親子扉寸法一覧完全ガイド建築設計必須

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親子扉寸法一覧

親子扉寸法の基礎知識
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W呼称とH呼称

親子扉の基本寸法表記方法と標準サイズ展開

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有効開口寸法

実際に使用できる開口幅の計算と確認方法

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枠見込み寸法

壁厚に応じた枠材選定と納まり寸法

親子扉の基本寸法規格と標準サイズ

親子扉の寸法は、W呼称(幅)とH呼称(高さ)で表記されます。メーカー各社で共通する標準的なW呼称には以下があります。

  • W06(648mm):コンパクトな住宅向け
  • W07(780mm):一般的な住宅玄関サイズ
  • W08(824mm):ゆとりのある開口
  • W12(1188mm):親子扉の標準的サイズ
  • W13(1324mm):大型の親子扉
  • W14(1454mm):商業施設向け
  • W16(1644mm):特大サイズ
  • W18(1824mm):最大級の親子扉

H呼称については、H20(2023mm)が最も一般的で、枠外寸法から約40.5mm差し引いた実寸法(1982.5mm)となります。

 

親扉と子扉の幅比率は、一般的に親扉が全体の約2/3、子扉が約1/3の配分となっており、これにより日常使用では親扉のみの開閉で十分な通行幅を確保できます。

 

親子扉メーカー別寸法比較一覧表

主要メーカーの親子扉寸法を比較すると、基本的なW呼称は統一されているものの、枠見込み寸法や有効開口寸法に差があります。

 

LIXIL製親子扉寸法表

W呼称 枠外寸法 A寸法 B寸法 C寸法
W07 780mm 752mm 657mm -
W12 1188mm 1116mm 991mm 657mm

YKK AP製親子扉寸法

  • ヴェナートD30シリーズ:4.5尺親子(1365mm相当)
  • イノベストD50シリーズ:形材断熱枠対応
  • プロントシリーズ:DH=23・20対応

メーカー間で異なる重要な寸法として、枠見込み寸法があります。LIXILでは90mm、115mm、156mm、171mm、180mmの5種類を展開し、壁厚に応じた適切な選択が可能です。

 

親子扉有効開口寸法の正確な計算方法

有効開口寸法は設計上最も重要な要素の一つです。計算式は以下の通りです。
基本計算式

  • A寸法 = W呼称 - 123mm(標準ドア)
  • B寸法 = W呼称 - 68mm
  • DW寸法 = W呼称 - 56mm(親子扉)

具体例:W12(1188mm)の場合

  • A寸法:1188 - 123 = 1065mm
  • B寸法:1188 - 68 = 1120mm
  • C寸法:657mm(子扉単独開口)

親子扉では、親扉のみ開放時の有効開口(B寸法)と、親子扉両方開放時の有効開口(A寸法)を区別して考える必要があります。日常的な通行では親扉のみを使用するため、B寸法が実際の使い勝手を左右します。

 

沓摺(くつずり)の種類によっても有効開口は変化し、埋込沓摺使用時は段差2mm、ツバ付薄沓摺では段差2.5mmが生じます。

 

親子扉設計時の重要チェックポイント

設計段階で見落としがちな寸法要素について詳しく解説します。

 

ケースハンドル位置の標準化
ケースハンドルの取付高さは、扉下端から950mmが標準です。この寸法は建築基準法に基づく使いやすさを考慮した高さで、車椅子利用者にも配慮されています。

 

枠見込み寸法の選定基準
壁厚に応じた枠見込み寸法の選定は以下を基準とします。

  • 90mm:軽量鉄骨造(LGS)
  • 115mm:木造在来工法標準
  • 156mm:RC造・ALC造
  • 171mm:厚壁RC造
  • 180mm:特厚壁対応

召し合わせ部の寸法確保
親子扉の召し合わせ部分では、気密性と開閉性能を両立させるため、適切なクリアランスが必要です。一般的に3-5mmのクリアランスを設けますが、防火扉の場合はより厳密な基準があります。

 

親子扉納まり図面での寸法確認実践法

実際の施工において、図面から正確な寸法を読み取る技術は不可欠です。

 

縦断面図での確認項目

  • 沓摺の種類と段差寸法
  • 上枠との取合い寸法
  • ドアクローザー取付スペース
  • 梁下との離隔寸法

横断面図での確認項目

  • 枠見込みと壁厚の関係
  • 躯体開口寸法との関係
  • 額縁(ケーシング)の納まり
  • 防水・気密材の取付位置

特に重要なのは、躯体開口寸法と枠外寸法の関係です。一般的に躯体開口は枠外寸法より左右各15-20mm、上部10-15mm大きく取りますが、施工誤差を考慮して余裕を持った開口計画が必要です。

 

ALC納まり特有の注意点
ALC造では、枠取付用のアンカーボルト位置が重要です。ALCパネルの継目を避けた取付位置の検討と、防水・断熱性能の確保が設計段階での重要なチェックポイントとなります。

 

防火扉の場合は、建築基準法に基づく性能維持のため、メーカー指定の納まり図を厳密に守る必要があり、現場での寸法変更は基本的に不可能です。

 

これらの寸法確認を怠ると、現場での手戻りや性能不足につながるため、設計段階での入念なチェックが施工成功の鍵となります。