
水性塗料は、その名の通り水を主な溶剤として使用している塗料です。水で希釈するため、シンナーなどの有機溶剤を使用する油性塗料と比較して、臭いが少なく環境にやさしいという大きな特徴があります。
水性塗料の主な成分は以下の通りです。
水性塗料は乾燥する際に水分が蒸発するだけなので、油性塗料のような強い臭いがほとんどしません。そのため、室内での使用や、臭いに敏感な方がいる環境での塗装に適しています。
また、シックハウス症候群の原因となるVOC(揮発性有機化合物)の排出量が少なく、室内環境基準F☆☆☆☆を満たした製品が多いのも特徴です。使用した道具も水道水で洗うことができるため、取り扱いが簡単で初心者にも扱いやすい塗料といえます。
油性塗料は、シンナーなどの有機溶剤を主な溶剤として使用している塗料です。水性塗料と比較して、耐久性の高さと仕上がりの美しさが大きな特徴となっています。
油性塗料の主な成分は以下の通りです。
油性塗料に含まれる樹脂が耐久性の高い塗膜を形成します。塗装直後はハケ跡やローラー跡が目立ちますが、乾燥とともにそれらが消え、均一で美しい仕上がりになるのが特徴です。
また、表面張力が低いため細部への浸透性が高く、これも耐久性の向上につながっています。環境条件に左右されにくく乾燥が早いこと、密着性が高いため様々な素材に塗装できることもメリットです。特に金属部分への塗装や、下地塗りを省略できる場合もあり、水性塗料では対応が難しい場所の塗装に適しています。
水性塗料と油性塗料それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
水性塗料のメリット
水性塗料のデメリット
油性塗料のメリット
油性塗料のデメリット
これらのメリット・デメリットを考慮し、塗装する場所や目的、環境条件などに合わせて適切な塗料を選ぶことが重要です。
水性塗料と油性塗料は、それぞれの特性を活かして使い分けることで、より効果的な塗装が可能になります。適した使用場所について見ていきましょう。
水性塗料が適している場所
油性塗料が適している場所
一般的な使い分けとしては、「室内では水性塗料、屋外では油性塗料」という選択が多いですが、近年は高性能な水性塗料も開発されており、外壁にも水性塗料を使用するケースが増えています。ただし、屋根や金属部分など特に過酷な環境にさらされる部分には、依然として油性塗料の使用が推奨されています。
素材との相性も重要な選択基準です。窯業系サイディングやモルタルには水性塗料が適していますが、金属素材には油性塗料の方が密着性が高く、サビ止め効果も期待できます。ただし、下塗り材の工夫次第では、金属素材にも水性塗料を使用することが可能です。
水性塗料と油性塗料を重ね塗りする場合、相性の問題が発生することがあります。適切な重ね塗りのためには、以下の点に注意が必要です。
油性塗料の上に水性塗料を塗る場合
水性塗料の上に油性塗料を塗る場合
重ね塗りを成功させるためのポイント
特に水性塗料の上にクリア塗装をする場合は注意が必要です。水性塗料は油性塗料に比べて乾燥時間が短く、重ね塗りのタイミングが重要になります。乾燥時間が不十分な状態でクリア塗装をすると、塗料が剥がれたりムラになったりすることがあります。
また、クリア塗料にも水性と油性があります。水性塗料の上には原則として水性クリア塗料を使用し、油性クリア塗料を使用すると塗料が剥がれたり変色したりする可能性があるため注意が必要です。
近年、環境問題への意識の高まりから、塗料の環境への影響も重要な選択基準となっています。水性塗料と油性塗料の環境への影響と、業界の最新動向について見ていきましょう。
環境への影響
水性塗料は、VOC(揮発性有機化合物)の排出量が少なく、環境への負荷が小さいという大きなメリットがあります。VOCは大気汚染やオゾン層破壊の原因となるだけでなく、シックハウス症候群などの健康被害を引き起こす可能性もあります。
一方、油性塗料は有機溶剤を含むため、VOCの排出量が多く、環境への負荷が大きいという課題があります。また、シンナーなどの有機溶剤は引火性が高く、保管や廃棄にも注意が必要です。
業界の最新動向
環境規制の強化に伴い、VOC排出量を抑えた低VOC塗料や、VOCをほとんど含まない無VOC塗料の開発が進んでいます。これらは従来の水性塗料よりもさらに環境への影響が少ない製品です。
従来の油性塗料よりも刺激の少ない「弱溶剤」を使用した塗料が開発されています。これらは従来の油性塗料と比べて臭いや刺激が少なく、人体や環境への影響が少ないのが特徴です。
水性と油性の良いところを組み合わせたハイブリッド型の塗料も登場しています。水で希釈できる利便性と、油性塗料並みの耐久性を兼ね備えた製品が増えています。
従来は油性塗料の方が耐久性に優れていましたが、近年は水性塗料の性能も飛躍的に向上しています。特に外壁用の水性塗料は、耐候性や耐久性が大幅に改善され、油性塗料に引けを取らない製品も増えています。
塗料の劣化原因となるラジカル(劣化因子)の発生を抑制する成分を配合した「ラジカル制御形塗料」が注目されています。シリコン塗料と比較して耐久性に優れながらも、コストはそれほど変わらないため、今後さらに普及が進むと予想されています。
このような業界の動向から、今後は環境に配慮した水性塗料や低VOC塗料の需要がさらに高まると予想されます。ただし、特殊な用途や過酷な環境条件では、依然として油性塗料の特性が活かされる場面も多いでしょう。
塗料を選ぶ際は、環境への影響だけでなく、耐久性や用途、コストパフォーマンスなど、総合的な観点から最適な選択をすることが重要です。
外壁塗装を検討する際、水性塗料と油性塗料のどちらを選ぶべきか悩むところです。ここでは、塗料選びのポイントとコストパフォーマンスについて解説します。
塗料選びの基本ポイント
コストパフォーマンスの比較
塗料のコストパフォーマンスを考える際は、単純な材料費だけでなく、耐用年数も含めた総合的な視点が重要です。
| 塗料の種類 | 初期コスト | 耐用年数 | 塗り替え頻度 | 総