量でありながら、適度なしなやかさを持ち、このしなやかさが地震の揺れを吸収し、建物全体がバランスを保つのに役立ちます。
モノコック構造の最大のメリットは、耐震性の高さです。力が一点に集中しないため、大きな地震でも歪みにくい建物を造ることができます。建物には、耐力壁が地震の揺れに耐える核となる剛心と、建物の重さの核となる重心が存在し、このずれを示す偏心率が小さいほど耐震性に優れます。
耐力壁の強さは壁倍率という単位で表現され、0.5倍から最大5倍までで設定されています。壁倍率が高いほど、地震や台風などの水平方向からの力に強い建物となります。2×4工法では、震度7クラスの地震でも倒壊しないとされる耐震等級3に標準対応しています。
参考)https://okayama2x4guide.com/spec/%E3%83%84%E3%83%BC%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC-%E6%80%A7%E8%83%BD-%E8%80%90%E9%9C%87/
また、モノコック構造は6面で建物を支えるため、地震や台風などの外力をバランスよく受け止め、荷重を家全体に分散し、崩壊などを防ぎます。壁や床、天井が一体化した設計のため、気密性・断熱性に優れているのも特徴です。特に2×4工法の住宅は隙間が少ないため外気の影響を受けにくく、省エネルギー性能にも優れています。
参考)https://2110.jp/blog/entry-562200/
施工面では、建築方法がマニュアル化されているため、建築士の経験や実績とは関係なく、一定レベルの品質を得やすい傾向にあります。部品点数が少なく、製造が容易で大量生産ができるため、コストを抑えることができるというメリットもあります。
参考)https://car-me.jp/articles/8552
フレーム構造の大きなメリットは、設計の自由度が高いことです。柱や梁で構造を支えるため、壁の配置に制約が少なく、開口部を大きく取ったり、間取りの変更が容易にできます。リフォーム時に間取りを変更しやすいという特徴もあり、将来のライフスタイルの変化に対応しやすい構造です。
参考)https://www.nihonhouse-hd.co.jp/column/house-structure/
木造軸組工法では、近年では制震ダンパーや免震装置を組み合わせることも可能です。制震ダンパーは揺れを吸収し建物の損傷を抑え、免震装置は基礎部分で揺れを軽減し建物に伝わる力を和らげます。これらを活用することで、より安全な木造住宅を実現できます。
また、事故やクラッシュによってボディがゆがんでも、基本のフレームまでダメージがおよんでいなければ、走ることもできますし、修理も容易です。この容易さはメンテナンス性の高さにもつながっており、基本構造がシンプルなため、製造も簡単です。
参考)https://www.kurumaerabi.com/magazine/articles/847/
フレーム構造では、太い柱を使用するため、細い枠材を使う2×4工法より垂直方向の力に強いという利点もあります。正しい構造計算に基づいて建てられた木造軸組工法の住宅は、一般的な2×4工法の住宅よりも高い耐震性を持つことができます。
参考)https://www.idea-h.net/blog/mokuzou-jiku/
耐震性の比較では、どちらの構造が優れているかは一概には言えません。木造軸組工法は、地震の力に対抗する耐力壁を「筋かい」で構成しています。一方、2×4工法は耐力壁を「面材」で構成し、建物全体を面材で覆うことで耐力壁の量が増え、耐震性が高くなる傾向があります。
しかし、木造軸組工法でも外周部全面を面材で施工し、耐力壁の量を増やすことで、2×4工法と同等以上の耐震性を持つ住宅を作ることが可能です。建築基準法改正を経た現在では、ツーバイフォー工法と在来工法との間には、平均的な耐震性の差はないといえます。
参考)https://www.sakurajimusyo.com/guide/9294/
耐震性を高めるために最も重要なのは、工法そのものではありません。耐力壁の配置を計算する「構造計算」と、実際の地震動に対する損傷を検証する「耐震シミュレーション」をしっかり行うことが重要です。構造計算を行わないと、適切な箇所に部材を配置できず、家全体のバランスが悪くなる可能性があり、どれだけ頑丈な金物や建材を使用しても、不適切に配置されていてはその効果を発揮できず、耐震性が低くなります。
現場での選択基準としては、用途や求められる性能によって異なります。設計の自由度を重視し、将来の間取り変更を考慮する場合はフレーム構造が適しています。一方、高い耐震性能と気密性・断熱性を重視し、短期間での施工を希望する場合は、モノコック構造が適しています。実際の建築現場では、敷地条件、予算、建主の要望、地域の気候条件などを総合的に判断して選択することが求められます。
参考)https://ainavi.jp/portal/industory/%E3%83%A9%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E6%A7%8B%E9%80%A0%E3%81%A8%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83/