レジンコンクリート管規格とJSWAS基準詳細解説

レジンコンクリート管規格とJSWAS基準詳細解説

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レジンコンクリート管規格

レジンコンクリート管規格の基本構成
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JSWAS K-11(外圧管)

開削工法により埋設される外圧管の規格基準

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JSWAS K-12(推進管)

非開削推進工法により施工される推進管の規格基準

高強度・高耐久性

圧縮強度90N/mm²以上の高性能材料規格

レジンコンクリート管のJSWAS規格基準

レジンコンクリート管の規格は、1998年に日本下水道協会によって制定されたJSWAS K-11(外圧管)とJSWAS K-12(推進管)が基準となっています。これらの規格は、レジンコンクリート管の材料特性を最大限に発揮するために策定されており、高耐久性の管材として持続可能な社会の構築に重要な役割を果たしています。

 

JSWAS規格の特徴として、以下の点が挙げられます。

  • 圧縮強度:90N/mm²以上の高強度材料規格
  • 粗度係数:n=0.010で設計可能な優れた水理特性
  • 耐食性:硫酸に対する優れた耐久性を規定
  • 耐塩害性:塩化物イオンの侵入に対する高い抵抗性
  • 耐摩耗性:豪雨時の土砂流入に対する抵抗性

これらの規格基準により、レジンコンクリート管は腐食環境条件Ⅰ種・Ⅱ種・Ⅲ種全てに対応可能となっており、温泉水や酸性土壌といった厳しい環境下でも長期間の使用が可能です。

 

推進管と外圧管の規格違い

レジンコンクリート管の規格は、施工方法によって外圧管(JSWAS K-11)と推進管(JSWAS K-12)に大別されます。

 

外圧管(JSWAS K-11)の特徴:

  • 開削工法により埋設される管種
  • ヒューム管のB形に類似した継手構造
  • 普通条件用のB形と高強度工事用のB形2種が存在
  • 土かぶりが深い箇所や活荷重が大きい箇所に対応

推進管(JSWAS K-12)の特徴:

  • 非開削推進工法により施工される管種
  • 金属製カラーを用いた継手構造
  • 外圧及び内水圧に対応可能
  • 長距離推進に適した高い軸方向耐荷力

推進管の規格では、2016年の改定により急曲線推進可能な1/3管の規定が追加されており、より複雑な施工条件にも対応できるようになっています。また、全管種・全呼び径に内水圧規定が追加されたため、雨水貯留管やサイホン管等の用途でも採用が増加しています。

 

管厚によるRS・RM・RT形分類

レジンコンクリート管の推進管は、管厚の違いによってRS形、RM形、RT形の3種類に分類されています。

 

RS形の規格特性:

  • 普通条件用で管厚が最も薄く経済的
  • 外径が1サイズ小さなヒューム管と同じ寸法
  • 許容耐荷力はヒューム管E50と同程度
  • 1サイズ小さい推進機が使用可能で施工費削減効果

RM形の規格特性:

  • 高強度用でヒューム管と外径合わせ
  • 管厚が薄い分、実内径が大きい設計
  • 許容耐荷力はヒューム管E70の1.1~1.2倍程度
  • 流量比較で1サイズ大きな呼び径のヒューム管以上の流量確保

RT形の規格特性:

  • 難工事用で管厚・外径ともヒューム管と同じ寸法
  • 許容耐荷力はヒューム管E70の1.8倍程度
  • 最も高い強度を持ち、長距離推進に最適

これらの分類により、施工条件や要求性能に応じて最適な管種を選択できる規格体系が構築されています。管厚による分類は、コスト効率と性能のバランスを考慮した設計思想に基づいており、プロジェクトの条件に最適化された選択が可能です。

 

継手性能の規格と種類

レジンコンクリート管の継手性能は、水圧に対する性能によってRSJS、RSJA、RSJB、RJCの4種類に区分されています。

 

継手性能の分類詳細:

  • RSJS: 小口径用の基本継手性能
  • RSJA: 耐震性を考慮した継手性能(レベルⅡ地震動対応)
  • RSJB: より高い耐震性能を持つ継手
  • RJC: 呼び径800以上の高継手性能規格

呼び径700以下の小口径では、RSJS・RSJA・RSJBの3種類が使用され、呼び径800以上では高継手性能RJCの1種類となっています。この規格分類により、地震や地盤変動に対する安全性が確保されています。

 

さらに、水圧に対する管体性能によって5P、6P、7Pに区分されており、内水圧が作用する雨水貯留管やサイホン管等の用途に対応しています。JSWAS K-12-2016の改定では、全管種・全呼び径に内水圧規定が追加され、浸水対策事業での採用が増加している背景があります。

 

レジンコンクリート管の耐久性基準と将来展望

レジンコンクリート管の規格における耐久性基準は、従来のコンクリート管を大幅に上回る性能を実現しています。特に注目すべきは、不飽和ポリエステル樹脂を結合材として使用することで実現される化学的安定性です。

 

耐久性基準の特徴:

  • 耐酸性能: pH2の硫酸環境でも劣化しない耐性
  • 耐塩害性能: 物質透過性が極めて低く、塩化物イオンの侵入を防止
  • 耐摩耗性能: 豪雨時の土砂による洗堀作用に対する優れた抵抗性
  • 長期安定性: 遠心成形による緻密な構造で100年以上の耐用年数

これらの耐久性基準により、ライフサイクルコストの大幅な削減が可能となっています。従来の管材では10-20年での交換が必要だった厳しい腐食環境下でも、レジンコンクリート管なら50年以上の使用が期待できます。

 

将来的には、可とう性レジンコンクリート管(R-CSP)の規格化も進んでおり、地震などの災害に対するさらなる強化が図られています。また、急曲線推進対応や内水圧対応など、都市部の複雑な施工条件に対応する規格の拡充も継続的に行われており、持続可能な社会インフラの構築に重要な役割を果たしています。

 

レジンコンクリート管の規格体系は、単なる技術基準を超えて、将来世代への環境負荷軽減と経済的持続性を両立させる革新的な取り組みとして評価されています。これらの規格基準を理解することで、より効率的で持続可能な社会インフラの実現に貢献できるでしょう。