
親子扉の寸法は、W呼称(幅)とH呼称(高さ)で表記されます。メーカー各社で共通する標準的なW呼称には以下があります。
H呼称については、H20(2023mm)が最も一般的で、枠外寸法から約40.5mm差し引いた実寸法(1982.5mm)となります。
親扉と子扉の幅比率は、一般的に親扉が全体の約2/3、子扉が約1/3の配分となっており、これにより日常使用では親扉のみの開閉で十分な通行幅を確保できます。
主要メーカーの親子扉寸法を比較すると、基本的なW呼称は統一されているものの、枠見込み寸法や有効開口寸法に差があります。
LIXIL製親子扉寸法表
W呼称 | 枠外寸法 | A寸法 | B寸法 | C寸法 |
---|---|---|---|---|
W07 | 780mm | 752mm | 657mm | - |
W12 | 1188mm | 1116mm | 991mm | 657mm |
YKK AP製親子扉寸法
メーカー間で異なる重要な寸法として、枠見込み寸法があります。LIXILでは90mm、115mm、156mm、171mm、180mmの5種類を展開し、壁厚に応じた適切な選択が可能です。
有効開口寸法は設計上最も重要な要素の一つです。計算式は以下の通りです。
基本計算式
具体例:W12(1188mm)の場合
親子扉では、親扉のみ開放時の有効開口(B寸法)と、親子扉両方開放時の有効開口(A寸法)を区別して考える必要があります。日常的な通行では親扉のみを使用するため、B寸法が実際の使い勝手を左右します。
沓摺(くつずり)の種類によっても有効開口は変化し、埋込沓摺使用時は段差2mm、ツバ付薄沓摺では段差2.5mmが生じます。
設計段階で見落としがちな寸法要素について詳しく解説します。
ケースハンドル位置の標準化
ケースハンドルの取付高さは、扉下端から950mmが標準です。この寸法は建築基準法に基づく使いやすさを考慮した高さで、車椅子利用者にも配慮されています。
枠見込み寸法の選定基準
壁厚に応じた枠見込み寸法の選定は以下を基準とします。
召し合わせ部の寸法確保
親子扉の召し合わせ部分では、気密性と開閉性能を両立させるため、適切なクリアランスが必要です。一般的に3-5mmのクリアランスを設けますが、防火扉の場合はより厳密な基準があります。
実際の施工において、図面から正確な寸法を読み取る技術は不可欠です。
縦断面図での確認項目
横断面図での確認項目
特に重要なのは、躯体開口寸法と枠外寸法の関係です。一般的に躯体開口は枠外寸法より左右各15-20mm、上部10-15mm大きく取りますが、施工誤差を考慮して余裕を持った開口計画が必要です。
ALC納まり特有の注意点
ALC造では、枠取付用のアンカーボルト位置が重要です。ALCパネルの継目を避けた取付位置の検討と、防水・断熱性能の確保が設計段階での重要なチェックポイントとなります。
防火扉の場合は、建築基準法に基づく性能維持のため、メーカー指定の納まり図を厳密に守る必要があり、現場での寸法変更は基本的に不可能です。
これらの寸法確認を怠ると、現場での手戻りや性能不足につながるため、設計段階での入念なチェックが施工成功の鍵となります。