
六角ボルト規格表は、建築業界における最も重要な締結部品の標準仕様を示すものです。JIS B 1180規格に基づいて策定されており、呼び径(M3~M130)、ピッチ(並目・細目)、対辺寸法(S)、頭部高さ(k)などの基準寸法が詳細に規定されています。
この規格表では、材質として鋼・合金鋼・ステンレス鋼の3種類に分類され、それぞれに強度区分が設定されています。鋼・合金鋼では4.8、8.8、10.9、12.9の強度区分があり、ステンレス鋼ではA2-50、A4-50の規格が適用されます。
🔧 重要な設計ポイント
寸法公差については、部品等級A・B・Cの3段階で管理され、等級Aが最も精密で公差幅が狭く設定されています。建築用途では、構造物の重要度や精度要求に応じて適切な等級を選択することが求められます。
六角ボルトのサイズ分類において、対辺寸法(S)は締付け工具の選択に直結する重要な要素です。標準六角ボルトでは、M12で19mm、M16で24mm、M20で30mmという基準寸法が設定されています。
サイズ別対辺寸法一覧
呼び径 | 対辺寸法 | 工具サイズ |
---|---|---|
M6 | 10mm | 10mmレンチ |
M8 | 13mm | 13mmレンチ |
M10 | 17mm | 17mmレンチ |
M12 | 19mm | 19mmレンチ |
M16 | 24mm | 24mmレンチ |
M20 | 30mm | 30mmレンチ |
小型六角ボルトでは、標準品より対辺寸法が小さく設定されており、限られたスペースでの使用に適しています。また、高力ボルト(ハイテンションボルト)では通常の六角ボルトとは異なる対辺寸法が採用されており、M16で27mm、M20で32mmという特殊仕様となっています。
🔍 現場での注意点
六角ボルトの材質選択は、使用環境と要求性能によって決定されます。鋼・合金鋼系では、強度区分4.8が最も基本的な仕様で、一般建築用途に広く使用されています。
強度区分による特性比較
ステンレス鋼製品では、A2-50(SUS304相当)とA4-50(SUS316相当)が標準規格として設定されています。A4-50は海岸部や化学プラント等の腐食環境により適した材質です。
⚡ 材質選択の実務ポイント
興味深いことに、最新の研究では、六角ボルトの配置パターンが応力集中に与える影響について詳細な解析が行われており、建築構造物の信頼性向上に向けた新たな知見が得られています。
設計段階での六角ボルト選定では、呼び径・呼び長さ・等級の3要素を総合的に検討する必要があります。呼び長さが10d(dは呼び径)または150mmのいずれか短い方を超える場合、部品等級がAからBに変更される重要な規則があります。
設計計算例
半ねじボルトの場合、ねじ部長さの計算式「dx2+6」(L≤129の場合)または「dx2+12」(L≤200の場合)を使用します。これにより、適切なねじ込み長さの確保が可能になります。
📐 設計時のチェックポイント
JIS規格の最新改定情報と正式な規格書閲覧
全ねじボルトでは、呼び長さのほぼ全体にわたってねじが切られており、調整が容易な反面、せん断強度が若干低下する特性があります。構造計算時には、この点を考慮した安全率の設定が重要です。
施工現場での六角ボルト管理では、規格表に基づく品質確認が不可欠です。納入時の検査項目として、寸法精度・表面処理・材質証明書の確認を系統的に実施する必要があります。
特に重要なのは、トルク管理による適正な軸力導入です。一般的な鋼製六角ボルトでは、設計軸力の約70~80%を目標値として設定し、トルクレンチによる段階的な締付けを行います。
🔧 施工管理の実務手順
最新の研究成果によると、繰り返し荷重下でのボルト軸力低下メカニズムが詳細に解明されており、長期供用性を考慮した締付け管理手法の重要性が再認識されています。
また、意外と知られていない事実として、六角ボルトの製造工程では、頭部成形時の冷間鍛造による加工硬化により、表面硬度が内部より約20~30%高くなる現象があります。これにより、表面からの疲労亀裂進展に対する抵抗性が向上する効果が期待できます。
日本建築学会による最新の締結技術指針
品質保証の観点では、施工記録の電子化による トレーサビリティの確保が重要です。ボルト1本1本の締付けトルク値、使用工具の校正記録、作業者の資格証明を体系的に管理することで、構造物の長期信頼性を担保できます。