ねじ込みフランジ10k規格完全ガイド

ねじ込みフランジ10k規格完全ガイド

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ねじ込みフランジ10k規格詳細解説

ねじ込みフランジ10k規格の基礎知識
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規格概要

JIS B 2239準拠の耐圧1.0MPa以下フランジ

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材質特性

球状黒鉛鋳鉄製で従来比1.5倍以上の強度

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適用範囲

水・空気・蒸気・ガス配管の接続部材

ねじ込みフランジ10k規格基準と寸法

ねじ込みフランジ10k規格は、JIS B 2239-2013に準拠した鋳鉄製管フランジの中でも特に重要な位置を占める配管部材です。呼び圧力10Kの「K」は1000を表し、実際の耐圧は1.0MPa(約10.2kgf/cm²)以下での使用が標準となります。
基本寸法については、呼び径15A(1/2インチ)から150A(6インチ)まで幅広く規格化されており、各サイズごとに外径D、厚さt、ボルト穴中心円径C、ボルト本数などが厳密に定められています。

  • 呼び径15A: 外径95mm、厚さ12mm、ボルト穴4個
  • 呼び径25A: 外径125mm、厚さ14mm、ボルト穴4個
  • 呼び径50A: 外径155mm、厚さ16mm、ボルト穴4個
  • 呼び径100A: 外径210mm、厚さ18mm、ボルト穴8個

ねじの種類はRcねじ(JIS B 0203管用テーパねじ)が採用され、フランジ内径にメスねじが切られています。この設計により配管端部のオスねじとの確実な気密接続が可能となっています。
温度・圧力特性では、-10℃から120℃の範囲で1.4MPa以下、300℃で1.0MPa以下の使用が推奨されており、一般的な建築設備配管において十分な性能を発揮します。

ねじ込みフランジ10k材質選定方法

ねじ込みフランジ10kの材質選定は、使用環境と要求性能に基づいて慎重に行う必要があります。主要材質として球状黒鉛鋳鉄(FCD450-10)が標準採用されており、従来のねずみ鋳鉄と比較して1.5倍以上の強度を持つ優れた特性があります。
材質別特徴比較
🔹 球状黒鉛鋳鉄(FCD450-10)

  • 引張強度: 450N/mm²以上
  • 耐衝撃性: 優秀
  • 耐食性: 標準(表面処理により向上)
  • 加工性: 良好

🔹 黒心可鍛鋳鉄(FCMB)

  • 靭性: 高い
  • 耐震性: 優秀
  • 温度変化対応: 良好
  • コスト: やや高価

表面処理の選択も重要な要素で、使用環境に応じて以下の4種類から選定します:

  • 白(溶融亜鉛めっき: 最も一般的で耐食性に優れる
  • 黒(鋳放し): コスト重視の屋内配管用
  • コート(樹脂コーティング): 化学的耐性が必要な場合
  • ステンレス(SUS304): 高い衛生性と耐食性が要求される食品・医薬用途

選定時には流体の種類、圧力、温度、腐食性、設置環境(屋内・屋外)、メンテナンス性を総合的に検討することが重要です。特に地震対策として、転造ねじ採用品を選択することで耐震性を大幅に向上させることができます。

ねじ込みフランジ10k施工注意点

ねじ込みフランジ10kの施工では、適切な手順と注意事項の遵守が漏洩防止と長期性能確保の鍵となります。施工前の準備として、配管端部のねじ切り精度確認とフランジ内径ねじの清掃が必須です。
施工手順と重要ポイント
🔧 ねじ切り作業

  • 配管端部にRcねじ(管用テーパねじ)を正確に切削
  • ねじ山の損傷や異物付着がないよう丁寧に仕上げ
  • ねじゲージによる精度確認を必ず実施

🔧 シール材施工

  • 配管側オスねじにシールテープを時計回りに3-5回巻付け
  • テープの重ね巻きでシール性を向上
  • 液状シール材併用時は適量塗布に注意

🔧 締付け作業

  • 手締めで確実に嵌合させた後、パイプレンチで本締め
  • 過度な締付けによるねじ山損傷を避ける
  • 締付けトルクは材質とサイズに応じて適正値を維持

現場での注意事項
漏洩が発生した場合は、一度完全に取り外してシールテープを巻き直す必要があります。部分的な増し締めでは根本的解決にならないため、適切な再施工が重要です。
また、火気使用制限エリアでの作業において、ねじ込み式は溶接不要のため安全性が高く、現場での取付け・取外しが容易な利点があります。ただし、高温・高圧用途では他の接続方式と比較して制約があることを理解し、適用範囲を守ることが必要です。
定期点検では、ねじ部の腐食状況、フランジ面の平面度、ボルトの締付け状態を確認し、異常があれば速やかに交換することで長期的な信頼性を確保できます。

 

ねじ込みフランジ10k選定基準とメリット

ねじ込みフランジ10kの選定は、設計圧力と使用温度を基準とした体系的なアプローチが重要です。一般的に最高使用圧力を設計水圧(静水圧+水撃圧)として選定を行います。
圧力・温度別選定基準
📊 10Kフランジ適用範囲

  • 静水圧0.8MPa + 水撃圧0.55MPa = 設計水圧1.35MPa → 10K選定
  • 使用温度: -20℃~220℃(圧力により変動)
  • 適用流体: 水、空気、蒸気、ガス、油など非腐食性流体

他規格との比較選定

  • 5K規格: 設計水圧1.3MPa以下で経済性重視
  • 16K規格: 設計水圧2.2MPa以下で高圧対応
  • 20K規格: 設計水圧2.8MPa以下で最高圧力対応

ねじ込みフランジの主要メリット
🌟 施工性の優位性

  • 溶接作業不要で火気使用制限エリアでも安全施工可能
  • 専門的な溶接技術者が不要でコスト削減効果
  • 現場での取付け・取外しが容易でメンテナンス性良好

🌟 経済性の利点

  • 初期投資コストが他の接続方式と比較して安価
  • 標準化された規格部品で入手性良好
  • 部分交換が容易で長期的維持費用を抑制

🌟 設計自由度

  • 配管ルートの変更や改造工事への対応が柔軟
  • フランジ接続部での方向調整が容易
  • 異径接続や分岐配管への適用範囲が広い

選定時の注意点として、ねじ込み部の気密性には限界があるため、危険性の高い流体や完全密閉が要求される用途では他の接続方式の検討が必要です。また、振動の多い環境では定期的な増し締めメンテナンスが重要となります。
建築設備における実用性では、空調配管、給排水配管、消火配管など幅広い用途で採用されており、特に改修工事や部分更新において威力を発揮します。

 

ねじ込みフランジ10k耐震対策と将来性

近年の建築基準強化に伴い、ねじ込みフランジ10kにおいても耐震性能の向上が重要課題となっています。特に転造ねじ技術の採用により、従来の切削ねじと比較して大幅な性能向上が実現されています。
耐震性能向上技術
🏗️ 転造ねじの優位性

  • ねじ山の繊維流れが連続し、疲労強度が約30%向上
  • 表面硬度の向上により耐摩耗性が大幅アップ
  • 地震時の繰返し応力に対する耐性が飛躍的に向上

🏗️ プレシールコア技術

  • 工場でのシール材一体成形により現場作業を簡素化
  • シール材の流出防止で長期安定性を確保
  • ねじ込みトルクの軽減により施工性も向上

将来展望と技術革新
デジタル技術の進展により、IoTセンサー内蔵型フランジの開発も進んでいます。圧力・温度・振動をリアルタイム監視し、予防保全への活用が期待されています。

 

材料技術では、より軽量で高強度な新合金の研究が進行中で、特に高層建築物での重量軽減効果が注目されています。また、3Dプリンティング技術の活用により、複雑形状の特注品製造コストが大幅に削減される可能性があります。

 

環境配慮型設計として、リサイクル性の向上と製造時のCO₂削減を目指した材料開発も活発化しており、建築業界のSDGs対応にも貢献しています。

 

法規制対応と品質管理
建築基準法の改正に伴う耐震基準強化により、フランジ接続部の品質管理がより厳格化されています。施工記録のデジタル化、QRコードによるトレーサビリティ確保、定期点検システムの標準化が今後の重要課題となります。

 

特に公共建築物では、30年以上の長期使用を前提とした耐久性評価が必須となっており、ねじ込みフランジ10kもこうした要求に対応した製品開発が求められています。

 

参考リンク:JIS規格フランジの詳細寸法と選定方法について
https://www.showavalve.co.jp/flange/jis-10k/
参考リンク:配管用フランジの耐震設計指針と施工基準について
https://www.jdpa.gr.jp/qa/basic/search/search_35.html
参考リンク:ねじ込みフランジの材質特性と選定基準詳細情報
https://metoree.com/categories/5604/