

ニブラは、左右一対のアーム先端に「歯」が付いたハサミ状のアタッチメントで、油圧シリンダーによる強力な挟み込みでコンクリートや鉄骨を粉砕・切断する装置です。
一般に「油圧圧砕機」「クラッシャー」と呼ばれるもののうち、構造物を挟んで壊すタイプが現場ではニブラと呼ばれることが多く、ピン径や取付フランジで油圧ショベルに直結します。
重機側は主にバックホウ(油圧ショベル)で、ブーム先端のアタッチメント交換機構を利用してバケットからニブラへ付け替えます。
参考)重機のアタッチメントとは?種類と特徴、使用時の注意点を解説
アームと歯の開閉は、ショベル本体から供給される作動油をニブラ側の油圧シリンダーに送ることで行われ、開口幅と押しつぶし力で性能が決まります。chukyo-juki+1
ニブラの歯の根元付近には、鉄筋や鉄骨を切断できるカッター刃が組み込まれている機種も多く、コンクリート圧砕と同時に鉄筋切断もこなせる「兼用機」として活躍します。kamiike-kaitai+1
こうした構造により、コンクリート造だけでなく鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造など、混在した構造物の解体にも一台で対応できるのが特徴です。
参考)解体重機のアタッチメントの種類まとめ!作業例や必要な資格まで…
ニブラは、先端がとがった歯で「ひっかけて引き裂く」動きも行えるため、スラブのめくりや壁面の剥がしなど、単なる圧砕以外の動きにも対応できます。chukyo-juki+1
旋回機構付きのモデルでは、アタッチメント自体を360度回転させられ、狭い現場や高所部材の解体でも、最適な向きでかみつける点がメリットです。
参考)解体現場で活躍する「油圧ショベル用アタッチメント」。
ニブラ系アタッチメントは、大きな構造物を一気に壊す「大割機」と、ガラを細かく砕く「小割機」、鉄骨を主体に切る「鉄骨カッター」などに分かれます。
大割機はビル本体や橋梁など、大断面のコンクリートをつかみ、クワガタのアゴのような大きな歯で圧砕するのが特徴で、内部の鉄筋も同時に切断できるタイプもあります。
小割機は、大割機やブレーカで粗く砕いたコンクリートガラをさらに細かく粉砕し、運搬性や分別性を高める目的で使われ、旋回装置を持たないシンプルな構造が一般的です。
鉄骨カッターは、一見するとニブラと似たハサミ形状ですが、2枚の刃がピッタリかみ合うように設計されており、H鋼や鉄骨梁を確実に切断することに特化しています。kamiike-kaitai+1
ブレーカやハンマーアタッチメントは打撃で粉砕するため、床版や躯体の「はつり」に適していますが、粉じんや騒音が増えやすく、鉄筋とコンクリートの分別には手間がかかります。tomoyama-group-recruit+2
ニブラやクラッシャーは挟み潰しと切断で解体するため、比較的静かで粉じんも抑えやすく、コンクリートと鉄筋の分離がしやすい点が環境面で評価されています。arav+1
実際の現場では、大割機で建物本体を崩し、小割機でガラを処理し、鉄骨カッターやグラップルで分別・積み込みまで一連の流れを組むことで、重機1~2台と数種類のアタッチメントで解体を完結させるケースもあります。chukyo-juki+1
ニブラの種類を揃えることで、「壊す」「砕く」「つかむ」「切る」を同じ重機ベースで回せるようになり、台数を増やさずに工程全体を効率化できるのがポイントです。arav+1
ニブラを選ぶ際は、「対象構造物」「解体方法」「重機クラス」の3点を必ずセットで考える必要があり、特に開口幅と最大圧砕力は構造物のサイズに直結します。
例えば、小型の1〜2tクラス油圧ショベルに装着できるニブラは、全長1m前後・ピン径30mm程度で、外構や小規模建物の基礎解体に向いています。
中〜大型の解体現場では、20tクラス以上の解体機に大開口の大割機を装着し、厚い柱や梁を一気に挟み込めるようにすることで、打撃機では難しいスピードで主要構造部を崩していきます。sekokan-navi+1
その一方で、都市部や狭小地の解体では、超小旋回のミニショベルに小型ニブラを付け、室内や隣地との離隔が少ない場所で静かに解体するなど、「小型+ニブラ」という組み合わせが選ばれることも増えています。sekokan-navi+1
自動車リサイクル分野では、ニブラ重機を用いて車体をつかみ、エンジンや配線ハーネスを引きはがして解体する専用機もあり、従来の「ショベル+グラップル」と比べて作業効率と分別精度を高めています。kobelco-kenki+1
こうした専用機では、ニブラの爪形状がワイヤーハーネスや燃料タンクを傷つけにくいよう工夫されており、「解体+リサイクル性」の両立を目指した設計がなされています。re-ver+1
選定時の盲点として、ニブラの自重が重機の作業半径や足回りへの負担に与える影響があります。開口幅だけを優先して重い機種を選ぶと、ブームを伸ばしたときの安定性や旋回速度が落ちるケースもあり、総合的なマッチングが重要です。sekokan-navi+1
また、解体現場ではアタッチメントの付け替えサイクルも多いため、クイックヒッチや専用カプラに対応したモデルを選ぶと、バケット⇔ニブラ⇔グラップルの交換時間を短縮でき、安全帯を付けた作業員が下に入る回数も減らせます。kamiike-kaitai+1
ニブラは「壊す道具」であると同時に、油圧機器として繊細な部分も多く、ピン・ブッシュのガタやシリンダーロッドの傷、ホースの擦れを放置すると、ある日突然の油漏れや動作不良につながります。
特に、歯の先端が摩耗するとコンクリートに噛み込みにくくなり、かえってショベル側の負荷が増えるため、歯先の肉盛りや交換タイミングを管理することが、結果的に重機寿命の延命にもなります。
他のアタッチメントと比べて意外に重要なのが、ニブラの「旋回部」のグリス管理です。旋回タイプのニブラでは、旋回ギヤやベアリング部分がこまめな給脂を前提に設計されており、給脂を怠ると旋回の引っ掛かりや異音が出て、作業性が急激に落ちます。ipros+1
また、圧砕時に発生する衝撃がショベル本体に伝わりやすいため、ショベルブーム付け根のピンや旋回ベアリングの点検周期も、ニブラを頻用する現場ほど短く設定するのが望ましいとされています。ipros+1
現場運用で差が出やすいポイントとして、ニブラの「かみつき位置」の工夫があります。例えば、大きな壁を壊す際に、中心を狙うのではなく、柱や梁との接合部を重点的にかむことで、少ないストロークで構造を崩せるため、時間と燃料の節約になります。chukyo-juki+1
同様に、鉄筋コンクリートのスラブでは、まず端部を挟み、鉄筋の方向を意識しながら「鉄筋に沿って引き裂く」ように操作すると、鉄筋とコンクリートが分離しやすく、後工程の切断や分別がスムーズになります。re-ver+1
安全面では、ニブラによる圧砕は解体物の飛散が発生するため、作業半径内への立ち入り規制と、つかんだ部材の「落とし先」を常に確保することが不可欠です。sekokan-navi+1
特に、自動車リサイクルで車両を持ち上げて解体する際には、燃料やオイルの残量・配線の引き抜き方向を誤ると、飛散や引火のリスクがあり、専用のマニュアルと教育を受けたオペレータの配置が求められます。kobelco-kenki+1
解体現場のイメージが強いニブラですが、自動車リサイクルや家電リサイクルの分野では、配線やパイプを「つかみつつ選び取る」用途で使われるケースが増えており、従来のグラップルでは難しかった精密な分別にも使われています。
このような現場では、爪先の形状が細く絞られた専用ニブラによって、エンジンルームの奥からハーネスを抜き取り、ラジエーターやコンデンサー、触媒などを順番に取り外すなど、ほぼ「巨大な手先」のような作業が実現されています。
また、金属解体機と組み合わせたアタッチメントでは、ニブラで外板や骨格を解体しつつ、ネイルプーラなどの爪形プーラでハーネスや配線を引き抜くなど、環境対応を意識した複合的なシステムも登場しています。
参考)https://www.kobelco-kenki.co.jp/products/environment/metal/pdf/metal_dismantling_machine.pdf
これにより、鉄・アルミ・銅・樹脂といった素材を現場である程度分別でき、リサイクル工場側の負担を減らしつつ資源回収率を高める方向に進化しています。re-ver+1
今後は、ニブラにセンサーやカメラを組み合わせ、解体対象の形状や荷重をモニタリングしながら自動で圧砕力を最適化するような、スマートアタッチメントの開発も期待されています。sekokan-navi+1
すでに一部の重機メーカーでは、解体機側に作業モードを設定して油圧や動作速度を自動調整する機能を搭載しており、ニブラ専用モードと組み合わせることで、オペレータの熟練度に依存しない安定した作業が可能になるとされています。kobelco-kenki+1
建築現場においても、従来はブレーカ主体だった小規模解体を、低騒音・低振動を理由に小型ニブラへ切り替える動きがあり、騒音規制の厳しい都市部や夜間工事で採用が進む余地があります。sekokan-navi+2
ニブラ 重機 アタッチメントを「壊す道具」から「環境性能と作業効率を両立させるツール」として位置づけ直すことで、現場ごとの最適な機種選定と新しい活用シーンが、今後さらに広がっていくでしょう。re-ver+2
ニブラや他の重機アタッチメントの種類と特徴、使用時の注意点を体系的に整理した解説で、本記事の「基本構造と種類」「選定基準」の補足になります。
重機のアタッチメントとは?種類と特徴、使用時の注意点を解説
解体現場で使われる油圧ショベル用アタッチメント(大割機・小割機・鉄骨カッターなど)の役割と違いを具体的な写真付きで説明しており、「大割・小割・鉄骨カッターの違い」の参考になります。
解体現場で活躍する「油圧ショベル用アタッチメント」
ニブラ重機を活用した自動車リサイクルの現場紹介で、環境対応や資源回収の観点からの活用事例が詳しく解説されており、「まだ知られていない活用シーン」の参考になります。
ニブラ重機の活躍~匠の技術と環境革新で自動車リサイクルを変える