横断歩道寸法一覧と設置基準規格まとめ

横断歩道寸法一覧と設置基準規格

横断歩道の標準寸法と幅員規格

横断歩道の基本寸法は、国土交通省の「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」により厳格に規定されています。標準的な横断歩道の寸法は以下の通りです。

• 横断歩道本体：長さ3m、幅45cm、間隔45cm
• 全体幅員：原則として4m以上（最小限度3m）
• ペイント幅：白線部分45cm幅で統一

この寸法規格は交通安全の観点から設計されており、歩行者の安全な横断と車両からの視認性を両立させています。特に幅員については、横断歩行者数と歩行者の横断に割り当てられる現示時間等に関係し、当該平面交差の実情に応じて設定されますが、個々の平面交差ごとに交通量に応じて幅員を変化させることは好ましくないとされています。

 

建設現場では、これらの寸法を正確に守ることが法的義務であり、施工不良による事故の責任問題にも直結するため、測量段階での入念な確認が不可欠です。

 

横断歩道の設置に関する詳細な技術基準
https://www.mlit.go.jp/road/sign/kijyun/kukaku/ss-kukaku-index.html

横断歩道設置位置と間隔基準

横断歩道の設置位置は、車両の動線と歩行者の安全性を考慮した精密な基準で決定されます。主要な設置基準は以下の通りです。

• 細街路入口：幹線道路に取付く細街路の入口では、歩車道境界の延長線上から最低1m程度下げて設置
• 平面交差点：左折車と横断歩行者の交錯を避けるため、取付部の歩道縁石延長線上から3～4m下げて設置
• 信号機設置箇所：停止線から横断歩道までの距離は交通流を阻害しない適切な間隔を確保

これらの基準は、左折する車両が横断歩行者を視認しやすくし、視認した後の停止距離を考慮して策定されています。設計車両（小型車両）の長さ4.7mを基準とした計算により、安全な離隔距離が算出されています。

 

実際の施工では、既存道路との取り合いや地形的制約により、基準通りの設置が困難な場合もありますが、安全性を損なわない範囲での調整が求められます。

 

停止線と関連路面標示の寸法規格

横断歩道と密接に関連する停止線や路面標示の寸法も、統一された規格で管理されています。
停止線の規格

• 標準幅：30cm（単車線）
• 2車線以上：45cm幅
• 材質：白色ペイントまたは高輝度反射材

関連路面標示の寸法

• 車道中央線：幅15cm、破線は5m間隔
• 車線境界線：一般道5m間隔、高速道路12m間隔で8m破線
• ゼブラゾーン：幅45cm、1m間隔、角度45°、外周幅15cm
• バス停標示：2m間隔、幅30cm

これらの路面標示は横断歩道の機能を補完し、交通流の整理と歩行者の安全確保に重要な役割を果たしています。施工時は各標示間の位置関係と寸法精度の確保が求められ、特に停止線と横断歩道の位置関係は交通安全上極めて重要です。

 

興味深いことに、高速道路と一般道では破線の間隔が大きく異なり、これは走行速度の違いによる視認性と車間距離の判断基準を考慮した設計となっています。

 

横断歩道橋と地下通路の寸法規格

立体横断施設である横断歩道橋と地下横断歩道にも、詳細な寸法規格が定められています。
横断歩道橋の規格

• 橋面幅員：最小2m以上（自転車・車椅子考慮時は3m以上）
• 階段幅員：2.0m標準
• 蹴上げ高：15cm（18cm以下）
• 踏み幅：30cm（26cm以上）
• 内空高：2.5m以上

地下横断歩道の規格

• 通路幅員：最小3m以上（自転車・車椅子考慮時は4m以上）
• 階段幅員：表8-4に準拠
• 内空高：2.5m以上
• 斜路勾配：25%程度で蹴上げ高12.5～15cm

これらの立体横断施設は、交通量が多い幹線道路や学校周辺など、平面横断が困難な箇所に設置されます。設計時は利用者の安全性と利便性を最優先とし、高齢者や身体障害者の利用も考慮したバリアフリー設計が求められます。

 

施工管理においては、構造計算に基づく強度確保と、利用者の動線を考慮した仕上げ精度の確保が重要なポイントとなります。

 

立体横断施設の技術基準詳細
https://www.jsce.or.jp/

横断歩道の維持管理における寸法チェックポイント

横断歩道の維持管理では、経年劣化による寸法変化や機能低下を防ぐため、定期的な点検と補修が必要です21。主要なチェックポイントは以下の通りです。
寸法精度の点検項目

• ペイント幅の測定：45cm幅の維持確認
• 間隔寸法の確認：45cm間隔の正確性
• 全体幅員の測定：設計幅員との整合性確認
• 設置位置の確認：停止線との距離関係

機能性の評価基準

• 反射性能：夜間視認性の確保レベル
• 滑り抵抗：雨天時の安全性確保
• 色彩鮮明度：白色度の維持状況
• 表面平滑性：車椅子等の通行性

維持管理業務では、単純な補修だけでなく、交通量の変化や周辺環境の変化に応じた寸法規格の見直しも検討されます。特に商業施設の新設や交通信号の変更により、横断歩道の利用パターンが変化した場合は、幅員の拡張や設置位置の調整が必要になることもあります。

 

実務的な観点では、補修工事の施工計画立案時に、交通規制の最小化と工事品質の確保を両立させる施工方法の選定が重要な技術課題となります。また、使用材料の選定では、耐久性とコスト効率のバランスを考慮した最適解の導出が求められます。

 

近年では、IoT技術を活用した横断歩道の状態監視システムも導入され始めており、リアルタイムでの寸法変化や劣化状況の把握が可能になりつつあります。これにより、予防保全的な維持管理手法への転換が進んでいます。